はなびら
しべ
可哀相な音がする
車も人も少な とぼとぼと
あなたの足でやって来る
歩いてんのは子供ら だろう
ぽつりぽつり
ジャージャー橋を
そしてぽつり と
歌の匂いをのせている
嫌な音は居着かない
ほら ここまでやってきた
刻んで消えない時刻を祈る
血のように流れぬ事なら
痣もつくったよく知った
信号機に子どもが三人
かれらは こんな 空ですら闊歩する
人の匂いと羽虫の点線
子どもたち
あの痩せた舌の上を歩くのか
人の焼けた匂いがする
花弁は崩れ
しっとり重なる絵筆に詰られ
川のむこう
紅が舞う
旅館のまえにカブがある
花は 花は闇の中
消しても消しても泣いても消えない
暗い蝶と戯れている
わたしは 少し
桜になりたい
川面の鱗に映っていたい