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梅雨の晴れ間に、ひときわ
紫陽花は朝陽に輝いていた、その朝

報せの電話が真夜中に鳴った
冷静と言えば、聞こえはよいが
私の応対は驚くほど事務的であった
どこかに、安堵が潜んでいた

 ....
煮た竹輪と梅干
飯には煮汁が染み込んで
みっともない模様を描いていた

蓋で隠しながら
弁当を食った
級友に見られるのが
たまらなく恥ずかしかった

日曜日も休むことなく
ミシンを ....
降りしきる雨が
風を呼んだ土曜日
葉桜は揺れ
泥の上に、さくら模様

母は出かける支度
黄色い傘の用意をする
「どこ、行くんや?」と、尋ねたら
「さぁちゃんの小学校や」

咲子は中 ....
桜が散り始めた
昔、誰かがそこに植えたのだ
古びた板壁のペンキが剥げた営舎の
埃っぽい運動場の端に

左旋回だったのは
右利きだからかもしれない

春霞の海は穏やかで
座している私の ....
きみが必要とされる理由がある
文句も言わずに黙々と働く
周りの人間にいつも親切である
トイレが詰まっても
餅で年寄りの喉が詰まっても
ささっと器用に処置してくれる
つまり
いろいろと便利 ....
沈黙の扉を閉じて
飛翔を願う鳥を幽閉したまま
坂道を登ってきた
目の前の足元だけ見つめて

振り返れば
私の後ろに従うはずの
長いようで短かった上り坂は
春霧に沈んで消えていた

 ....
由木名緒美さんの山部 佳さんおすすめリスト(6)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
紫陽花- 山部 佳自由詩1114-5-22
弁当- 山部 佳自由詩1114-5-12
お迎え- 山部 佳自由詩714-5-5
遠景- 山部 佳自由詩914-4-13
ある忠告- 山部 佳自由詩114-3-24
春の坂道- 山部 佳自由詩1014-3-12

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