八月 二週 また 入院暮らし...
ガラスの塔のなかで、優しいひとらに、接しながら、病と添い寝して。
夏は、晩夏を迎えて、( もう、立ちつくし、亡くなっているのかも、しれない。 )
....
ゼロになりたい
無ではなく
確かに存在し
しかも
姿はなく
誰も傷つけない
影響もされない
ただ
存在する
消え去る必要もない
見えないから
たとえば抱き合っても ....
{引用=
羽ばたくものと咲くものの別れの日
そのそこに さらさらと
さらさらと ながれている
輝くものと沈むものの分かれのは ....
どうでもいいのだけれど
死んでくれとお願いされたら死にたくなる
罪を赦されたような、ふしぎに愛しさを覚え
そして、泣きたくなる
独りという存在で
猫になりたい、と漏らすと
だめだよと、 ....
黒頭巾ちゃんはその日、おうちでピアノを弾いていました。
空は薄ぼんやりとした曇り空で、照明をつけないでいると、おうちの中はまるで霧がかかっているように薄暗いのでした。
でも、黒頭巾ちゃんは、薄曇り ....
結婚します!
結婚します!
だからお見舞いに来てね!
あっちのお兄ちゃんは新しいお兄ちゃん!
あっちのお兄ちゃんは古いお兄ちゃん!
結婚します!
内臓が破れます!
腸が飛び出しま ....
セミよ
そんなに急ぐな
さっきから
空を見上げてばかりじゃないか
お前の
自慢のその羽は
ただ
アスファルトを掻くばかり
セミよ
今なら見えるだろう
あれが星座だ
私も昔 ....
あの人もこの人も濡れ{ルビ夕立=ゆだち}かな
{引用=
まるで見通せない
乳白色の霧の中
時折 虹色の燦きが
不安定な夢の充実感
あれは幸福なひと時だったのか
すぐ近くに 君がいたのを
知りもしないで ....
窓を開けると庭でねこじゃらしが揺れて
通り過ぎてきた時間を優しく撫でていく風
いつの間に同じ高さから空を見れなくなったか
なんて もう思い出せないほど遠くに流されて
昨日思い出に留まってい ....
わたしの余白には言葉を埋めないで、
どうかそのままにしておいて下さい。
あなたが埋める言葉はとても想いので、
ふたりはいつも沈んでしまいます。
句読点のない ....
義娘来て前夫の話しはずむ妻おれ、おるんよおれ、おるんよ
案外と生きることを難しく考えることはない
その場その場でやることに懸命になって
たまには息をぬいて
人生はすばらしい
苦しみも訪れるけど
高望みをしちゃいけない
....
こごえるように
<うた>をうたう
こえられない
こころで
<うた>をうたう
わたしの
生まれたての
<そら>で
まだ
....
{引用=あなたは歌うような
あしぶみで
まぶしくかすむ
曖昧な 八月十五日、は
さいわい
のびやかな放物線をえがいて止まる
おともなく
あたしは
きょう
部屋 ....
苦しみと悲しみふたつ慣れすぎて触れるときまであなたを知らず
骨と骨あたらぬようにかたち変え心と肉の汗ばむ出会い
苦しみとよろこび混じるあなた ....
丸い生きもの
閉じかけた
小さく細いまなざし
右よりも左が大きい
風で傷んだ
艶の無い肉体
自分のための四肢を失い
うるおいだけがあふれんばかりの
何も感じず
何も見 ....
、、、、、、、、、、、、、世界が半分で折りたたんで悲しんでいる
、、、、、、、、、、、、、悲しみのはじまりははじまりはおわり
、、、、、、、、、、、、、涙を流すほどの悲しみはない
....
美しき雷光の射す手紙かな
省かれる泉
稜線を寸断して
すぎる罫線の群れ
砂を踏、むたびに
....
おおきなとりが
そらからおちて
わたしにあかい
きばを、みせる
あいたくちのは
きいろのしたが
わたしのかおを
したからなでる
おおきなとりの
なまえはしらない
わた ....
1
ここに文章がおかれる事により
おこる作用
について考えなさい
2
コミュニケーション
というものによりそう脚力を我々は失いつつある
この問いに対する答えを
丸かバツで表示せ ....
それは嘘でもよかったんだ
リトマス
あなたは
もう二度と
ずっと
ずっと好きでした、と
つぶやくだけで
よかったんだ
あざやかに
心を朱に染めて
私は
あなたを忘れただろ ....
霧雨が運ぶは遠い音ばかり
我が水の薄さに萎える羽虫かな
触れるたび遠去かる音日々の音
ゆらぐ道ゆらぐ光の水の声
水もとめ{ルビ背=せ ....
一.
なんだかね
スーパーに行ったんだ
この街は夏でも冷房とかあんまり無くて
でもそのスーパーにはあって
涼しくて
何買うわけでもないけどね
近くの中華料理屋の中国人たちがいつもどお ....
村野四郎を近代詩人に分類するのは多少のためらいがある。確かに第五詩集までが戦前に刊行されており、戦前に出発した詩人として近代詩人の範疇に含めてもおかしくないかもしれない。だが、戦後三十年を経た昭和五 ....
もしも詩が書けなくなったら
家族にも友人にも行き先を告げずに
ひとりで旅にでも出よう
もしも詩が書けなくなったら
滴り落ちるような真っ青な空を眺めて
言葉に置き換えずにそれを受け容れてみ ....
おうい諏訪の兄ちゃん
どうした飲みすぎか
あーあ だから若い奴ぁだめなんだ
おいおまえら
そんなに元気なら
神輿担いでこい
こらこんなとこで止まんなよ
いやいや今から出てくるって
お茶 ....
人ひとりとどめてありぬ夏の山
庭の隅に植えた
松葉ボタンが
強い日差しに向かって
これでもかと咲いています
寒さに耐える姿よりも
暑さに立ち向かう姿の方が
戦っているような気がして
好きでした
あなたはそう ....
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