すべてのおすすめ
なんでもはなせるといいながら
なんにもはなせていなかった
ふたりは
おたがいはなすことなく
おたがいはなしてしまった
それだけの
はなし
昨日の雨は上がって
今日はよく晴れた日だ
大きな音楽をかけて通り過ぎるのは
灯油屋のトラック
たくさんの鳩が止まった電線は
重たげに弓形を描く
当たり前の朝だ
....
物心ついてから
ひとりだという気持ちが強い
家族や友人や物や時間
のあるなしに関係なく
ただ自分の癖として
ひとりだという気持ちが強い
楽しい場所にいても
好きな人の隣にいても
....
夫がいる週末は楽しいから
なんにもない平日を
早送りする
だけど、今夜は
夫が
携帯電話と間違えて
リモコンを持って行ってしまった
夕飯を食べる時間に
夫がいないので
....
switch.
ずぶ濡れになった脳漿に
楔が溶けるような、
おと。おと、
踏みつけて割ったCD/私はそれをまるで他人のような目線で見ている/お気に入り、 ....
朝 魚だったものが
夕方には生花に変わった
明朝には昭和を生き延びた築堤も
すっかり掘り崩されているだろう
燃え落ちる前々日に新線開通
潮で潤すことができなかったいきもの
忘れた積りはなか ....
あなた以上の あなたではなく
あなた以下の あなたでもなく
あるがままの
あなたが素晴らしい
あせらずに ガ ン バ レ
もうずっとずっと昔のことだ
公園でかくれんぼをしていた
わたしは見つからないように
自分よりも背の高いしげみに隠れた
しゃがんでふと斜め上を見ると
大きな蜘蛛が巣を作っていた ....
いくつかだけを覚えていれば良い
喪ってゆくというのも
何かを得るから喪うのだ
人間が生きていて忘れるのも
生きるために整理をしているだけなのだ
ほんの少しの脳の
我が ....
鏡のふちに
霜が降りている
唇のはしが腫れはじめ
痛みがやむころに
枝先から影が落ちる
おもむろに声をあげようとして
言葉にならなかった音の破片が
ガラスを震わせる
あなたが
どこか ....
なんでもないことのように日々が
過ぎる
実際はなんでもかんでもが
おこる
どうしようもなく失くしたり
左足だけ見えなくなったり
足りないながらも戻ったりするが
一切の感情は描かれず
ま ....
雨が降っている新月の夜に
春めく虫たちのため息がひらひらと
蝶になって飛びかっている。
ひろびろと草原はそこにあり
うす桃色のパンツのとてもなまめかしく
ハートのかたちしたそれに、つい触 ....
もし ぼく が かんじょう を ポリぶくろ に つめて
すてる ことが できたとしたら
どうだろう
まいあさ しゅうしゅうしゃ が やってきて
あちこち で ふくろ を つ ....
昼下がりの陽射しが
雪のじゅうたんをめくって
春をたたきおこす
小さな飾り気のない
窓の外では
ゆきんこたちが
まだ
ぺちゃくちゃ
おしゃべりしている
それでも
待 ....
ひとりのおんなの形をしたいのちが
染み付くほどあかい
燃える野に立ち
斜めになびき
腹に手をあてて
まだ完全にはにんげんでない形をしたいのちが
ここにいるとは
とうてい
とうてい
....
ボトルの曲線
タイトの曲線
かつんかつんのOLさん
かかとすりへりうむでへんな声
ださないで
浮かんでて
フルーツ消しゴム噛んでばらばら
吐き出しても残ってる
どうしてこんなことし ....
イヤホン越しに
鼓膜を叩きつける
メロディーに
いつも
どこかで
渦巻く
この
どろっとした
まっくろい衝動を
代弁してもらうことで
フラストレーションを
発散させている ....
だいたい まいにち
かしつき かかえて
せんろのわきを かけてくふたり
ふみきり とびこえ
しんごう むしして
パンダのむれを たくみにかわす
きょうはどこまで いけるだろうか
ゆうひだ ....
くらくて せまい 箱の中です
(遠くで雨がさめざめと泣いている近くで雷が
わたしは閉ざされた内側しかしらないから
それは怖いものとも思わなかったけれど
日がな一日膨らませた ....
ひき肉を買った
何だか退屈な日常を少し変えたくて
冬のわりには暖かく
スーパーは少し込んでいる時間帯で
特売ってわけでもなかったけれど
料理レシピのサイトでふいに思い立ち
ひき肉
....
ひよこを食べる猫がいて
あるときひよこが
噛みついた
それからひよこは
猫を食べたり
ときどき親を
食べたりも
する
※
ひよこをだます猫がいて
おかげでひよこ ....
そらのどこ
とぼくがたずねると
きみは
そらのとこ
とこたえるのだった
だからぼくはまた
そらのどこよ
とたずねてしまうからきみは
そらのとこよ
とこたえつづける
いつま ....
夏の午後 影は濃く
姿勢の正しいあなた
まっすぐにねむる
貝殻のボタン
ひとつ失ったまま
くんと伸ばしたつま先から
夏が逃げてゆく
砂がはらりと落ちる
そして落ち続ける
傾い ....
始めに朝があった
僕たちは扉を開けて
靴音鳴らして別れてった
「自分に自信がある男程SEXが下手なんだよね、何故か分かる?努力しなくても良いから。自分に卑屈な男の子の方が自分に ....
石けんの香り
ゆらいで
沐浴
朔日、
娘が生まれました。
張りつめる乳房の
端から
わたしの血液を
ふくませ、
ふくませ、
新月のひかりで
臍の緒を断ち切ります。
....
耳のようなかたちをして
母のおなかの中でうずくまっていた
そのとき私は
ひとではなかったが
確かに
ひとの一部のかたちをしていた
二十歳の誕生日に
ストローの束をもらった
もうすぐ ....
いくぜー あーはー 行こうぜ いくぞー
俺たちにできることは 世界の光をぶっつぶせー
ヘイヘイヘイ
俺たちにできることは 天使の羽をひっこぬけー
ヘイヘイヘイ
スピードフリークは弾丸 ....
どこのひとでもない
という私
普通の会話の中
会社での事
不況の中 仕事があったりなかったりで
決まった担当をはずされ
ある仕事をいただいている
慣れている仕事 慣れていない仕事 ....
土曜
日曜
ぼくは
ねじ曲げられた
風を
覚悟しなくてはならない
それを
目の当たりにして
気のふれない
強靱なこころを
持たなくてはならない
ほら
十三日の金曜日 ....
朝陽が昇るまでのひと時は
忘れられない思い出を捨てるための
かなしい時間にならないといい
そっと歩き出していくには
ひとりでもふたりでも
優しさよりやさしい祈りが必要だから
眩しいくら ....
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