すべてのおすすめ
白っぽい二階建てアパートの部屋で
あなたと
バニラブルーを食べた
窓を開けると
川の音が聞こえた
目を閉じて
耳を澄ますと
まるでわたしたちの下を
川が流れているみたいだった
....
わたしが
うまれてから
なみだを
このてで
ふくまで
ちちははは
どれほど
こころを
ぬらした
ことだろう
いきていく
....
街に吹く薄汚れた上昇気流
舞い上がる鳥たちは
自由に見えても
危うい乱雑な流れで
時に墜落する
それは風が裏切ったのか
その美しく夜色の翼を
暗闇の代理人は
タールで固めた道が
....
君と僕にできること
それは優しさの眼差しで
雪の白さを歌うこと
君と僕にできること
それは愛しさの眼差しで
山の青さを歌うこと
歌の心は見た目じゃなくて
揺り動かされた心 ....
いつか
笑い飛ばせる日のために
一枚の部屋に絵を描いている
暖かい一日の始まりと終わり
そこに溶けていく人たちのように
降り積もる行き止まりに
立ちすくむ人を見ている
その背 ....
花が咲き乱れ
緩やかに風が渡る高原を
想うのはもう やめた
飛べないのではなく
飛ばない虫
穏やかな海に向かう
明るい窓を
開けるのは やめた
鳴けないので ....
デッサンどおりに
造れないかたちを
君や何かのせいにしたり
いっそ壊して造り替えたい
嘘だけど
まんざらじゃなかったり
そんなもんだって
わかってるけど
君の口から聞き ....
愛はクジラと同じで
水をやらないと枯れてしまう
そもそも
愛は大きいほどもろいのだ
クジラと同じで
そのくせ
小さなプランクトンを
一心に集めている
それが
思い出だったりことばだっ ....
最近は色とりどりの空回りを
踊って僕はすっかり忙しい
それは時には一つの映像に
留まれない忙しさだったり
あぐらを掻いたまま
立ち上がれない忙しさだったり
何 ....
あなたの手の中で
私は小鳥
羽ばたきながら
小さく 鳴く
立方形の空間は
無限にも見えて
私たちは収束する
交錯する不安
あるいは 温度
さみしさを
うずめるための ....
緋色の帯を解く君は頬を赤く染め
何だか恥ずかしげな風情だね
帯止めの色目は玉虫だから
綴られた思いも刻々とその表情を変え
真新しい紙とインクのほのかな香り
読みかけの頁に挟んだ栞のよ ....
大きな街のお空には
本当の空は無いと言うのに
太陽が高く射す昼休み
呼吸をふーーと吐き出して
皆が窓を開けた
深呼吸する時間 一斉に
大きな街のお空には
化学記号が飛んでい ....
平和というものは
こうず まさみ
たとえば
目覚めに飲む熱いコーヒーの
香りであったり
玄関から見上げるときの
空の青さであったり
会いたい人が待っ ....
風に とばされてきた
ことばが ひとかけら
髪の毛に ひっかかっていた
手にとると 雪のようにとけて
わすれていた人を 思いだした
数学が苦手だって言うのに
もう少女ではないから
計算違いは許されない
髪を伸ばすこと
それは可能性
ダイエットコークの味を好きになること
それは目論み
統計では
きみの ....
遠くにおいてきた時間を
一つ一つ取り出して
今の僕に重ねてみた
懐かしさと共に思い出す
未熟だったあの頃を
自立の為に選んだ道
自律を願って歩んだ道
幼さと若さの間で
ひたすらに足 ....
言葉のひとつひとつに歓声があがり
思い思いに笑い転げ
級友たちの恋の話は
昼休みの教室で佳境をむかえていた
数年も経てば
誰もが通る道である
ということを知るのだろうが
その前に ....
チクタク チクタク
時を刻む音
玉葱を刻むようにかな
過ぎた昔も
まだ見ぬ未来も
チクタク チクタク
刻んでしまおう
でも人間は
案外にお間抜けだから
切り損ねたネギのように ....
ふしぎに しずかな
いまの ここで
めを とじて
みずを おもう
くろく あおく ひろがる
よるの すいめんを
おもう
うみのことも
かわのことも
おもう
てに ながれ ....
その昔
刑場へ向かう道程で咎人はこの橋の上に立ち
己の最期の姿を川面に映したと云う
インチキな占い師に
「貴女の前世は罪人でした」
と 言われて以来占いはやめた
この善良な ....
今夜は雪が降ると思った日
君は寒さに震えていたから
僕の話に黙って耳を傾けた
二人して、ぬくもりが欲しかった
言葉を求めると
何故か君は他人行儀で
それでも二人はどこかで通じ合ってて
....
小さな君が
絵をえがく
大きな紙に
まっすぐに向かって
まるで 挑んでいるかのよう
これっぽっちも迷わない
どんどん どんどん かいていく
どんどん どんどん 君の不思議が現 ....
空がこんなに青いからって
自分を責めることはないさ
世間が眩しいからって
君がいないほうがいい
なんてこともない
握り締めた土くれには
君の跡が残る
降りしきる生死の中
涙 ....
これから明けていくというのに
どんな闇より深い
口笛が
聞こえる
とぎれがちになるのは
灯台が
瞬くから
そして波が
騒がしい
そう、音が
熱をともなって
肌を
突きぬ ....
その指先に
凍れる紅をさし
頬の産毛を粟立たせ
きみは
街なかの雪に泳ぐ
手のひらで固めた結晶は
赤い目を探すうち
もはや雪でなく
氷の透明に変わっている
そんなにも ....
わたしの背中と
あなたの背中のあいだに
まいにち
いっさつずつの
本をならべてゆきたい
楽しいおもいでも
悲しいおもいでも
みんなみんなすてきな表紙の
本にしたてあげるの
本がな ....
いつのことでしたか
忘れてしまいましたが
絶句したその無言の先に
あの日がちらついていたのは、確かです
日溜りの微笑む
静けさのなか
涙は花ひそめ
無表情に泣いていました
それはか ....
通勤の途中にね。大きな川があるのだ。
もぅ海にも近くて、潮の満ち干きにあわせて、
川の水位がずいぶん変わるの。今日なんかは、なんての
もうほとんど水がなくて、はるか向こう岸まで歩いていけるの ....
雨の来ない図書室では
忘れるように眠ることが出来た
背の高い書架の影で彼らは
姿を確認するために囁き合う
私の載っている本がない
私たちの乗っている街は
地球儀の上に針で止められている
....
嘘つきだったのは
きみじゃなくて
君がいるだけで
なんて言った
ぼくのほうで
燃え付き落ちる隕石は
決して願いはかなえない
知ってて願った
....
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