静謐に名前があるなら
誰にでも発音しやすい短いフレーズで
やわらかく閉じた個室
それぞれに振られる仮名
aからcを辿ってeへ
きみは誰のための単音を拾うの
揺れる、揺れ ....
月の光に照らされ
自転車を走らせる
夜風にのって
金木犀の香りに包まれる
あぁ
今ここに存在してる
しあわせ
この瞬間のために
....
今年に入って
私は私を疑うようになった
特に仕事においては常に疑っている
会計では、患者様二人ごとに金庫の中を総計算
取引先に出す伝票は、四度、五度、確かめる
それでも、まだ足りない気が ....
夢の
蝶が飛ぶ
ひらひらと風に揺られて
悲しいことを
忘れる鱗粉を撒く
夢の蝶が飛ぶ
ふわりひわりと
懐かしいあのひとの
笑顔を思い出す
ひかりの中で
わたしたちは
踊ってる ....
午前4時215分かえるに混ざって
スズメの声を確かに聞いた
隣家のだえかは壁を蹴ったか
3分後には車の音も
走り去った
誰を何を載せて
さよならよりも永遠の 気が ....
ことばのひかりのおびにつつまれ
どこにいくのかいくえしらずのままに
ひびきたえずたえぬままあたたかなぬくもり
握り返して来る最後に吐いた 、あなたの息
自由自在な君の正体は?
透明で
カタチがなく
地球を駆け巡る
ボクらの体の中も駆け巡る
上から下へ回しても
水
左から右へ回しても
水
右から ....
朝の空気が変わった
目覚めるとついつい毛布をかぶってしまう
いつの間にこんなに寒くなった
連絡もなしで冷やさないで
太陽の光がすきまから差し込む
葉につた ....
蛇口から
スーッと水が流れ落ちている
キラキラ光る糸のよう
でも
それが理由という訳じゃない
それをわたしの骨は知っている
雪の冷たさを知らなかったころ
雪は甘い ....
終えたい理由もなく今日が終わる
月が昇らない夜を見ている
空っぽの冷蔵庫を冷やし続けるようで
ただ消耗していく心
今日すれ違ったものはなんだろうか
他人の欲望 隣人の希望
....
中途半端な感情が
肝心なものを置き去りにして
通り過ぎて行く
ほんの数年の間だけ訪れる
黄金の日々に
大抵の人は気付かない
あの頃は
と懐かしがっても
もうきらびやかな皮膚も髪 ....
帰り道
ずっと今日のことを頭に巡らせた
君が差し出した手を
ギュッと握った
君は握ることなく
差し出したまま
思い切り握ってしまったことが
良くなかったのではないかとか
でも手を差し出 ....
○「河童橋」
今年も
河童橋に立つことが
できた
雄大な穂高岳連峰と
その麓から流れてくる
きらきらした清流梓川に
接していると
老いた心に青春の血がめぐるような気がする
今年もまた ....
ついでにこの際打ち明けておこう
彼は実はあの資産家の息子なんだ
ということを
伝説としてこれ以上の神秘はない
はずだ、あるいは
全てバーバリーのトレンチを纏った幻なんだ
と片付けてしま ....
春の庭の埠頭を開けた
満開の幸せがたゆたう
遠国が見えた
遠い国である
誰にだって敷かれたレールなんてない
渦中にいればわからない事だってある
春の庭は夢
足元はここ
....
「どうでもいいよ」
終われば
始まる
何かが
こころで
立ち尽くしている
なぜ
こころがここにあるから
何も恐れることはない 思えば
こころは自由
こころは無限
こころは私
....
スクランブル交差点で
靴がかたっぽ脱げたから
たぶん明日は雨だろう
街は歩く速度で遠ざかってゆく
小路の影は濃いままに
分かっている
あなたが視ているのも
想っているのも
私じ ....
老なんて 関係ない
今私がここにある
ということ
それが全て
自分が年をとらない
と決めれば
そんな現実が動き出す
なんてすばらしい!
この世は ....
歌ってきた
きみを見つめてきた
そして 鹿の角を数えて 折ってきた
銀の器に流そうじゃないか
あれは黄金の鏡よ
指さして き ....
春暖や靴の珍場に気づかぬ子
凍み替える夜や明日こそ仕送り日
きさらぎやもらい電話もかけ放題
電話越し
風の変わりて雨水かな
薄氷やバスの1台逃しおり
ポチじゃな ....
夢は破れてツギハギだらけ
心の川には血が流れ
そんな僕でも今夜の月なら
夜空をみあげて光を愛せる
キラキラ光る無数の星を
統べるおおきなお月さま
雲は流れて惑いつづけて
草む ....
可愛くてごめん
は
僕は
可愛くてごめん
というのは
なんか小さいんすよ
凄くてごめん
になりたい
凄くてごめん
とか言いながら
随分誇らしくありたい
可愛くてご ....
明日は
明日の風が吹く
と先送りしていたことが
目の前に迫って来ていることに
唖然として身動きが取れない
いつかなんて
やって来ることはなかった
俺にはビンセントの才能も
テオのような ....
私は、障害者だろうか。
たしかに私の人生に障害は多い。
それは、私が障害者だからなのだろうか。
障害は原因ではなく、結果だはなかったか。
私の障害は目に見えないので、
障害者かどうかは自 ....
深夜キッチンハイターでふきんを漂白する
ガーゼ布はくたりと色を失い
胸に抱いたわだかまりも
くたりくたりと畳まれていく
寝る前には
わたしのかみさまへ
みもとへ
いかせてくださいと
....
私が産まれた九樹の家は
もうない
それは不動産上
他人名義となっただけなのだが
喪失感は計り知れない
一年に数回帰った故郷
夏は藺草の香りの草いきれ
滅多に食べられない
インス ....
握手をする
そよ風と光
を
受けて沈黙している
自動販売機、
の
ブラックコーヒー
の
ボタンを押す
百五十円なり
ガタガタンッ
出て来た
ブラックを
ちびりちびりとやる
....
パンといえば
惣菜パンが好きだが
ウインナーパンも好き
トマトとレタスのサンドウィッチもいい
でもたぶん人生で一番食べたパンは
カレーパン
辛さの中に甘さがあり
こんがりとした硬 ....
他に何もない日
野原にひとつ
屍があった
今にも、ストン
と落ちてきそうな空を
屍はただひとつで支えていた
誰が手向けたのか
頭の近くに
オオイヌノフグリが咲いていた
たとえ ....
○「格言」
暑さ寒さも
彼岸まで
愛も憎も
還暦まで
○「登山」
虚飾も傲りも捨てて
虚心坦懐に
一歩一歩マイペースで登っていこう
(明日から涸沢キャンプ)
○「自民党総裁 ....
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