解放だ!
我が 世界中の 土民の 家に
植樹せよ
解放だ!
私らの 掌は 小さい
余りにも 小さいので
上に 気付かない
孤独の 一次元上は 死ではないか?
植樹せよ
我が 世界中の ....
あきらめたように
あなたは
横たわった
目を見開いたまま
この世の最後に
見つめる風景は
あなたの愛した場所かしら
それとも
思うほど
劇的な何かが
あったわけではなくて
....
りりこ走る
水の上
足の爪とは思えない爪で水はじき
りりこ走る
「あすこのスモモを取ってきてね」
りりこ走る
野っぱら
足の裏とは思えない裏で草踏んで
りりこ、りりこ、 ....
終電が過ぎて真夜中
ひとりきり家路を辿れば
無音ばかりがこだましてやるせない
呼吸をするたびに白い息は空に溶けていくのに
うまく言葉にできない気持ちは
もやがかかったまま解けてはくれない ....
男は我ら女を侵略する
二つの山あいを 猛々しい手と舌で闊歩しながら
歯向かうものなら 優しいその抱擁を武器に沈めてしまう
……その腕の海に
我ら女のか細い理性を切り取ってしまう
……細い糸を ....
手帳に記されていた歌
批評子
黒き髪妻は鏡を見入るなりわれは灯火に書を見つつ
見上ぐれば肥えた雀が並びけり春の弥生の散歩道
銭湯や男女子供の出入りして湯気の匂いのほのかにするも ....
世界に千の悲しみがあるなら
わたしのたもとで
それよ止まれ
あなたが
やさしく眠れるように
わたしはどんどん無口になる
世界は
とてもひとりぼっちだ
世界に千の悲しみがある ....
東に その 稲は 埋もれている
私の 髪を 切れ
一束を 稲に 添えろ
やがて 月夜になり
方角は 星どもが 決める事
やけに 質素な 稲が 敬語を 使う
光が 東に 走る
巨大な 水平 ....
こころを耕す
お日様をあびて
雨をよろこんで
実りを願うんじゃなくて
わたしは耕す
わたしを耕す
いいことばかりはなくていい
やさしさはほんのひとつぶでいい
実ったものは
み ....
☆
そろそろ着陸する
と云うので
五人の宇宙飛行士たちは
めいめい
色鉛筆や携帯電話や文庫本やマニキュアなどをしまい
いやいやながらも手をつないで
着陸に備えた
しかしそれ ....
心の中にある草原に
乾いた強い風が吹いているので
雨を降らせてみました
大きな虹が架かかりました
心の中にある森に
細くて尖った枝が軋んでいるので
葉を茂らせました
多くの鳥がさえず ....
ああ、ここにいたのかい(ここにいたんだね、)
抱えた膝はこわばって
下ろした腰は冷え切って
青々とした何を見ていたんだい(見ていたんだね、)
す
っ
とすじは白い
....
僕が大病して自宅療養してる頃(体重、最低で50キロまで落ちた!)、無理して出かけた帰りの電車、
ちょっと混んでたけれど、もう体力の限界が来てて、どうしようもなく空いてる席に座ったんだ。
そした ....
バケツの水が薄氷になったような昼間の月が
おらのはつはるをのぞいている
公園ではねむった「時」を祝福するように
乾いた空が凧の舞いを演出している
そ ....
{引用=――荒川洋治・稲川方人・平出隆を中心に}
日本の現代詩の歴史を顧みると、いくつかのターニングポイントとも言える節目があることに気づかされる。もっとも大きな節目は第二次大戦後の一九五 ....
あの小さな恋が終わって
零したのは少なからずの涙
残ったのは心地よい 何処かしら懐かしい 小さな切なさでした
けれど この大きな恋が終わって
零したのは数え切れない笑い
私がせっせと私の中で ....
いつか会えるときまで
枯葉が
砂になるまで
両手ですくいとって
散っていく
その上をセリが
嬉しそうに歩く
そう
いつの日か
というときの
未来は
眠りの
....
青々微のアラン・ギット青年は、側女のヘンリエッタ・イワノア嬢に昨晩、手の甲を噛まれ負傷しました。
おかげで彼の深い灰色の目は、いつもにも増して憂いが見えるようです。
カフス釦やら珍しい魚 ....
ガードレールの
かすかなすり傷から
少しずつ、ずるり
赤錆と化してゆく
そこを避けて触れた人さし指の
さらさらの、その
真っ白に乗じて、何も
何もかもわからな ....
風が走る
土が舞う
水が震える
枝が軋む
風は思うままに
その力を誇示するかのように
押す力が押す力を加速させ
どこまでも走り通す
風が飛ぶ
森が揺れる
岩がずれる
波が ....
詩を書く時、詩を詩たらしめるために、韻律という要素は欠かすことの出来ない大きな要素となる。頭韻や脚韻などのいわゆる押韻とリズム、詩の音楽的な要素のふたつを合わせて韻律と呼ぶ。
日本の詩の淵源が和 ....
身のまわりのひとところが
なんだか前よりも
がらんとあかるくなった気がするのは
そこに虚無がひとつ
生まれていたためだった
私はいまだその大きさも輪郭もつかめず
いつかつかめる日がくるかど ....
白い壁の、階段の、連続していく景色
寒い手を賑わせる文字、投げる言葉の
飛び越えた繋がる線の上の、息のある場所
いつか、気付く心が伝えたかったこと
特別な声が流れて
枯れ草が風になび ....
バイトを休み家でAngbandをしていたら
光熱費協会が来てインターホン越しに今月払わなければ電気とガスを止めると言うので
俺は詩人だというと
何か機械で調べだして
えーと馬野幹さんですね、な ....
家から
ずいぶん歩いたところに
金魚屋があった
知らなかった
金魚屋のおばさんは
15センチくらいの
お腹の大きな金魚を
ひょいと手のひらに乗せて
「こんなこともできるしさ」
な ....
呼びすぎた朝です
きみは楽しくする術を
知っているので(物語というおわりのないもの)
まだあらわれません
死んでしまったようです
今日の報せは過去について。
またたきの記事はとうとう
....
「あ」と声に出そうとして
うまく発音できなかったそんな目覚め
冬はもうすぐ終わるというのに
まだ春は土の中であたたかな夢を見ている
喉が掠れて泣いているみたいだ
裏返って仕方ない。
空はな ....
屠る粉を撒き散らす新聞配達少年のスキップ
硝子蝙蝠は陽だまりのなか彼岸花を摘んだ
泣いているよ!
烟る紫煙の向こうで悪魔が嘲笑うから
漆黒で顔を洗えば何もかも消せるのか?
首切る猿 ....
輪の裏で
小人の群れを掴み
握り潰す
手の端から
零れる体液を頬に塗ると
始まりと終わりの境界を見ることのない
私たちが
夕日を捕らえ
夜に
引きずり込んでいく
えりくすま、え ....
「君ハ僕ガ、イナクテモ生キテイケル」
遠い台詞ぶら下げて
あなたが
部屋を出て云った
「後生ダカラ、戻ッテ」
泣けるほど
強くも弱くも無くて
あなたを追い掛けられなかった ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79