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その言葉は 曲がり角の向こうで
待ちわびている
貴方が そうやって話す
その 頭か何かの中で
今か 今かと
あの角の向こうから
今 来るかと
その言葉は 焦がれている
腰掛けた ....
外が
ひどい雷鳴なので
ベランダから眺めてる
夜を
そこが
どこだかわからない
ただ
重なって空はゆく
見下ろすと
街路樹はミニチュアだ
濡れた道路を
ヘッドライトが舐め ....
かみ合わない歯車に、また少しだけ時がずれる
秒針のきしみは それでも
壊れたメトロノームのように 私を、
追うから
逃げ込んだいつかの雪原で 私は、
細雪がわずかに切れる夢を見た
....
賑わった砂浜は
今では自分の足音しかなく
しかもそれは
波風とともに消されてゆく
目の前に見える海は
今の海ではなく
遠い昔に見た記憶の海
狭かった砂浜は
今では自分の足跡しか ....
若人は旅をする
知らない逢ったことのない
運命の人に出会うため
時代の洗礼を受け
今、潔く出発せよ
長く続くだろう道の目的地は
皆同じ
どの道を辿ろうが
....
栗林沿ひの道を歩いて行くと
コツンと固い音が
地に弾けてやんだ
少し行くと
また同じ音がして
生きものめいて
転がつていくものがある
――栗の実――
....
月明かりに揺れる影を追いかけて
僕は真夜中を走り抜ける
君の姿は見えないけれど
きっといつかつかまえてみせるよ
みんなが寝静まった真夜中
僕たちは追いかけっこをする
君はうまい具合に影 ....
どこまでも
いつまでも
だれよりも
なによりも
あなただけです
手で触れようとすると崩れてしまうおそれがあります。
できることならば遠くから眺めているのがよいでしょう。
*
雨だれ
雨の音がするのです。
理由はそれだけです。
....
おでかけじゃないさ
ココの 塩ぬるい空き海に
連れて来た手に
ちゅー返り
波にサスラワレタ
ひとつ
瓶が
帰れないで いるはずで
沈みな ....
1 序章
慎ましい木霊の眼から、
細い糸を伝って、子供たちが、
賑やかに、駆け降りてくる。
溺れている海の家の団欒は、
厳格な父親のために、正確な夕暮れを、見せている。
見開 ....
市場通りに一尾の魚が落ちてゐる
眼は赤く悲しげに潤み
視線を曇天へと彷徨はせる
そして
路面についたもう一方の眼は
闇の地の深みを透視してゐる
魚は期せずして
天国と地獄を
同 ....
日の光溢れる午後
眩しきなかにきみを追う
流れる雲は雄大で
その白さは真珠のように輝いて
河原を歩きながら
ふわふわ空に向って
歩いているような感覚になる
僕もま ....
しまい忘れた風鈴は
もうトンボは飛んでこないよと
話しかけてくる
夏は終わり
秋も過ぎ去る
汗の輝きは思い出
放っておいた植木鉢は
乾いた土だけが
黙ったまま
夏は終わり ....
僕はパンプキン
君はハニーバニー
二人で旅をしよう
車に乗せられるだけの荷物と
僕等二人だけを乗せて
キャディラック
ビートル
シトロエン
ワーゲンのバンだっていい
何だっていい ....
?.
まだ葉が落ちない
白樺の上に
黒猫がいる
のを
見ている
うつくしい猫で
目が
とくにきれい
久しぶりだけれど
思い出 ....
少しずつずれた紙の束を。揃えようと焦る
指先が乾くからまた少しずれてゆく、それを
ありふれていると笑いながら言の葉と呼び合った
ふたり
絶え間なく淡い音で空隙をう ....
息を切らして
汗を流して
漕ぎだす足 右、左
急な坂道、狭い路地裏 朝夕に
駆ける、駆ける
風になって
走る、走る
廃線の 鉄道の{ルビ跡道=あとみち}
青い背中に
いったい ....
君はもう見たのかい?
翼をもった
銀色の馬が
空を翔けてゆくのを
冬はこうして
やってくるのを
君はもう聴いたのかい?
いななくたびに
冷たい風が
地上に吹くことを
冬はこうし ....
山肌が幅広く剥落して
日に晒されてゐる
真昼時は
まだいいとして
日が傾いて
夕日の色が
濃くなるにつれて
幅広の滝が
血を流し ....
高く澄み切った青空が
宇宙に向かって
ぽっかり
口を開けている
そんな午後三時二十七分
たそがれまで
ほんの一時間とちょっと
それでも夜になると
街の灯りに負けずに
宇宙はこんな ....
布をひらき 布を折り
隙間を残し さらに布を折り
ひとつの色に定まらぬ陽は
ひとつのうたをくちずさむ
暗がりの宙に浮かぶ音
変わりつづける一瞬を
意味とは異なる姿の方へ ....
風に
どこまでゆくの?
と尋ねたら
わからないけれど
吹けるところまで
と返事をして
どこかへ行ってしまいました
雲に
どこまでゆくの?
と尋ねたら
わからないけれど
....
空の青さがはじけて
海の蒼さと重なる日
光のシャワー浴びながら
あなたに会いに行ったの
こんなに素敵な朝だから
何もかもうまく行くと思ってた
なのに誰?私を罠にはめたのは
きらきらと輝く ....
あなた、セロリの透明なきりくちに
恋をしたことはあって?
栗いろの瞳
かきあげる仕草
車椅子の少女は
細すぎる膝を斜めにそろえて
やさしい朝のふりつもる ....
ぴょぴょがあふれたら、
もうきせつです。
ばすけっとにつめこんで、
のはらにでおでかけしましょう。
みんなまっていますよ。
さあはやくじゅんびをして、
....
私の町
海辺の港町
夢うつつに波音で目覚めて
窓を開ければ
かすかな潮の香り
胸いっぱいに深呼吸して
優しい海で満たして
一日が始まる
私の家
高台の一軒家
階段を下りると
....
心が抜けてしぼんでしまった
わたしの身体に
あなたの息を吹き込んで
ちょっとあたたかな
ちょっと煙草臭いあなたの息を
自分までもが赦せなくなった
あの日から
わたしはわたしじゃ無くなって ....
その歌のはじまりとおわりを
わたしは知らない
空を見上げたとき
耳元で起きた風が
どこから来て どこへ行くのか
わからないまま
歩き出してしまったように
そ ....
お月さん
震えていなさる
今宵の風はあんまりじゃ
空が空っぽになってござる
塵ひとつ とんと見当たらぬ
裸で ぽつんと
一人でいなさる
地上に降りて来れたら ....
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