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水をふくんだ枝
水をふくんだ花
水をふくんだ土
山を流れる川のほとり
岩肌を覆い
染み渡る水に喜び
起き上がった
無数の苔
( か細い茎から
( 見えない胞子
....
あの女房殿は
鶴なんかじゃ無かったのですよ
『夕鶴異聞』
そうですね
去年の秋からだったですかね
巷で有名な
『鶴女房』が来たのは
ええ
見事な反物でございましたよ ....
あなたの
書いたもの
が
読みたい
なんでもいいから
淋しくならないように
たくさん たくさん
書いて書いて
そしたら
わたし
白ヤギさんのように
おいしく
食べる ....
まだ隣りにいるような
波音をきく
目が覚めてから
目を開けるまでの
階段を上っていく
ホールには明り取りの窓から差し込む光が溢れ
かつてそれは観葉植物の大きな葉を照らしたこともあった
河口の近くで手をつなぎバスを待っていたとき
足元には確かに雨ざらしになった動 ....
仄白く明けてゆく空と
暦の眠りから覚めた蕾が
共鳴して
三月の和音を弾く
冬を忘れた陽射しは甘く
僅かに紅を挿した絹の切れ端に
はなびら、の名を与える
こころにある哀しみや空洞を ....
空から下がる紐の影が
円を描いて泳いでいる
姿かたちの失い生の声
幾度も土へ打ち寄せる
源を抑える手は緩く
光も水も渦巻いている
したたり落ちるもののなかに
灰と緑の ....
風のゆくえに
はぐれたのなら
含ませ過ぎた胸に手を
どうでもいいと言い捨てるには
あまりに一途な
朝です、
誰も
いつの日も
気がつくためには
やわらかく ....
鏡は自分にだけは
正直でありたいと思った
常に見るものに
反対のことを教える自分に
罪の意識を感じていた
だからせめて自分だけは
正しいものを正しく見たかった
だがそれは
自分が逆さま ....
さくら さくら
あの人を返しておくれ
さくら さくら
私の元に戻しておくれ
さくら さくら
女の業が咲き乱れ
さくら さくら
今宵私は鬼になる
満開の桜の花の下
額に蝋燭 ....
背中の翼をひろげて
準備運動をしたら
さっそく飛んでみよう
ほら思ったよりも簡単でしょ?
風を包むように
大きく大きく羽ばたいて
さぁその調子で
おもいっきって
も ....
かたこと かたこと
僕の心臓が
どれだけ綺麗に
リズムを刻んでも
かたこと かたこと
僕の時間が
いつでも綺麗に
並んでいる訳じゃない
空は鈍い曇りだし
降るはずの雨は降らな ....
白く鮮やかに咲きほこる、
一本のモクレンの木の孤独を、わたしは、
知ろうとしたことがあるだろうか。
たとえば、塞がれた左耳のなかを、
夥しいいのちが通り抜ける、
鎮まりゆく潜在の原野が、かた ....
空につるされた
大きなはねがまわる
からおとたてる
かいてんが どこか
はげ落ちたがいへきのさびしさ
人の形をしたうすいかげが
つめの先にあつまる
ことばを探している
おびえてかくれた ....
公園の砂場で
車のおもちゃが死んでいた
一度も生きたことがないのに
もう自ら動くこともないのだ
近所の庭に咲く
キンモクセイが香っている
今まで見たことのある死体と同じように
嫌な匂 ....
たかいとてもたかいところで
鐘が鳴って
響いてふるえ
始まったんだろ
どんどん共鳴して
音があたるから
どんな形かわかって
反響して
わかってきて
まだ目もひらいてないけど
柔らか ....
お日様の下
おまえはかたく焼かれてしまった
ただ真っすぐ
地中から這いでてきたおまえは
涙をながす瞳さえ
持って生まれてなどいないのに
かたく焼かれたおまえの
その真っすぐな身体
それを泣いてや ....
新緑の歩調に
風のブーケが踊る
朝が来たのなら
花通りの空の
あたらしい風で顔を洗おう
うららかな候は
群青の筆をとり
太陽を描き始めた花の街へ
きみは、ハイカラに萌えて
モダン ....
砂時計という名の{ルビ幽閉=ゆうへい}を描くべき色彩に迷い、
指先ひとつで幾度も幾度も
流れをもてあそんで
みる
(ここは、アトリエ・スロウ
(時の許しに並ぶ場所
....
グレープフルーツ、を{ルビ啜=すす}ると
ゆびさきやら舌先やら
なぜだかきみを、
おもいだして
グレープフルーツ、か
それとも、ぼく、か
においのあふれる
部屋になる
....
やさしさもみんな抜け落ちて
そいつはセーヌの流れに消えた
キリストマリアを引っかいて
破れた爪で十字を切った
....
水が流れ、小さな波形を象りながら、水が流れ、流動し、常に変化し、透明は透明を反射し、波は闇の中に動き廻り
川は流れ、光を包み込みながら川は流れ、あるべき方向へと流れ、何も変わることはなく、静かに ....
トキメキを運ぶ春風
心の桜が色めく
幾億回も繰り返して
今年も僕達に
儚い気持ちを思い出させる
着信拒否され
深い川の底に沈む
鍵が架けられた心の扉よ
いつか開け ....
散らさなくとも
散りゆくもののそのままだから
浜辺
知らせ
島を生んで
同じ高さが
同じ高さのままで違うから
猛り
迎え
....
三月も残り僅かとなり
ほころびかけていた桜の花も
一輪また一輪と開き始めてきました
桜の花が満開となり
その花が散り始めると
思いだす事があります
由美子姉さんとは実家も近所で ....
人は己の踏み締めた足跡に人生を見る
しかし踏み潰したものを見ることはない
見つめれば脚を踏み出せず
歩を進めれば踏み潰さざるを得ない
人が脚を持ちそれがまた
踏みにじる罪深さから逃れられない ....
どこかで聴いたことのある歌
その旋律が 流れてくる
思い出せない
歌の名前
思い出せない
記憶の糸が絡まっている
それでも
どこかで聴いたことがある
それは確かなのだが
思い出せ ....
雨上がりの高尾山
散策の一行は
山を愛するおばちゃんのガイドに
耳を傾けながら
濡れた山道を往く
ある者は
ひとすじの細い茎の上に
寄り添い
束ねられた家族のよう咲く
....
{引用=deep-freeze
[動](他)
2 無期限延期[保留]する. }
小さな六畳間に溜め込んだ過去の残骸を
捨てる算段が立たない臆病者ごと
きゅっと纏めて窓から捨てる
海 ....
あの日はきっと春だったと思う
部屋に置かれた
アジアンタムの葉がそよいでいた
近くのスピーカーからは
小鳥のさえずる声をバックにした
ピアノ協奏曲が流れていた
窓から差し込む光が
やさし ....
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