すべてのおすすめ
もう二度と行かないし
もう二度と帰って来ない
フェリーの二等客室に籠りっきりで
俺はずっとノートに言葉を書きつけていた
海の色はクリーム色
世界は脅威だ
俺の知っていることは
世界の ....
鉛をひきずるようにして
一日一日をすごしている
一日がおわると
カレンダーのその日に/線をひき
あなたが入浴したときには 水色の○をつける
ウンチョスのしるしは おれの手帳に
Unch ....
もうずっと
ひとりぼっちで
ながい
ながい
よるを
あしもとには
ゆめのくず
ひろって
すてて
ひろって
すてて
くりかえ ....
仕事帰りに寄るレストランで
よく頼むキャベツの千切り
日によっていつも
ドレッシングのかけ具合が違う
毎日同じように見えるとしても
目の前にあるのは
一生に一 ....
あなたのこと
愛したからって
何にもならないけど
愛してしまったから
愛している
息をしたり
水を飲むように
当たり前のことだから
闘うまえの 夜は こわい
こころも からだも
ブルブルふるえて
ねむれない
ねむれないまま
夜があける
朝日をながめる
トイレにいく
レタスとチーズをたべる
ガムをかむ
流 ....
美容院の新人の男の子のユビが胃がすくむほど冷たくて
君のゆびの冷たさを
記憶に呼び起こされた
抱きすくめられると不安になって何も話せなくて。
ごつくてすらっと細い指がなぞる ....
わすれていた
おまえからの電話とか
おまえへのメールとか
手紙とか年賀状とか
「結婚おめでとう」
おれおまえのこと好きだったんだ
ちょっとだけ、とか
そういうことを
そうおもっていたこ ....
つかまえれるものなら
つかまえてごらん
ほんとに すきなら
ほんとに だきたいのなら
つかまえてごらんよ
あたしという かぜ を
うちゅうがうまれる ずっとまえから ....
錆びた釘 カンの切れ端 木屑をめくれば虫
雪で潰れた物置小屋の腐らない破片をさらう
小さなスペースに散らばっている小石
両手で包み バケツに集める
土台と共に 捨てられる礎
....
上空とかってーまじすげー色
今日の退屈感が浮かんでたり
噛み砕くそういうのの
いろいろな感触が
胃の中で溶けてく
メルトダウンしてたソファーで
助けれない
ふんわりと
....
夜がうごいた
なまぬるく
あかい月のためらい
翅をひろげる雲たち
思い思いに
駐車場わきで
黒猫がスーパーの袋かじってる
貧相でうすよごれて
でもどこか清楚
みずみずしく香るけだ ....
きいてね。
きいたこと、あってもね。
うるさいだろうけど、ね。
ねぇ、きいてね。
きいてね。
その耳たぶでね。
もっと奥のほう、
まごころ ....
沸点で淹れた紅茶に
蜂蜜と
生姜の絞り汁
握り拳よ
芯部に響け
きみたちが求める女に
雄々しさはあるのかい
絞め殺したくなるような可憐さ
汚したくなるような透明感
ほんとうは
....
夜中にひとり食パンをかじる
バターをつけないで
ジャムをつけないで
電気もつけない
冷蔵庫の前にしゃがんで
はみはみ
虫みたいに食べる
どこか外国から船に乗せられて
海をこ ....
カーテンを開かなくても分かる 今日は晴れ。
眠気を感じず きびきび 起きれた。
迷いなくベッドメイキングをする。
積んでた本に 小指をぶつけることなく洗面所に行く。
歯磨きからコンタクト装着ま ....
死んだプラネタリウムのそばの
かろうじて灯る街灯の下で
指と指をからませあった
身を切るような12月だった
旅自宅の途中で
こっそりと抜け出してきた
き ....
3月18日
かかりつけの産婦人科にて、妊娠していることが発覚した。
5週2日だった。
エコー写真に写る、虫みたいな黒い影。
「これが胎嚢です」と、聞いたとき、
診察台の上で
鼻を膨らま ....
抱かれていたら
いっさいの言葉が消えてしまった
あきらめに導かれて
横たわる生活に屈した
詩人は 歌をもとめて
音楽家は 色をもとめて
画家は 言葉をもとめて
それぞれに寝床をみ ....
わたし
こども二人うみましたよ
あなたのご希望にそったかわいい女の子
それで
ホッチャレですか? わたし。
産卵を終わった
死ぬちょくぜんの女ですか? わたし。
わたしは、まいに ....
杉林 針葉の緑をすり抜け
どこからか 舞い落りた白い花弁が
木蓮の紫の蕾近くを行き過ぎ
日陰に残る雪より先に 土に落ちた
山の 日が射す場所は暖かく
雪で登る事が難しいと思っている間に ....
転校
見かけだけでも明るい子になる
新規入社
しばらくの間仕事好きになる
妻
朝晩マッサージをしてあげる
自分
肯定する
天気予報
ふざけるな
髪の毛
他人の ....
私の娘に出会ったら
どうか伝えておいてください
何一つ伝えるもの残すものはないのだと
ただそれだけを伝えてやってください
私が道のそこかしこに置いた石に
あのこが躓こうとも
教えられよ ....
こころの中に
一つの家を建てよう
どんなに激しい嵐にも
どんなに揺れる地震にも
決して消えることの無い、一つの家を
地面に膝を落とす、日も
涙の絞り落ちる、夜も
....
言葉には温度があって
軽々しかったり 重々しかったり
しらじらしかったりするという
かき言葉に
それだけの意味を私が込めたとして
どの線からもそれは滲んではこない
私の指から離れた ....
日々
パズルのピースはかわっていく
何が昨日とちがうか
気づくこともなく
うつっていく
定められた正しさのもとで
裁かれて
選別されて
つぐなうつもりで傷をつけあい ....
あぜ道にはよもぎの群れ
なつかしい香りがきて
足をとめ
瑠璃色の頂をあおげば
中空にひびく
ひばりたちのクーラント
くり返されて
増幅されていく営み
遠ざかったもの
遠ざけ ....
張り裂けそうな胸を抱えたままで
整然とした街を歩いていく
君を失ったからではなく
単に空っぽな未来を想って
痛むこの胸がつらくて
知らないうちに奥歯を噛みしめている
若者たちが集まって ....
裏山で雪に潰され 折れた枝を集める
曲がった杉の木に足をかけて
土と雪を這い上がり 山道に出ようとすると
蝉の抜け殻が
木の根元 小枝にまじってあった
雪溶け水の下る
山道 ....
アナル、いわゆる肛門の奥には
秘密のスイッチがあって
それを押すと
あの町に行ける
真っ赤な部屋を抜けると
あの町、独特のモノクロの世界
娼婦の塔
高架を走る思い出
そして、涙に濡 ....
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