雷鳴に少し怯えて
ようやく雨が遠ざかると
いつしか黄身色の月が
丸く夏の宵を告げる

湿度が首筋に貼りついて
ついさっき流れた汗を思う

狡猾な二本の腕を
互いの背に回して
策略の ....
まだ世界が眠っている頃
ふと眼を覚ました
静かな声で僕を呼ぶ
僕自身の声
僕は歩き出そうとしている
何処にも行きたくないのに
雨が熱した世界を冷まそうとしている
僕が歩いている事を誰も知 ....
 
   砕けた石英の剃刀を
   突然の風が巻き上げて
   私の頬をかすめる

誰に届くわけでもないから
名前まじりのため息は
手のひらで温かい

   癖毛のように渦巻く黒雲か ....
花に触れると
花びらにつたう雨の雫は
お前の

淵で溜まる透明な雫を見た
花びらに伝う雨の雫は
お前の涙

涙を止めてあげられないまま
君を家に帰した
僕の胸で泣き崩れる君に
大 ....
それは
降りしきる雨の
隙間をぬって
遅れて届けられた
一通の手紙のように

 雨と雨が
 触れあう音に紛れて

 見慣れた景色の
 匂いの片隅

 未送信のまま
 閉じられ ....
うす絹の雨の向こうで

君はほのあおい街燈を見上げながら

卵色につめたく熱せられたそれを

死にそうなけもののように銀鼠色に湿るそれを

ナイロンでつつんだ胸もとに抱えて立ち

 ....
崩れてゆく
驚くほどの速度で
花びらで描かれた美しい絵が
ぼくたちの目の前で
風に吹かれて今

埃っぽい川岸の
薄い黄緑の草むらを踏み分けて
ぼくたちはどんどん歩いてゆく
心の中で詩 ....
世の中が自分の都合どおりに動く。
注意せよ。
不幸が訪れる前兆だ。

毎日全く同じ事の繰り返し。
人はそれに耐えられない。
けれどいつか必ずもとの場所に戻ってくる。

憎しみがなければ ....
雨雲が熟すのを待てずに
落ちてきた水滴は
過ぎた日の埃の匂いがする

名もなき小鳥が
一斉に声を上げて
巣を目指して羽ばたき
一瞬の喧騒を誘う

今日のわたしには傘がない
誰も此処 ....
天に口蓋を開いた両生類が

  鼻孔をふんと開けぴろげ

    嫁盗り合戦の前日祝いと

      水晶の花火を打ち上げる
殺し創めた殺し屋は
殺すことに
慣れ始め
殺し慣れた殺し屋は
殺すことに疲れ果て
殺し疲れた殺し屋は
人知れず
己を殺す

殺し屋は
人知れず
産まれ落ち
人知れず
殺されて ....
這い回る地面の底の綻びに
日の出の印象青白の明日へ
生き生きと夏の夜の土に
死に出す草は緑に光り
ああ夏の這いずる{ルビ地下水=ちかみず}顔を出し
顔を出そうと綻び弛ませ

這い回る地面 ....
オレが呼吸を忘れた頃には傍に居て愛して。

…なんて軽口。

息出来ない位の眩暈でもって
彼岸をただただ夢見てた。

「好きなんだ」

言えやしないままオレは死ぬのか。

ただの ....
きのうのじぶんと重なりにゆく彼岸まで

落ちた空の木片踏んであげる悲鳴

そんなに脇腹を痛めなくてもいいよお別れだ

旅の終わりより先に鳥居見えてくぐる

過去へ戻る ゼロはもう閉じて ....
赤いくちびるの、艶かしい呼吸の高まりが、
耳元をかすめ過ぎて、
世慣れた顔のひろがりは、穏やかに浮かび上がり、
成熟した夏を秘めた、
落ち着く若い寡婦の頬をかしげて、
経験にさばかれた甘い水 ....
全ての言葉が、その海辺へと集まっていく
見送るためでなく
出迎えのためでなく
肩からの荷を下ろし
波打ちへと捨てていく
やりきれない空の起伏を
ひとしきり戦わせた後で
すこやかに
ただ ....
排他、
排出、

打ち出されるのはいつも私で

呼吸、
鼓動、

此処にはただ、有るだけ


廃退した現実の小窓
錆びた鉄の隙間からの
罵声や、暴力

日常に蔓延る悪党た ....
あの子は、青い、羽を千切って

あの子は、青い、羽を千切って

麦をたくさん食べて

メリーゴーランドの速度で

几帳面な生活

キチガイな笛吹きに

さらわれてしまっても
 ....
寝息をたてる合間にも
世界に溢れるレッドサイレン
今日も誰かが死んでいく

通勤ルートの途中でさえも
交番の死亡事故数は死を感じさせている

日常に溢れる死の気配
瞬く間に命を奪われる ....
閉じられた、そして
知ることもない雨が過去になって
それでも夕暮れと朝には
部屋は明るくなるので


花暦
今の頃は
冷たい雨を探す前に
どこに行けばいいのですか
すべてを抱いたま ....
とどかなかった、星の下
遠雷の近づいてくる夕べ
雲がますます色をなくし
このからだの重さに形をなくし
響くのは指先の細くなぞる唇の遠い約束
の紅さ
ずっと忘れずにいたのは
鮮やかに流れて ....
ぼくは詩人

