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雨こそ降りはしなかったが、街はどんよりとした雲と湿気に満ちていた、人と擦れ違うのが煩わしくなり、小さな道へと逃げ込んだ、歩いているうちに、その先に昔、数十年は前に、死に絶えた通りがあることを思い出 .... 十四歳のある日
ぼくは
あらゆるものが
きっとこのままなのだ、ということに
気がついた
ひとは、ある種の
限られたコミュニテイは
このまま
もう
どこにも
行くことはないの ....
飴色のグラスみたいな陽だまりが廊下の奥に落ちていた、天井に埋め込まれた空調が立てる微かな稼働音は何故だか宇宙船を連想させた、俺は廊下に並べられたパイプ椅子に腰かけていた、それは五脚あったが座ってい .... 暗い湖に朦朧と沈む膨張した死体の夢
網膜のなかに書き殴られた最期の詩
叫びはふやけた肉体に阻まれ
二度と出られぬまま溶解して流れ出る
いつだって午前二時
破裂と飛散を望むものたちが
内 ....
粘ついた舌ですべてを容赦なくなめつくすような雨がようやく上がったあと、機銃掃射のような太陽の子らが跳躍を繰り返した、俺は脳味噌を安い匙で掻き回しては言葉を拾い、左官工のように投げつけては撫でつけた .... どこかの駅で誰かとすれ違うためだけに生まれてきた
やあ、と言葉を交わし合うこともなく
親密な他人と認め合うような
静かな笑みを交わし合うこともなく
その目に
特有の孤独を共有することもな ....
騒々しい球体がずっと頭蓋骨のあちこちを転がり続けているみたいな目覚め、ふやけた景色が見覚えのあるものに戻るまで起きていないふりをして憂鬱をやり過ごし、生存確認のような慎重さで身体を起こし気温の低さ .... 老いた肉食獣の牙のみで作られた寝台に横たわり、遺伝子に染みついた生温かい血の記憶を弄っていると、脳味噌の隙間に瞬く光がある、針の先のような小さなそれは、けれど深くまで届くような鋭さも感じさせる、俺 .... 亡骸の幻影を抱いて
流木の間を
記憶を縫い取るように歩く

靴底を受け止める
砂浜の感触は優しく
けれど
優しさというのは
時折
無関心と同じで

巡回機のようなカモメたち
薄 ....
回転する序曲の韻律はすべて逆さまだ、首を傾げたって上手く読み取ることは出来ない、そんなときは頭で理解しようとしないことだ、頭で理解すれば理屈っぽくなるだけだ、イメージを読み取るのさ、まんざら素人で .... ある休日の午後のこと、見覚えのない番号から電話がかかって来て、退屈に任せて出てみたら懐かしい人間からだった、もう二十年近く前かな、同じホームページサービスで知り合った男だった、お互いに詩を書いてい .... 幽霊の見える日、洗面所の鏡を万遍無く塗り潰して、どこからか忍び込んだ鼠が食い破った洗顔フォームのチューブをごみ箱に投げ込んだ、太陽が顔を見せる時間があまりなかった日、深く息を吸い込んだら黴の臭いを .... 激しい痙攣のあと、強制終了のように訪れる眠りの中で見る悪夢にも似た感覚を現実まで引き摺り出してしまう不得手な目覚めの数十秒、果たして俺はすでに死人なのか、と無意識に手首に触れている…微かに、致命的な嘘 .... 望遠鏡の死骸
市街地に散乱
錯乱する警官
痙攣的発砲
こめかみを貫かれた売女は
突っ伏して死後硬直

うす汚れた銅像の見る夢
ハイウェイバスの疲労
ミルキーウェイの素っ気なさ
 ....
昨夜の酷い雨が連れてきたボロボロの木の枝が、川の分岐に設えられた水門の脇でおざなりな寝床のように積み上げられている、そこで眠っているのは生まれたばかりの数匹の子猫の死体だった、明けたばかりの木曜は .... 狂気こそが真実を知る、あらゆるものが散乱したテーブルの上には、デフラグされた混沌の形跡がある、指先が本当に触れたいのはキーボードではない、その先にある脳味噌の最深部だ、聞け、正常にこだわるのは愚か .... 滑落した真夜中の亀裂の底辺に横たわり
衝撃の中で朧げな幻想を見ていた
ままならない肉体のどこか入り組んだ場所で
仕切り直しよりもシャットダウンが要求されていた
そこは氷山の中心のように ....
街の灯が消えるころに
俺たちは跳躍を繰り返した
皮を剥ぐような風が
駆け抜ける午前三時
記憶のなかのサウンドのハイハットが
氷の割れる音に聞こえるような気温だった
あたためて
それは ....
午後を通り過ぎた影、踏みしだかれた詩文、血溜りのなかの指先、白紙のままの便箋、風が息継ぎをするときに聞こえる嗚咽は誰のものだったのか、忘れたことにした記憶が膿んだ傷のようにじくじくと抉り続ける理由 .... 漏電を思わせる低気圧の真夜中には生焼けの肉の臭いがする、一息に喉の奥に流し込んだハーパーのせいで身体はまるで蒸気オーブンのトレイの中でぶすぶすと少しずつ焦げ続けているみたいだ、ベルベッド・アンダー .... 色褪せたクリーム色の壁、不自然なほどにしんとした空気―わたしはたまにこの景色を病室のようだと感じることがある、でもここは病室ではなくて―まあ、そのことはあとで話すことにする…道に面した壁はすべ .... 細胞の中で狂気は水棲生物の卵のように増殖を続けて、そのせいでこめかみの内側は微妙な痛みを覚え続けている、尖った爪の先が終始引っかかっているみたいな痛み―軽い痛みだけれど忌々しい、そんな―俺はい .... アルフレッド・ヒッチコックの夕暮れのような空のなかで今日が竦み上がりながら死んでゆく、その悲鳴は、その悲鳴は…昨夜俺を悪夢から叩き出したその声とまるで同じで―なにを見ていたのか、なにを知っていたの .... リズムの残骸は、砂浜に沈んで、視覚障害者の見る幻覚みたいな朧げな輪郭だけが、晩夏の太陽のなかで揺らいでいた、それはジェファーソン・エアプレインの音楽を思い出させた、敢えて違うところで繋がれたパズル .... ルーズにこんがらがって
筆箱は本棚の二段目
トローチはテレビの下のラック
レターセットは引き出しに
昨日の夢は枕カバーと
洗濯籠のなかで眠っている
「明日も雨」と天気予報
家を揺らす ....
いのちは
こころのかたすみで
ふるえながら狂っている
枯れた木が
記憶だけで
まだ水を吸い上げようと
こころみているように


