すべてのおすすめ
残暑 ひとしずく
ゆるゆると溶かす
慣れた絵筆が
パレットの上で色を作る
頬も胸も
灯の色にいろづけて
夕焼けに
どこへも行きたくなくて
どこにも帰りたくなくて
バイクの君の背 ....
ウィンカー点けて
スピードを落とす
助手席から夫を不思議な顔でみる
どうしたの
後ろの車が追い越していく
若いカップル
追い越したいのは越させた方がいい
その言葉に驚いて笑っ ....
ボールペンの中
色づけされた決め事が
力を預けられなければ
生きた証をはしらせられないことと
無関係に沈黙している
トンネルに守られてる
暗闇の声達
キャップをとって
かみへ
....
ただ
空だけが去っていくよりも
窓から見える電車の行方が
気がかりだった
アフターサービスは万全です
断言した店員が
明日にはまた別などこかで
同じような物語を語り続け ....
あなたは陽のように
わたしの胸を
つつんでくれました
わたしは影となり
あなたの心で
生かされたいと願うばかりです
あなたは哀しみをまとい
それでも生きようとする姿に
光り ....
いつか、
絶対に来ない
来ることのないいつかへ向けて
わたしはリンゴを収穫する
重たい実をぷっつとハサミで
ずっしりとしたひんやりが手に
枝はお辞儀をして
チャオ
それ ....
あの日
あっというまに難破した僕らは
流木にもなれずに
世界中の海に散らばった
絶え間なく打ち寄せるくらやみの音色に
安心してしまいそうな
ちいさな木片
ほんの少しの誤り
いく ....
きりぎりすに憧れて
毎日泣き続けた
涙が涸れてやっと
きりぎりすになれた
美しい鳴き声は
声ではなく
羽の摩擦音だった
少し興ざめして
もう人間には
戻れなかった
白いプラスチックの大きな箱の中で
さっきから火事
もうもうとグレーの煙
激しい咳き込み
箱の下からは
ちょろりちょろりと流れ
とても清そう
ひとくち飲んでみたい
箱の上空では
....
スタンドの明かり一つ
扇風機の音が聞こえる部屋
木目の壁に映る
後ろ姿の影は
黙って首を振り続ける
明日
どんなに騒ぐ人がいようと
やる気の無い人がいようと
ぼくは ....
牛がこない
遅れるなよと言ったのに
メールさえ返ってこない
電源を切っているのだろう
遠くに
うすちゃ色のまーぶるがみえる
きっとあれだ
おーい、と呼ぶ
MOO―、と感情を長くのば ....
目を覚まして
つけっぱなしの電気に
駄目駄目と首を振る扇風機
頭上ではコンポが唸ってる
抱かれない抱き枕に
足だけ投げ出して
ヨガのポーズをとってみた
ちょ ....
エアコンをつけっぱなしにして、裸で寝たせいか
今日は少し、頭が痛い
のどが痛い
食欲がない
アボカドを半分に割って、醤油をかけて
スプーンですくって食べた
昨日のキスが忘れられなくて
....
日々の砂漠に
埋没された
わたしは一本の指
墓標のように立ちながら
指の腹にひろがる指紋は
いつからか
一つの瞳となり
遠くから荷物を背負い
こちらに向かって歩いて ....
だきしめてください、この四肢に
わたしに体温をなじませてください。
はいでください、この邪魔なもの
わたしとのからだをかんじてください。
ふれてください、このくちびるに
わ ....
死なんといてえや
おってくれな
生きていかれへん
そんなん めっちゃ
かなしいわ
ああだこうだの理由やのうて
そんなん めっちゃ
かなしいわ
そんな ....
どうして
約束を
結ぶと言うのだろう
つないだ手は
結び目のよう
雨に濡れると
もっとかたくなる
強くひっぱって走った
雨の檻つづく
強くひっぱられて走った
かたく
....
朝が来たので洗面台で顔を洗っていたら
排水溝の中から声がしたので
どうしたのですかと尋ねると
流されるままに生きていたら
ここにたどり着いていましたと返事があった
申し訳ないですが僕は時間が ....
たまらなく生きたくなった日
空は青々として
重い曇が素敵な程輝いていて
泣くことしか出来なかった心が
最後の雫を溢した
空気はみずみずしく
仄かに甘い香りを漂わせて
いつかの ....
夏ごとに
おしゃれになってゆくおまえが
自慢のミュールで前を行く
{引用=
(なぁ、おまえが選んだっていう
(このお父さんの水着
(ちょっと
(トロピカル過ぎやしないか
}
いつか
....
少しずつ
明かりが点り始めた街を
歩道橋から眺める
気ままな
散歩の途中で
緩やかなカーブを描いて
線路の上を走る電車
朝に出掛けた人達も
またこの街に
戻ってくるんだ
....
いこう
この丘をのぼったら
一面の星空みたいに、きらきら輝く町並が見下ろせるんだ
キミの手をつないでゆくよ
いこう
澄んだ夏の青は
海を宝石のように輝かせるんだ
....
雷鳴が轟き
空はアルミホイル
蝶は葉の影
鳥は枝の下
荒野に佇む
独りの城
城壁は濡れて黒く
野ばらは閉じて久しい
稲妻が城門を叩く
開けたのは王女
嵐の日だからこそ
旅 ....
いっ
かまえるなよ
てめえら
何が何と言っても
誰がいって言っても
空はいつだって蒼く
女は永遠の海で
おいら達男には
それこそ
だれが何と言おうと
永遠に
謎であるのだからな
旅先で出逢ったひとと
うまい酒を飲んだ日は
深夜にひとり戻ったホテル部屋で
まっ赤な顔のまま
はだかになりたい
ベッドの上で
パンツいっちょう
はだけた浴衣
へべれ ....
涙を拭いた君は くしゃくしゃになったティッシュを
燃えないゴミ用のトラッシュボックスに投げつけた
燃える用のやつに入れなきゃだめだよ
僕が久しぶりに搾り出した言葉は
後悔さえ出来そうにない ....
わたしたち
流れて
真夜中の水になる
あなたの喉をやさしく潤して
そっと
夢の中にしのび込む
水は落ちてゆく
あなたの肩から腕をなぞり
そして
温かな水の中へと
導かれて
....
あの人のうたはいつも悲しみに満ちていて
僕のちっぽけな悲しみを一緒に包み込んでくれるんだ
あの人のうたはきっと全てが苦しみだけど
僕のちっぽけな苦しみをどこまでも引き連れてくれるんだ
....
殺したいのは、おまえだ
焼き殺したいのは、この心臓自身だ
かきむしる感情を
表すことばなどないことは知っている
生まれてこなければよかったと
何度、思ったことか
....
夏は涙を流してくれない
秋
瑞々しい草木の
しなやかな手に雫を落とす
冬
食卓のある窓の
鈍色ガラスに雫を垂れる
自分たちの体温に気づいた時
季節は泣いてくれる
....
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