{引用= 空をイチョウが渡っていった
最初は一枚
次には乱舞
真上を通った瞬間に
くるくるイチョウの形が見えた
落ちてきながら
落ちてはこずに
....
世の中は
宮崎 勤の部屋の
ように雑然としていて
綾波 レイの部屋の
ように殺伐としている
見えないところに
化石が出来た
柔らかかった
良い匂いがした
叩いても
撥ね返される
または
粉々に
割れる
水をかければ
ふやけたりせず
溶けて流れてしまう
....
静かな 音色が 私の
腕を 釣る
首まで もっていかれ
死は 釣られ
音色は 小川を 走る
十字星 にも 似ている
まだ
まだ 終ってはいない
私の 足が 主のいない
夜道を 歩 ....
クリスマスも近い
十二月の寒空の下
市役所前の歩道に立って
反戦詩を朗読する青年がいる
見よ
言葉は
こんなにも
無力だ
ことばは
切り離されてゆく
発したとたんに
ことばは
わたしから
切り離されてゆく
あなたから
切り離されてゆく
繋がらない
わたしと
ことばの
あいだで
....
憎しみも悲しみも
その手の平で握り締めて
手を繋いでみてよ
その重みに君が泣くなら
僕は君の罪を食べる事が出来る
兆し
まだ何のためか
なんであるか
わからないまま
僕は
昼間泳いでいる
つかんだ波
はなさないために
好きでいられるように
とつとつと
祈る
笑うひと
奪う波
死に ....
あの日の電話の奥では結局どこにも繋がっていないと
夢を語るような視線で伝え合っている
その不確かな存在証明に、わずかな呼吸で集中すると
世界は真っ直ぐに夕暮れ落ちて
確かめようとする背中も
....
ガマの穂が天に向かい綿に覆われて立っている
安らかな秋
まるで別世界のことのように
自分のことを思う
帰りたいと願う
時間を戻してくれと願う
叶わない願い
わたしの歩く道から
ガマの穂 ....
しんけんにいきるってなんだろう
しんけんにいきると
どこからかちぇんばろのおとといっしょに
てんしがむかえにきてくれるのかな
ばかにすんなよ
なめるんじゃねえぞ
てめえ
夏みかんのドロップをひとつ頬張る
尖った円みはじゅわりと溶ける
バスは南進し
北の曇天にルートを決める
僕は街燈になりたくて
街燈になった
こんな砂利道に
仲間が ....
たぶん400円くらいで安売りで
「 出て来いストア 」
たぶん肌触りが気持ちいいのは最初だけで
「 出て来いストアめ! 」
たぶんごきぶり瞬殺とか一生ムリで
「 出て来いって言ってんだストア ....
国道の真ん中で眠っている 星がものすごいスピードで流れていく
蝶が僕の掌から蜜を吸う 黄褐色のエナジー
リズムがコースから外れていく リズムがゆっくり遅れていく
ずれている 僕が足を踏み ....
何故 君はいってしまうのか
大人たちよりも ずっと ずっと先に
危ないよ
あんまり先を急ぎすぎると
石ころだか何だかわからないものにつまずいて
転んでしまうよ
危ないよ
とん とん ....
寂しがりやに 性は重く
身体に深く響く 哀しみ
融合に胸を躍らせ
光を崇めながら
闇に駆けていく
美しいあの人
空しく延びた手
受けとめる胸は
塞がれてお ....
ちがいますか
そうでしょうか
あなたは
まちがっていた
そして
わたしも
みんながこおるただしさのなかで
きえていったほしたち
を
おいかけて
すなあらしのなか
けいじじょう
....
あなたに逢う前に
私はおまじない
今度は
おぼれませんように
こころに
青いウェットスーツ
ジッパーの
代わりにくちびる
きゅっと
結んで
あ ....
今日
自分が 自分を
産む時 である
従って
回るものは
抗癌剤のような
愛である
誰の意見も 聞かない事だ
愛が言ったので
愛が自殺した
まだまだ
まだまだ
夜行性の言葉が羽ばたいていた
子どもだけがそれをじっとみていた
凍えた空に花が貼りついた
月は存在が伝言だった
震えた縫い針の鉄橋が
銀河のデゴイチの受け入れを許可した
暖かい ....
ともだちが多いほど
幸せなことなんだって
そんなふうに信じてた
ときもあったけど
誰かを一心に
想いつづけて
生きていくほうが
もっと幸せ
そんなふうに信じてた ....
青い・・・広がる 青に
青いという表現はいらない
もう
説教の自殺はやめよう
私らは
青い世界での 薬売りに
ハルシオンを 購入する
ために
生まれてきたのだ
せつな的なものは ....
頭上からガンガンと大音声が響いてきて
見上げれば汚いトレーナーを着た中学生の兄弟
階段を上がって来いと言われ
戸惑っていると
「お母さんがいるから大丈夫」
と双子にしか見えない顔で言う
右 ....
「俺の生まれできた意味はどの本読んでも載ってながった」
途端に息ができなくなった。苦しい。無理に息を吐き出そうとして、アバラ骨が軋む音が聞こえた。空気を吸う事もできない。呼吸の仕方を忘れてしまった ....
事実上の 音楽が
私の 頭痛に対する
時間を
稼ぐのだ
らせん状の 邦楽が
盲目の ピアニスト
私の 頭髪に 就く
ために
私は 事実の上での
作曲を しなくては
ならない ....
手と手が触れ合わないだけの理由が
夥しくて
冬は、一層
失いやすいものから失ってゆく
自然な成り行きだと、して
ほら
はらはら
葉がアスファルトへ ....
朝になると
静かにそれを繰り返す屋根の波を
勝手に世界と呼んでいた
語る言葉はどこかに置き忘れて
少し笑う背中で世界に潜り込んでいく
息を吸えば吸うほど
体は軽くなっていくはずで
両 ....
全ての星の配置を画用紙に写し取った
夏の大三角と冬の大三角
航跡で真っ白になった空を見て
ほう、と溜め息がまぎれて宙に昇っていく
新しい星の粒子は
寒い夜にふと漏 ....
威風堂々 彼は荒野を行く
その足音は 大地を揺るがし
その瞳は 燃えるよう
ある者からは 恐れられ
ある者からは 忌み嫌われて
彼は広大な領地を手に入れた
一人の男が無断で入ってく ....
朗らかな、朝。親父は居間で自殺していた。なんともおかしな話だ。部屋の中は煙草のヤニが染み付いているはずなのに、どうにも糞尿の臭いが鼻を刺す。オレはその異様な空間で、地上五センチの隔絶で人は死んでしま ....
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