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わたしの空より
青い青いその先に
あなたの見ている空がある
夏から二ヵ月毎のカレンダーを剥がして
こころの奥まで秋が染みた日
それぞれの手に触れる温もりは
少し哀しい距離感 ....
お前との間には
いつも渇いた隔たりがあり
少し上向きの
幼い口びるに舌を寄せても
私の熱はひんやりと
遮られる
お前の泣き顔が好きだ
ほうけた赤い目と
くずれてしまった化粧が好きだ ....
橙色の風が吹き
壁をめぐり
木々を螺旋に上下する
ふいに無数の猫になり
屋根の高さの季節を乱す
吐息が導く双つの手のひら
合うようで合わないはざまから
遠く見知ら ....
秋のこがねに
ざざめく山の
ざんざと落ちる
もみじ葉に
分けいりたくもないわと
言うに
うでを掴みし
指の強きに
あゆみ とふとふ
ついて ま ....
「 」
昨夜のあいさつは、耳からこぼれる雨のよう
に切なく潤い熟し、さららと色を空を映す欠
けては満ちる月の鏡。
お早う
もうこんな時間
そろそろ失礼します
耳に残 ....
薄暗い軒先で
植えてもいないのに咲いている
高貴とは程遠い
紫の嫌な匂いを放つ花を
じっと 見ていた
「毒に彩られた花やね。」と教えてくれた
少女の丸くかがんだ背中から
....
歩き疲れた素振りを見せず
意固地なくらい背筋を伸ばして
灯りの少ない舗道を歩けば
月の兎と靴音だけがついてくる
無感情に道程を辿り
行く手を遮る列車を見送ると
何故かしら
乗りそ ....
生足は季節のアンテナで
感じる微かな蠢きを捕らえては
白い小箱に忍ばせる
真夜中のブランコ
揺れる君のくるぶしは
季節はずれのアンクレット
楽しかったはずの映画も
楽しみだったはずの ....
貴方の瞳があまりにも
澄んだ色をしているから
向かいあうと俯いてしまって
貴方の爪先ばかりを見ている
眩しいと感じるものが苦手で
目を逸らしてしまうのは
自分の穢 ....
真っ青な空が広がる秋晴れの日
息絶えた老婆は白い{ルビ棺桶=かんおけ}に{ルビ蓋=ふた}をされ
喪服の男達の手で黒い車の中へ運ばれた
人生の終止符を告げるクラクションが低く鳴り響き
親族と ....
曇のなかで
ねじれる光
灰に 銀に
尽きることのない色に
池を隠す雪の上
蒼い熱が散ってゆくさま
その繰り返されるうたを聴く
けだものはけだもの
世界を狩る ....
視線をゆきます。
ひっそりとした
鋭角な色のない
告白にも似た存在の道
とぎすまされた意志の果てには重く輝く種子が宿る
涙で
洗われた深い瞳
そこに秘密を映す
答のない ....
まるで代わりのように、降る
悼むように
かき乱さぬように
しずかな泣き声の、雨
追われていく時間
ぎりぎりのところで
感情の発露をせき止めている
こころの中に
墓標に傘を差しか ....
コンクリートジャングルを
見下ろす
蒼い空に
真っ白な
ぽわぽわ羊が
たゆたっている
壊れてしまった
レコード盤のような
日常に
膿んで
見上げる空は
高い
鋼 ....
九月
暗闇
繰り返す
その色痛い曼珠沙華
あちら側から手を振るあなた
私の空洞から風が吹く
愛して
愛して
愛してやれなかった
愛して
愛して
もっと愛して
暗闇
抜 ....
涙は
流れることを許されず
瞳にとどまっていた
雨が
かわりに泣いてくれたので
辛うじてプライドを保っている
物語は
最終章を目の前にして
頁を閉じられた
栞を
....
まるであなたの
唇のような色でした
10月
神様のいない月に
願い事は増える一方で困ります
去年きれいに咲いた
シクラメン
冬に灯りをともすようにして
春先まで ....
木がねむると
木のなかに
ほんとうの木がうまれて
風にふれようとする
風がねむると
風のなかに
ほんとうの風がうまれて
空にとどこうとする
空がねむると
空のなかに
ほんと ....
薄暗い廊下の突き当たり
古い鍵を回せば
きらきらと埃が舞うだけの部屋
東のカーテンは色褪せ
ピアノの音色は床に転がって
ソナチネの楽譜も気付かぬふり
窓の外には
金木犀がほろろ零 ....
手のひらに感じる暖かさがあれば
他には何も要らない
日々思い出を積み上げても
それは単なる一里塚
それは儚い夢幻
振り返れば跡形もなく
積んだ記憶さえ残ってはいない
手の ....
怒りを
この体に
押しとどめるなにか
それはこぶしでしょうか
掌のかたちにそれを
開き、放ってもまだ足りない
その病が
揺さぶるのです
だから震えてしまうのです
....
風が言葉をさらっていった
ただ黙って
夕暮れを見送る
綺麗なものへの憧れは尽きることなく
たとえばそう
悲しみの結晶が透明であるならば
過去も無かったことにできるだろうか
....
午後をわたる数羽の鳥が
いくつもの笑みを描いている
空と曇の鈍のさかいめ
まぶしく見つめる目のなかを
笑みはめぐり飛び去ってゆく
曇を映した滴にかがやく
水の壁のよ ....
{画像=070222142254.jpg}
{引用=
小さな水たまりは
はしゃぐ子供達の
泥足を受け入れて
玩具である自分が
うれしかった
何台もの車が走りすぎ
....
線路脇に建つ家に生まれて
ずいぶんと長い間 そこで暮らしたせいか
今でも 5分おきに
からだを揺らしてしまう
そうやって揺れているうちに
いつしか わたしは
窓ガラスの
3メート ....
黄昏時
君を探すは幾日
追い越してゆく自転車が
花弁を散らして
去っていった
取り残された
淋しさに
一片拾い上げては
花模様に
重ねた
一度散った花弁
花に戻らない ....
おやすみの挨拶に
朝目覚めた時に
会社へ出かける前に
君は僕に言って欲しいらしい
機嫌の悪いときもあるし
朝は何かと忙しいから
毎回言うのはめんどいなあ
本気じゃなくても ....
溶けゆく闇に 身をうずめ
骨の芯から 温まる
夢か現か 幻か
何処の誰かの 子守唄
今日は今日の お疲れを
明日は明日の お疲れを
....
微笑みの日
それは
秘法を会得した日
蔓薔薇の刺さえ愛しく
降る雨が 香油のように感じられる日
カーテンの隙間から
きっとあなたの部屋を訪れよう
あなたの胸に ....
スキップがうまくできなくて悲しい
昔見た映画の主人公みたいに
雨の中でも楽しそうに
水たまりをけって飛び跳ねる
憧れはいつも
自分にできないことが
少し上をかすめてゆくもどかし ....
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