はなびら
しべ

可哀相な音がする

車も人も少な とぼとぼと
あなたの足でやって来る

歩いてんのは子供ら だろう
ぽつりぽつり
ジャージャー橋を
そしてぽつり と



歌の匂いをのせている
嫌な音は居着かない
ほら ここまでやってきた

刻んで消えない時刻を祈る
血のように流れぬ事なら

痣もつくったよく知った


信号機に子どもが三人
かれらは こんな 空ですら闊歩する

人の匂いと羽虫の点線
子どもたち
あの痩せた舌の上を歩くのか

人の焼けた匂いがする

花弁は崩れ
しっとり重なる絵筆に詰られ

川のむこう
紅が舞う

旅館のまえにカブがある

花は 花は闇の中
消しても消しても泣いても消えない
暗い蝶と戯れている

わたしは 少し
桜になりたい
川面の鱗に映っていたい


自由詩 はなびら Copyright しべ 2010-04-01 18:31:16
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