いちたすいち
恋月 ぴの

いちたすいちは
にじゃないと答えたら
みんなに笑われた
でも
美術の先生だけは頷いてくれて
スケッチに出かけた
あの丘の上から
故郷の青空をいつまでも眺めていた

ずっと憧れていたことがある
好きなひととふたり
幌馬車に揺られ
どこまでも

幌馬車の行く先々で待ち受けるもの
それは何て言うのだろうか

ふたりでひとつのかたちをつくる
「好きなひととはこうあるべき」とかの
既成概念に捕われることなく
ふたりの
かたちをつくり出す
それが大切なんだよね

ベレー帽の良く似合った先生
今はもう
手の届かぬところへいってしまったけど
飽くことなく眺めた青空は
あの時のままで

これから わたし幌馬車に乗る
好きなひととふたり
栗毛の可愛い馬に引かれ

幌馬車は行く

明日はやって来るものではなく
自らつくりあげるものと信じて



自由詩 いちたすいち Copyright 恋月 ぴの 2007-05-27 22:27:21
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