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こんなふうにはじまって

   ひさしぶりにメールしますよ。

ひとくさり話をして

   くだらないことばっかゆってごめんね。

と終わり追伸には

   追伸は…、今日はなし。 ....
陽気な悪魔がとびきりの

可愛い笑顔で寄ってくる

俺の余命は二時間五分で

犬に食われて死ぬんだと

そう告知して楽しそうに

宝物でも愛でるみたいに

楽しそう ....
”かあちゃん、ゆきを、さわりたいよ”

腕の中の子が囁く

”ゆきで、ぎゅっぎゅって、やりたいんだ”

蚊の泣くような小さな声で

お医者様に、冷たいものに触っては、駄目と言われている ....
なつかしい音


なつかしい音


なつかしい音



結局 わかんなかったな


なつかしい首


なつかしい首


なつかしい首



めんどくさいん ....
祖母は厳しい人だ
でも私にはいつも優しい
子供の頃一緒に住んでいたけれど
怒られた記憶はあまりない

とてもせっかちで歯に衣きせぬ物言いで
厄介ごとを集めてしまうような人ではあるけれど
 ....
一番乗りではなかった
ロッカールームで 常連の中年女性が
油もたんぱく質も無い体を あらわにしている
錆び付いた金属のような 褐色の人
臆病者のこんにちは、は 届くことなく
乾いた音を響かせ ....
毎日
日が沈む
し、
昇る
月も沈む
昇る

海を裂いて
龍を呼んで
地球を止めて

ねぇ、
ブナが枯れちゃった
僕は悲しい
そんな僕を見て
君は悲しい
でも、
僕は ....
その国
国なのに王を持たず
恋人もいない

波打ちぎわが逃げ続けるので
海は憧れの的

         つぐみの子が口を開け
         「夢が叶った」
         と ....
時として
慟哭の色合いを持って
透明なハンマーが
君の頭を穿つ

散る最中
途切れる瞬間
微かな振動

その塊を紐解いて
中心へ向かえば
光輝く幻が
君の指先の示唆を
辿って ....
僕には、あなたが
いてくれるだけでいい
何をしてくれとは言わない
そこにあなたが
いてくれるだけでいい
あなたがそこにいることが
僕は何よりもうれしい
たまにしか会えないから
また会え ....
マジャン と聞こえたので
えっという顔になった私に
中国人の友人は ジェスチャーをしつつ
マジャン と言う

なんとなくそのしぐさから
ああ マージャンね というと
日本では マージャン ....
煙突の上に煙突が乗っかって
綺麗な空だ
黒い空だ

人を憎むな
人を憎むな

こぼれ落ちる星がひとつ
ファミレスの窓がふたつ

天井が壊れ
フィルムの中で踊っている
くるりくる ....
震える言葉を摘み取ってみる
掌の中でフルフルと揺れて溶けて
流れることも滴ることもなく揮発する

赤い液体を吸い込んでしまった
痺れる感覚は思い込みなのか条件反射か
そんなこと、どっちでも ....
えっちな牛乳

というタイトルの牛乳を買った


1本300円するのだ



飲んだ



なんだ 普通の牛乳と

何も 変わらないじゃないか



 ....
例えば優しさがあって
それは優しさだけど
君を傷付けたとする
僕は悪くないとは言わない
君も謝られることは求めていない
後には傷が残ってしまう
難しいね

ねぇ、
公園の三毛が
仔 ....
小学校の体育の時間に
逆上がりができなかった
隣りの席の女の子が休み時間に
鉄棒をしにいこうと誘ってくれた
ぼくらは二人で
校庭の隅に立つ鉄棒に向う
鉄棒は低いのから
順番に高くなってい ....
可哀相な音がする

車も人も少な とぼとぼと
あなたの足でやって来る

歩いてんのは子供ら だろう
ぽつりぽつり
ジャージャー橋を
そしてぽつり と



歌の匂いをのせている ....
さみしい
言ってはいけない言葉
かもしれない
夜中 想うきもちは

さみしい
想ってはいけないのかもしれない
過去の過ちだから

さみしい
かっこ悪い
正しくない
素直になるな ....
風船が飛んでいった
遠く
遠くへ
そして
すーっと
空に融けた

機械仕掛けの巨人兵が悲しい顔をする
手は空に差し伸ばされている
僕は
いいんだよって
しょうがないことなんだって ....
Englishman in New York が聞こえる
懐かしい香水の匂いが通り過ぎる
地下へもぐる階段で
地下鉄の隣の席で

自分の左手を見つめる
指輪がひとつ
そのほかはヌード
 ....
かえろうよ
そう言って風は積雪の氷をはがし
小さな白い頬を撫でた

一瓶の底に這う旅
握りしめる緑の葉づれ
きこえて 忘れて

かえれないよ
そう言って風は積雪の氷を埋めて
小さな ....
トーン
トーン
と、
黒い影
頂上から落ちてくる

灰色の空
白い壁
音は無い

飛び込み台
水は張っていない

トーン
トーン

死人はいない
死人は無い

黒 ....
君に対して
誠実な言葉を口にすることが
できなくなったのは

君が僕を軽く扱うから

それは僕が
気が付かないまま
不誠実な行為を繰り返して
いたからなのか

ゆっくりと壊れてゆ ....
それは嘘かもしれない
いや、
本当かもしれない
まさか、
嘘でしょ?

じゃあ、心に聞いてみな
心は嘘つかないから
本当に?

じゃあ、風に聞いてみな
普遍的な事を教えてくれるは ....
どしゃぶりの雨がふった

桜がようけ咲いたのう、
事務のおじちゃんが
きのういってたのに

はなびらが日差しに透けて
枝と枝のすきまから
春がちらちらもれて
ああ、うらやましいなあ
 ....
横にずれる
時折見え隠れする
交代の時
予感する
もちろん
偽りだ
話の焦点が合わないのは
君のせいなんかじゃない

月は満ちてる
高架下の恋
囁いたね
過ぎ去ったね
色褪せ ....
雨になりそう

バスがぐるぐるまわって
ETCレーンを抜ける
分離帯の植え込みが
千切れ飛んで
そしたら一本目の川を超える

珈琲色の田が広がる中洲
土手に目を向けると
赤いジャー ....
左折レーンにいた
交差点にしゃがみ込む人たちを見た
赤い小さな水たまりを見た
音声を風が運んだ
がんばって…
がんばって…
助手席の彼女が見たもの
人の言葉を持たない小さな生命が
消え ....
通りのつむじ風
吹き抜けて
枯葉が舞う

昨日見た猫は妊娠していた
警戒を強め
その目には生きる意思と
か細さがあった

春がやって来る
暖かくなる
桜が咲く
居場所の再確認
 ....
言い出しかけてる僕らはずっと光のような錠剤
たたずんで立ち止まってただ休んで

向こう岸駆けてるちいさな曇りのような困惑
あくびして背伸びして放りだして

すぐにそうやって今日もなんだかあ ....
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