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逢いたやあなたと浜千鳥
緋と思しき爪折れは
叶わぬ侭の夢吹雪
いつかなりたや恋女房
待てど暮らせど来ぬ文を
遠い都と香り立ち
揺れる簪 手の鳴る方へ
棗に忍ぶ 恋は霞と
....
声は告げる
「風が少し強くなったような気がします」
問う前に答える
「岩と岩の間を行きましょう
枝で隠された路を」
独り言のようにつぶやく
「昔は水のにおいがしたもので ....
予鈴のずるさを聞く前に
抜け出してしまいたかった
靴に滑り込みながら
私は少しずつずれていく
それでも、毎日に所属している自分の姿に
ほっと、息が漏れてしまうのは
私のずるさ、だろうか
....
生きてきた
ということと
生きる
ということを
つなぐ接着剤を探してみた
奇妙なことよと
笑われた
愛だの恋だの
言葉を環にして
誰かの指に通してきたけど
水に濡れた紙のように ....
君が笑った
笑った口元から
白い歯がこぼれた
こぼれた歯は
たくさんの子どもになった
うまれた子どもたちは
道路を掃除した
掃除された道路は
きれいになった
子どもたちがその ....
放置された畑 咲き並ぶネギボウズ
バコン バコンと
プラスティックバットを振りぬいては
浅緑を空の彼方に弾き飛ばした
なぜそんなことをするのだと叱られたが
ネギボウズの高さが
ちょうど僕ら ....
見つけた
微かに光る星の光りを
何億年何光年の過去の光りを目ににする
このごろ
ちいさなことで
くよくよしてた
大宇宙からみたら
ほんの小さなこと
雨のよく降 ....
いつまでも、それを手に入れたいと
弱々しい手で、僕らは汲む
井戸の底に微かに照らし出される
月の光の輪郭のようなものを
楽しいといっては ひとつ汲み
愛しいといっては ひ ....
泣けるくらいの悲しみならば
それは言葉にならなくていい
シャウト!
吹き溜まりの街角で、自転車に乗ったおじさんが
何を言ってるのかわからないでいる
イカレテル
そん ....
もう最後のほうは
泣かさないようにって
それだけを思って抱いていた
もう始まりの
熱も衝動もないまま
とても静かに
君を抱いた。
涙腺にふやけた朝雲が
ぬるく飽和している
もうこれ以上
隠しきれずに
雨滴は春を含んで零れ
しとしと
しとしと
あ、
頬、
ぬるい春を
塗られた頬、の
わたし ....
【椿】
花嫁の紅を着飾って
貴方を待っているのです
この純潔が叶わぬならば
首を落として
夢に果てましょう
【水仙】
明後日の方向を見ているのは
白いうなじを見せるため ....
ひらひらり
ひらひらり
なんと翻る
雫に映る視線
あざやかに澄んで飛び立つ冬の真中へ
スーパーのレジで
おつりのコインを数枚受け取ると
「わあ、お金が増えたね」
と娘は目を輝かせる
自動ドアから出るときも
「あのおばさん、きっと親切な人なんだよ」
ふわふわと歌う
....
この思いを
咲き誇る花に受粉する
花弁はすべて地に落ちて
見慣れぬ果実が
姿を見せるだろうときに
あなたがその実を口にすれば
ほろ苦く
思いの核も同じように地に落ちて
あな ....
かやの そとは つめたい はれ
もう くらく なるのを まって
とどかせたいと ねむる あさひ
ひるの ひざしに あっせられて
よるに こときれ もう いない
めざめて たむけて や ....
雨が降る。
傘はいらない。
雨が好きな月もあれば、
雨が嫌いな月もある。
二月の雨が、
どちらなのか。
それはこの雨と、
君だけが知っている。
....
傘を
返してほしい
名残りの雪は
綿のコートには冷たすぎて
ひとりで帰れる自信がないから
あの桜もようの紅い傘は
ほんとうはすこし空々しいから
好きではないのだけれど
....
赤と青を混ぜたら
いつか二人で手を繋いで飛んだ
有明けの紫の空になり
青と黄を混ぜたら
いつか二人で脚を絡ませて泳いだ
底無しの緑の森になる
私と君は
天を指す草原、地を ....
雨の降る仕事帰りの夜道
傘を差して歩く僕は
年の瀬に冷たい廊下でうつ伏せたまま
亡くなっていたお{ルビ爺=じい}さんの家の前を通り過ぎる
玄関に残る
表札に刻まれたお爺さんの名前 ....
いのちの外れをふらついて
月が見える窓にもたれる
二月の終わり
ねむいは深い深い深い
ベッド
指先がまくらの影をつきさして
おきあがれない
おきあがれない
芽が ....
日向に 住む 影法師
柔らか 柔らや 穏やかに
けぶる 靄の中で
花が 咲いては 折れ
花の 緑が 生まれては
花の
影が 笑っている
ゆたゆたと 傲慢なまでの
その 姿に
....
透きとおる真昼に
日常が、消えていく
八月に買った青いびいどろは
もう割れた
観覧車に乗りたいと言ったのは
あのひとのほうだった
てっぺんに着いても
世界はちっとも見えなくて ....
あなたが一番きれいだったとき
しがらみの廃墟に靡く 硝煙を仰ぎ
自由とは このことかと
愛しき髑髏ひとつ 胸に抱き 街を彷徨う
あなたが一番きれいだったとき
一枚のルオーに なりたい ....
求めて止まぬものがあった
そのたびに吐き出したものは
記憶
その彼方に
星になった
明滅する人生とはかけ離れ
燦然と輝いたそれは
暗闇の中で数を増やした
虚空に手を伸ばす
....
農家の母屋を改造した学生下宿が
家賃一万円の住処だった
わたしは床の間のある客間の六畳
一二畳の居間には親友が
離れの六畳には先輩が
隣の六畳と四畳半には後輩が
それぞれ巣くっていた
....
闘え洗濯機!。
三時のおやつはケンタッキー。
おさるの籠屋はモンキッキー。
カラスが泣いたらウッキッキー。
カツラがずれたらウッシッシー。
羽ばたけ蠅叩飢。
....
うたを綴る
ひとつ ノォトに
うたを紡ぐ
ひとつ こころに
今日の言葉を装い
明日吹く風を纏う
雲に似て
恋に似て
刻々とかたちを変えるその憧憬を
留めるため
小さな引き出 ....
のばすほどに
ゆわえられた 微々
遠ざけて
きつく 咎めた
まつげ
のせられて
こぼれ 破れ
仕返しに なれない
切る たびに
つつみ くるまれる 微々
透明になる
季節の変わり目には
どんどん色素が失われ
地図上に引かれた
ぶっきらぼうな交差線を
どんどんほどいていく
今日をほどけば、
明日のかけら
冬をほどけば、
春の ....
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