空いっぱいの大きな薔薇が咲く
君はその下で
黄色い鳥を撫でながら生活する
きれいな薔薇には棘があるので
二流の悪魔なんかには
とても触れやしない
幸せになれ
....
目が覚めるまで牛を数える
あなたではない夕焼けの犬
果物たちの輝きの果て
最終回の最後に回る
考えているふりをする脳
あっけなく開くフタの静けさ
物語が終わって ....
ささやかな幸福で生き延びてしまう人に凭れて生き延びる国
一つの生をたずさえて
一つの死をたずさえて
赤ん坊から老人マデ
寄り道しながら
僕は行く
今は何もせずぼうとして
うねる夏の光を夢見ながら
美しく深まっていく世界を信じ
....
悩み無用の愛に事足りて
男泣かせの女 装って
暇つぶしに ひっかけて
拾った男 繋いで
冗談でもウブなんて言わないで
そんな子供扱いはよして
もうこの街とも お別れ
またあた ....
すうっと細く、立っている
南天の赤い実たちの中に
一人 空のお日様を
小さく映すものがいた
かわいいね
っていうと、風にゆれ
緑の葉たちも、風にゆれ
ひそやかに舞う
互いのここ ....
遅かれ早かれ
向き合わなければならなかったのだろう
当事者ではないのに
緊張で心臓がどうにかなってしまいそう
光と闇が
階下で
息を潜めるような静かな声で
これまでの
鬱 ....
私があなたに話しているのを、そこから見ているあなたがいて、
私が私自身に話しているのを、どこかで見ている言葉がいた。
あなたに向けたつもりの言葉も、結局は自分自身に向けられていたのかもしれない ....
君はその身体に
神話と寓話とを
ありったけ詰め込んで
旅立つよりほかなかった
君が旅するほどに
君の身体の中でそれらが育つので
君はいつも張り裂けそうだ
君の身体から
抑えきれず放たれ ....
詩を書いて
死にたくなって
又書いて
又死にたくて
又書いている
....
このまっすぐな夜の向こうに
蝶の朝がある
こまかな傷の大小に値札をつける
この波を営みと受け入れられず
はねのないものは歩き、
足のないものは泳ぎ、
背びれのないものは飛び、
....
空は灰色、
街行く私の背は屈み
あてどなくさ迷いながら
灰色空から雨、ポツリ
ポツリポツリと降って来て
視界はかすみ歩は鈍り
(今ごろ森では紫陽花の
青白く光る群落が
ゆらんゆらん ....
自分の住んでいる街の全てを
知っているわけではない
街歩きして
良い店に出逢ったり
懐かしい同級生に逢ったり
懐かしさばかり
目につくけれど
街は年々変化している
新たな発 ....
微睡みて雲の夢など見る
浮いて沈んでまた葱を切る
漁火を数え漁獲を想像し
夜な夜な届く電波が眠りを妨げる
闇へと続く線路の先に赤い点
少年と少女
青年と恋人
おじちゃんとおばちゃん
今
世界のいたる場所から聴こえる
くちづけの音に
....
そこから見れば
快晴にしか見えないのだろうが
ここから見れば
ひとしきり土砂降りのような悪夢
手渡しておくべきだった
吹き荒れる直後の懺悔も
ほどなく形式的な表層に漂着
代案 ....
あなたを愛した瞬間に
なにかが変わる
音がした
淀みやしない想い抱き
眠れぬ夜を
愛のせいにして
このまま私を離さずに
一秒たりとも
全てのドアを開け放して
あなたが ....
段落に無数の恋が落ちている
ぬるま湯に解答用紙が浮かんでる
悲しみの雨に塗り絵が濡れている
日常を綺麗と思う 思っている
わたしはわたしであることに倦んでしまい
イートインにてアイスコーヒーを啜る
磨りガラスの向こうを過ぎていく人人人
彼らは何処に行くのだろう
わたしのあずかり知らぬところ
それぞれがそれぞれの ....
夜ごと枕カバーに涙をすりつける
外はトラックが跳ね回っている
家が小さなビートを刻む
わたしがわたしである重み
まるでゾウに踏みつけられてるよう……!
こんなものを背負って歩いてると、肩 ....
僕の日本地図はけっこうゆがんでいる
大陸文化を隔てた極東の地理的条件
喪失するすべもうしなわれた子守歌
僕の世界地図はききなれない地名でみたされ
国際情勢は新聞の活字とTVのアナウンス
....
人はいう必ずあると宝島、手繰るそうそうたる言葉たち
その灯りが灯ることの全てがわたしの全てで、公園に腰かけたり、元気そうな集団を避けて歩いたり、目と耳と鼻と口と手と生き物と複数の壁、この部屋での暮らしが綺麗な明るさになれない。
マンションの知らな ....
テレビを見ていて知った
今人気のある観光地
行ってみたくなり
色々インターネットで調べて
泊まる旅館を決めた
都会暮らしの疲れは
田舎の環境に身を置けば消える
ネットだけでは ....
おだやかな田をたおやかに耕した
綿菓子でまやかしみたいに甘やかし
降っている小雨に触れた傘を振る
生き残ったわたしが星を燃やしてる
優しい場所にひとり取り残され ....
ひもじいからケーキを食べるよ
いちもんもないから
エアだけど
イケるもんだね
さびしいから
孤独を売るよ
孤独さえもなくなれば
こっちのもんだね
寒い夜は落ち葉を
抱いて ....
何食わぬ顔で何かを食っていた
葉が落ちる 羽化して浮かんでいく 光
消えていく 生きていく記憶を描いて
小説を超絶饒舌に語る
振り向くまで吸って吐くまで行き過ぎるまでこぼれ落ちるまで何本の指がいくつもの「あ」の音の形をした口が消え去ったか。息と思考はきれぎれで今にも崩れ落ちそうで堕ちないと知っていたきみは誰よりもずるかった。 ....
「もうこんな時間」とは
やることのない人の台詞ではない
それでも流れるものは流れる
誰も私に期待してないから
近所のレトリーバーにお願いして
遊んでもらっていたのだ
やることがないのは ....
音の滴、斑点となって飛び跳ね
郷愁、遠い深みから到来する
胸掴む憧れ、未知から溢れ出し
遡行する魂、源頭の水流を浴びる
振動する大地 、脈打つ心臓
終わることのない命
終 ....
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