夢は風となり流れ
流れる風は夢となる

今日もまた

夜の散歩をしていると
風夢に出会いました

静寂な夜の道は
儚い夢を与える

意識がありながも
朦朧とさ ....
飛び回り爆発的に着陸して

僕の血はそう黒かった

額から流れる血は

涙のように感じた

カメラのシャッター飛び交うたびに

僕の光は弱くなっていく

大空に掲げた僕の龍のよ ....
夜は綻び
朝が死角からやって来る


陽射しが強くなれば
それだけ濃い影は出来て
ありふれた若さのなかに取り残したわたしと
残り時間を失ってゆくわたしが
背中合わせする毎日に
日 ....
すべての蛇口をきつく閉めて
沈む音を聴いたのならば
この意味不明の約束も
すべてほどけて崩れ落ちてはくれないだろうか?

明日はきっと透明人間
骨は沈んで肉は浮き
僕はきっと 透明人 ....
湾曲している水平線上にて、
しめって酸化しそうな金属の肌が
垂れこめた雲に灰色の腐蝕を放っていて
見あげても星は降る気配
海の月の揺らぎ
飽和した幻影の瞬く電子
この神経を流れ去ることのな ....
引金を引け

速やかに迷い無く、目標を強く見据えて

怠惰は瞳を醜く歪ませ

焦躁は感情を抱き殺す


引金を引け

指先を震わす暇など一時も無い

目を逸らす弱さなど根から ....
遠く鳥の飛ぶ音
離さない
僕の耳は手のように
つかむ動きをやめないのだ

地球中の血を力にして
叫ぶ
喉からは出る手のように
何かを欲してやまないのだ

続く
つづらおりの道
 ....
悲惨なニュース
雨が止まぬ
今夜もきっと
分かりあえない

夜雨の中で
殺された手の
ぬくもりだけが
街にヤサシイ

欲しくない靴、どれも汚い
笑えてるけど、なぜ不満足
十字路 ....
とけるのは唇
あふれるのは 生温かい水
零れないよう
太い針で縫いつけて
不器用に 笑う

染み出す膿で
舌が焼ける

目を瞑り、
笑う

溜まった水は
まだ温かい

私 ....
キクチさんのおすすめリスト(1561)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
月と獣- 銀猫自由詩21*06-7-13
- green ink自由詩206-7-13
無題(海岸で波は私に届かない)- たりぽん ...未詩・独白8*06-7-12
レイン- maumi未詩・独白1*06-7-12
水色の、- LEO自由詩18*06-7-12
水芭蕉の相対性- 知風自由詩206-7-10
終わりの風景- 大覚アキ ...自由詩506-7-10
当たり前のこと。- 腰抜け若 ...散文(批評 ...206-7-10
俄か雨- 銀猫自由詩12*06-7-9
*洪水警報の夜- 知風自由詩106-7-9
遠くから_近づいて- FUBAR未詩・独白2*06-7-7
「蠢く」主題による変奏- チェザー ...自由詩3*06-7-7
明日死んだら言えないままだよ。- 朽木 裕自由詩3*06-7-6
おとといは過去だ- 黒川排除 ...川柳306-7-3
ダブリンの草莽- 前田ふむ ...自由詩18*06-7-2
水際へ- 霜天自由詩1106-7-2
焼き鳥- 完食自由詩106-6-29
キラキラ星- 雨虎自由詩206-6-26
diside- 完食自由詩206-6-26
closed,and- 霜天自由詩606-6-26
雷鳴の個人- こしごえ自由詩20*06-6-24
ぽえむ君−風夢−- ぽえむ君自由詩4*06-6-23
とにかく行き交う黒- こめ自由詩806-6-23
きみの名を呼ぶ- 銀猫自由詩18*06-6-21
逃走煩悩- チェザー ...自由詩1*06-6-21
水平線遊戯- こしごえ自由詩17*06-6-19
『焦燥感醸造』- しろいぬ自由詩206-6-18
僕は立つ- シホ自由詩406-6-17
「ふたり、夜、雨、青の雫」- 木賊ゾク自由詩5*06-6-14
目を瞑り笑え- ユメアト自由詩206-6-14

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