まともなあんたは
ひびわれた ....
ガラス管のなかに生身をむりやりねじ込まれるみたいな感覚が長いこと続いていた、閉塞感なんて月並みな言葉で話しても良かったがいつだってそんなものに真実を語る力などない…そこら中をうろついてる、在りもののイ .... 20時の路上で韓国タイヤに轢き潰された灰色ネズミが遺言のようにブルース
ショッピングモールの液晶ヴィジョンに映し出された若い殺人犯の既視感
民家の軒先にぶら下がる崩れかかったカラの蜂の巣は
 ....
清く正しく生きようとするやつが気に入らねえ
欲ボケて腹の弛んだ肉玉も気に入らねえ
政治家のケツをブログで突っついてるやつが気に入らねえ
海外ボランティア活動に志願するやつが気に入らねえ
 ....
毛細血管をノイズが這い回る、無数の羽虫のように…俺の感覚を喰らい尽くそうと目論んでる、二二時の朦朧とした時間―悲鳴には飽きたし、怒りには慣れた、愚痴には興味が無い、まるで水溜りのように俺はそれを放 ....
ナンモナイデスさんのホロウ・シカエルボクさんおすすめリスト(41)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ボロ布のようなマリア- ホロウ・ ...自由詩6*21-6-20
十四歳で死んでいったやつらに- ホロウ・ ...自由詩16*21-4-6
思えば、出口なんてイデーをはっきりそれと認識したのは- ホロウ・ ...自由詩1*20-6-11
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どこかの駅で誰かとすれ違うためだけに生まれてきた- ホロウ・ ...自由詩3*20-4-14
アイ・ガット・リズム- ホロウ・ ...自由詩3*20-3-5
血塗れの船で果てしない海を渡れ- ホロウ・ ...自由詩2*20-2-23
今夜、この砂浜に座って- ホロウ・ ...自由詩7*20-2-20
廃棄物になりたくないのなら- ホロウ・ ...自由詩2*20-1-5
明々後日の方向- ホロウ・ ...自由詩1*20-1-1
幽霊の見える日、洗面所の鏡を万遍無く塗り潰して。- ホロウ・ ...自由詩3*19-12-5
狼狽える詩人どもに- ホロウ・ ...自由詩2*19-11-5
いつだってそれは過去形で語られるものだろう- ホロウ・ ...自由詩3*19-8-29
饒舌なハレーションの朝- ホロウ・ ...自由詩3*19-6-20
欲望は漆黒のような深紅- ホロウ・ ...自由詩3*19-4-23
冷たい七面鳥- ホロウ・ ...自由詩5*19-3-25
この夜はあの夜- ホロウ・ ...自由詩3*19-1-31
ただ赤く塗り潰して- ホロウ・ ...自由詩5*19-1-1
浅い落とし穴からは少しだけ世界が覗ける- ホロウ・ ...自由詩5*18-12-6
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狂った文字盤の針にもグルーブは隠れている- ホロウ・ ...自由詩5*18-11-4
混沌をまんべんなく敷き詰めた小さなベッドに(そして窓の外にや ...- ホロウ・ ...自由詩4*18-10-28
渚にて- ホロウ・ ...自由詩3*18-10-7
冗長な雨のリズムとだらしない詩情のジャム- ホロウ・ ...自由詩7*18-7-6
あらゆることが語り尽くされたあとに- ホロウ・ ...自由詩15*17-12-1
あらかじめなにかが窒息している- ホロウ・ ...自由詩3*17-9-19
不愉快な手触りの街- ホロウ・ ...自由詩1*17-8-4
ヘイト浅漬け- ホロウ・ ...自由詩6+*17-6-18
羽虫の闇- ホロウ・ ...自由詩2*17-6-17

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