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雨とよばれる
雨とはちがうそれを
よける隙間も
したう境界線も
本能のなす
川かも知れない



浴びていることを
浴びせてしまうような
無知なる無知の
さらなる先 ....
去年会社を辞めた先輩
久しぶりに会ったら
夏みかんみたいだったのが
色白美人に大変身

何があったのかな

街中で呼び止められても
しばらく誰だか判らなくて
どなた様ですか
だなん ....
この草のにおいを意識し始めたのは、
いつからだろうか。
翳る当為が、こおりのように漂い、
透きとおる幻視画のような混濁のなかで、
きみどりいろに塗された、切りたつ海岸線が浮ぶ。

冬の呼吸 ....
鳳仙花

揺れる


『鳳仙花』


右目の古傷を開かれた
ぷつぷつ と
肉の裂ける音と共に
かさぶたを剥がされ
瞼の底へ

彼の残した右目が

入り込んだ


 ....
遠い山の稜線が
水墨画のように
かすんで

ゆるゆると
時間だけが
澱のようにたまっていく

さがしているものは
光りにはじける 青
とろりと熟した 赤

なげだされたキャンバ ....
使い古したような
ソファーに沈みながら
ゆっくりと
足をばたつかせる
 
水中散歩でもしようか
その、一言が
恥ずかしくて言えないまま
そっぽを向いている
 
 
君はきっと
 ....
私の心の悲しみは
あなたがいないと鳴く小鳥
私の心の悲しみは
いつまでたっても止まぬ雨

私の心の悲しみは
ひとり寂しく見る夕日
私の心の悲しみは
寄せては返す波の音

私の心の悲 ....
なぜあなたは 
病の親の世話をして 
毎朝歯を喰いしばり 
家の門を出て来る部下が 
体調崩し仕事を休む 
辛いこころが見えぬのだ 

わたしは今日も ふんふん と 
あなたの腐った愚 ....
双つの雨音を右目にもどし
煙を数えて夜は明ける
みな何かをすぎてゆく
みな何かを置いてゆく


欠けた娘を肩にのせる
鏡の向きがいつもと違う
欠けた娘を肩にのせる


 ....
      僕を支えてくれる柱
   小鳥が運んできてくれた 一本の枝

あまりにも短すぎた夏 あまりにも短すぎた夜 


     僕らを邪魔した虫達は今 
 小さいけれど美しい羽 ....
源流に程遠くなく
清らかな姿を
留めながら
静かに流れゆく
孤独な細い川


貞節な乙女を
思い起こさせる
喧騒に揉まれる前の
ひとつの
純真

フルートの音色が
時折舞い ....
君を連れていこう
この 干上げられてゆく都会の
最後の楽園へ
マンションに包囲されながら
奇跡のように生き残った
ちいさな田園のそばへ

君を連れていこう
この 干上げられてゆく都会の ....
雨上がりの水たまり
泥水も尊いいのち

綺麗な花が
尊いいのちなら
枯れた花も
尊いいのち

忘れないよ
ここにいたのは
尊いいのち



犬が
ぴちょん、と
鼻をつけ ....
朝霧の蒸発してゆく速さに
子供たちは
緑色の鼻先をあつめて
ただしい季節を嗅ぎわける


くったり眠っている
お父さんのバルブを
こっそりひらいて
空色を注入する
うん、うんとうな ....
手を引いて
歩く指先は、きっと
温かかったような
そんな気が
している
 
お母さん、と
間違えて呼んだ私の
頭を撫でては
大丈夫と
微笑んでいたから
 
 
髪を結う仕草の ....
食べるのならあげるけど
おそるおそる声をかけられた
手に持っていたのは 漬物のようなお菓子

中国の方から戴いたものだという
仕事がらみのおみやげで
自腹でせっかく持ってきてくれたものだけ ....
夜はせばまり
夜はひろがる
粒と浮かぶかたちと唱と
妨げを泳ぐ轟きと尾と


波の終わりとはじまりに
砂の言葉と花火があがる
水からひろいあつめた羽と
貝のかたさの音のつ ....
21

カレンダーを見ると
夏の途中だった
日付は海で満たされていた
子供だろうか
小さな鮫が落ちて
少し跳ねた
恐くないように
拾って元に戻した



22

フライパ ....
何かに追われて
自分が見えなくなって
約束すら忘れて

遠い遠い道のりの途中で
出会いがあった
運命と呼ぶには
少し大袈裟な
そんな出会い

他人は他人
自分は自分

 ....
思うところがあり木の節をじいーっと眺めていたら
目が節穴になってしまった
オロオロと手と足を同時に動かして慌てていると
青リンゴの香りのする見知らぬ誰かさんが
あっちのほうにその辺の事情に詳し ....
あるく
ただ、それだけ。
きみのこころをあるく
わたしにできるのはそれだけ
笑顔が欲しかった
できれば言葉も欲しかったし
ごめんも、いいたかった
ただ、それだけ
+落葉の日には


 赤い色、青い色
 残りの空を数えている
 穏やかな日々、頬は
 青く紅葉として
 時間は等しく流れていく

 境目に乗って遊ぶ
 あなたの身体に耳を置く
 ....
田舎暮らしに馴れきってしまい
地下街が怖くて僕は
東梅田のビルの隙間
歩道をとぼとぼ駅に向かう
汗がにじむのは
気温のせいじゃなく
コンクリートに染みついた
あの夏の影の照り返し
不快 ....
アイタイキモチを結句に
歌えるようになったとき
恋が始まるのだと誰が言ったのだろう
2002年5月8日


あなたは今、幸せですか
リフレインしてやまない君の問いかけに
若 ....
あなたは私を見抜いてるでしょ?でも私は気にしない。

自転車で並んで走るっていうのはいい。歩道を並んで走るととっても迷惑でごめんなさいって思う。

自転車で並んで走ると手をつなぎたいって思って ....
校長先生のお話は
いつもとても長く
生徒が一人、二人と崩れてゆく

背筋を真っ直ぐ伸ばしたまま
音もなく倒れ
そのまま影となる

「これで、校長先生のお話を終わります」
その瞬間
 ....
茜色の空
毎日眺めているのに
私はまだ出逢ったことがない
 
 
からからと笑う時も
ざぁざぁと泣く時も
それはいつも
いつも いつも
 
 
猫背な君に呆れて
電線で遊んでみ ....
明日の夜 君はきっと 僕に似た女の子とキスをする
月の光りに照らされて 綺麗な影が伸びるだろう

 僕が嘘をついて 君が嘘をついて
 ふたりがうまくいくのなら
 良いんじゃないか

 ....
七月になりたい
すべてを消しつくす激しい雨と
すべてを輝かせるいちばん眩しい陽射しと





{引用=個人詩集「透明塔より」掲載}
青い血で書かれた水曜性は、
{ルビ万年青=おもと}の実となって赤く結ばれる。
ある、いは、いつになく遠く静かな空で、ある。

店員が しきりにすすめてくる
玄関先に どうかしら
と自分に問 ....
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