すべてのおすすめ
光って闇に落ちるガラスの中で
ゆっくりやさしくながれるメロディの
音符との闘い
君を捜しにいったホワイトキャッスルで
君がうすく消えかかる自然現象
僕は胸のうず ....
さがしてみても
しっぽは見つからない
まるで
気泡のような午後だから、
いつの窓にも
ふたりは
求めて
やわらかな、視線
だれにも始まる
デッサンの
....
つゆのおもてを奏でるような
かすみの語り部、
八日月
白々しくも、
ゆかしいものです
枝のあいだを
いそぎもせずに
はかなさをなぞるには
聡明すぎる、ような ....
地殻に居眠りする風の群れ
襟元合わせれば
擦れた羽音
すり抜けた鼓動の列の空
眠らないと 届かない宙
ひたった真昼の花の蜜 逝き
寡黙をあぶる眼に しゃがれ
かがみこんで握り ....
あなたが口を開ける
中には空が広がっている
雲が浮かんでいる
舌がある
少し乾燥している
その先に
喉ちんこがぶら下がっている
双発のプロペラ機が
飛んでいくのが見える
空の一番青い ....
木漏れ日の降り注ぐ駅前の並木道で
信号待ちをしている君を見かけた
髪型と服装以外何も変わっていない君
懐かしい気持ちが風に乗って蘇る
今なら気兼ねなく話せると思い
君の元へ駆け ....
明日は
地球最後の日
あなたは
きっと忙しいから
今日
少しだけ逢いましょう
私は
すぐ戻ります
あなたもね
勇気をありがとう
少しだけ
やさしくなれた
こころの
太 ....
"i"
嘘の恋も重なれば
いつか本当の恋になるんだろうか
なんてテレビを見ながら
桜が見たいとか
"i"
とりあえず
ひとりで ....
灯台の積層レンズから
ここにいる、と叫ぶ声は
遠くからは星
近くからは秒針
海霧に照らし出す
港という駅
造船所の大きなクレーンを
右手にみながら
故郷はいつも
思い出せない何か ....
雨が降るよ
こんな深い夜に
追い討ちをかける様に
雨が降るよ
雨音は単調な二音の伴奏
群がる音符は
飛び散る水しぶきと
破裂する
真っ暗闇の薄明かり
電灯は雨 ....
綻びをつくろうために
いつも
針と糸を持ち歩いている
『影縫い』
性分なのか
ほつれた影を見ると
どうにも放っておけない
影の形は
人によって様々だ
明るく快 ....
だうな〜で
仕事さぼった翌日に
こころの{ルビ垢=あか}・{ルビ錆=さび}ふりはらい
いつものバス停に向かう
歩道の
前を歩く女子高生
突然ふりむき
( すかーと ふわ ....
嫌になるときだってあるよ
そう言うと
友だちは笑顔でうなづく
さほど広く無い部屋に
ふたつ机を並べ
四十六時中
お互いの気配に触れ合って過ごす
それでも机と机を隔てる
背の低い ....
新しいお絵描き帳と
クレヨンを持っていった
何も描けなかった
周りの子たちは
鳥も魚も人も
自由に描いた
真っ白く広げられたものの前で
どうしたらよいのか
わからなかった
どうしたの ....
質問です
「し」と言われて何を思い浮かべますか?
「私」を思い浮かべた人は
自分を大切にしているのですね
簡単な事ではないと思います
あとはもう少し他人の事に
気を配るゆと ....
ある日からだった
鳥たちがいっせいに地下を飛ぶようになった
空を捨てて森を捨てて
鳥たちは土の中へと潜っていった
地上には鳥の姿は見られなくなった
人間は鳥の居場所を探したが
かなり深くま ....
十一年伸ばした髪も切られ
おかっぱ頭になったことだし
明日から金太郎になります
まさかり 担ぎます
熊に 乗ります
もうハッタリも効かなくなってきたことだし
これからは ....
初めに知ったのは母親の体温だった
温かな羊水に浮かんでいた記憶はないけれど
むすんで、ひらいて、して
あれからいくつの温度が僕を通り過ぎたのだろう
居心地の良い夢を見て
蝶々を追いかけて ....
「ひとを殴るって、
どんな感じ。」
リイは変な女。
いつだって変な女。
いつも変なことを訊いてくる。
いつもおれにばかり訊いてくる。
「楽しい。
....
り 束
飾 アクテシオン 花
羽 の ....
耳をすますと
遠く潮騒が聞こえる
ドアを開けば幻の海
白い波頭が立って
空はおぼろに霞み
「春だね」とつぶやくと
「春ね」と君が応える
潮風が弧を描いてゆく
君の長い髪がゆらめ ....
さよならの仕方を
手の振り方を
忘れてしまったの
わからない
わからないけど
きっと、この体温が
バイバイの代わりなのね
倍の力で抱きしめて
そしたら
2倍幸せにな ....
私は今でも忘れない
学校の帰り道
家に着くまでに
いろいろな影を踏んでいく
影踏み遊び
大きな木の影家の影
人の頭を踏んだこともあるけれど
鳥の影を踏めたときは
空を飛んでいるようだっ ....
(美しく生まれたかったと
思ったこともありました)
ある日
一羽のチョウが迷い込んできて
羽を持って生まれてきた生き物は
そんなふうに飛ぶのが
当然なのだというように
ゆら ....
雲のように
雄々しく自由気ままに
空という人生行路を流れ行く
時には羊のように{ルビ溌剌=はつらつ}と
晴天の空を駆け巡り
時にはどんより{ルビ鈍色=にびいろ}に
大地を覆いつくす影と ....
白く、 粥、 の、
溢れた鍋、 に、
朝の、 音楽が、 生まれ、
あたしが言葉と言葉とを繋ぎあわせられるようになる頃
脚を折ったかあさんの不器用な足音が
台所で今日をかつかつと叩く
たくあ ....
通り過ぎた列車の
なごりの風が、引き連れる
潮のにおい
線路沿いにこの道をまっすぐ行けば
ほら、海が近づいてくる
そう言ってふたり、短い影を
踏み合いながら走った日
無人 ....
夕暮れ
いつもの通学路で少年は
独り咲いている
紅い花をみつけた
家に帰り
父と別れた母に話すと
「 毎日水をおやりなさい 」
と言うので、次の日から
少年はいつも ....
日中の忙しさからすっかり静まり返った
午後九時過ぎの特養老人ホーム
入院先で亡くなった
Y爺さんの{ルビ亡骸=なきがら}が入った棺桶は
施設内の小聖堂に運ばれた
いつもはほと ....
押し寄せてくる人並みの中で
ただ一つの背中を探しています
三ヶ月前の雨が降った日
見失ったまま行方不明です
受話器越しのさようなら
それが最後に交わした言葉
自分だけ言いた ....
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