生首を抱えて逃げる 君はさしずめメデューサ
目を見てはいけない 目を合わせてはいけない
簡単に囚われてしまうから ね?
でもどうしてだろう 君の抱えているその首の顔
どこからどう見たって君 ....
教えてくれないか?良ければ
知りたくなかった
知ってはいけなかったんだ
俺はお前を見ようと目を閉じる
目を閉じなければ見えないんだ
どうしてもよそ見をしてしまう
どうすれば ....
絡めた指を切り落とし、
冷え切った声で
ささやいてやろうか?
「おまえなんか、大嫌いだ」。
かなしい水が水色からあせて
透明になるそあくな 貧相なるすい
目にとまらないかなしみ
人のとうとうのイルネス
闇に臥す病理
闇を服す心理
わたしと
あなたのもよおすイルネス
....
舗道
天象儀
展開
コロイド
眩暈
砂時計
遡及
吊り橋
覚醒
シグナル
郵便船
記号
万華鏡
平行線
庭園
シナプス
散乱
フェンス
溶解
....
別れ際 凍る言葉に浮かぶ舟 たゆたいもせず 流されもせず
人の波 何に安心しているの 流される事 雑踏の静寂
薄笑い 薄い氷のその下に 黒い魚の影がちらつく
移り往く 山のもみじの日 ....
落ちてゆきましょう
僕はもう自由になるのです
靴を脱ぎ捨てて
そう裸足で
底のない暗闇へ
光の雫を弾きながら
垂直に垂直に
風はいつだって僕の敵だった
髪を服を乱していたずらに
....
{ルビ海鳥=うみどり}は
{ルビ淋=さみ}しくないて いますよと
波間のふねを
そよ風が
帰っていって 透きとおり
なき声ひくく羽ばたいて
夕べの斜陽が今朝方に
燃え映ってしゃらしゃ ....
赤い部屋 鍵の束
黒い猫 稲光り
足音 足音 遠くなる
人影 人影 消え失せる
(君は知っているだろうか この感情が何かを)
禁じられた書 落ちる窓
目隠し鬼 白痴の横顔
雨音 ....
音の{ルビ角=かど}が
うなじに痛く
つづけて痛く
羽があるのに
飛び去らない
そうしているうち
背骨になった
そうしているうち
夜になった
羽音の絶えぬ
夜になっ ....
高層ビルの屋上から
飛び降りる
観覧者に手を振る余裕はないけど
地面の凸凹が鮮明に迫り
接地に至ろうとする瞬間
バサッ、と 翼が背中から
それは貴方かもしれない
観覧者に ....
今日は死ぬにはとてもいい日だ
草穂を揺らす風が吹く
ヒマラヤスギが黙然と立つ落日
強さの代わりに口を閉ざすんだ
風がすわりと立ちはらむ草原で
空気に重さがあるということを
彼らは厳かに ....
彼岸花が倒されていたのは覚えている
あれはどこだっけ
あれはわたしだっけ
晩飯のおかずを考える
家には
年寄りが居るから
エプロンをして料理をする
パジャマを着て寝る
そんなこ ....
草原のような爆薬
震えだすポケットは抗躁剤
いつだって宇宙から引き戻してくれるゴムの一筋
小気味良い内包を諦める音
意味なんて理解しようもない言語
束ねるや 地上の罵声
崇める ....
憂鬱を枕にして寝ている
夢に出てくるのはいつも君で
左手に握ったピストルの銃口から涙が零れている
薔薇が其れを吸って育っている
違う朝が来てもきっと考えてしまうだろう
エレベーターの ....
此処から視える世界は
何て判りづらいのだろう
街も、空も、君の笑顔も
総て朧げで、悲しい
やっぱり僕は
魚の気持にはなれないや
さぁ、早く出ようか
....
黒鴉
濡れ羽艶めく
雨上がり
冷たき雫も
光にかえて
私は電気椅子に座って
頭をケーブルで繋がれ
闇の世界を支配している
一つの生贄は
民衆の意思によって
何時でも処刑する事ができる
暗闇の中
力なく項垂れた女の
十メートル後ろをつい ....
無いものねだりをするよりはと
秋の白い雲流れる堤防で
ひとり
清貧ということばの意味に思いを馳せる
それはあまりにも懐かしいことば
仄かなランプの灯かりを頼りに
見果てぬ夢を追い続けら ....
頬を伝うスペードの影月光浴びて
滝のそばで膨らむぬいぐるみの静けさ
想像上入り組んでいる鯨は筒
生まれ変わる前に貸した三輪車でやって来た
髪を外に垂らす日の夜の長い髪
船 ....
怖い夢を見た 気がする
目を覚ますと記憶からこぼれた感覚に襲われた
何もする気が起きなくて
しばらくぼーっとする
仕事に出かけ同僚より早くタイムカードを押す
瞬間的に押される時間 ....
煙草の煙が頭に染み付いている
医者がいくら胸部のレントゲンを取ろうが
脳が灰色に色付いているのだから
透視でもしない限り異常には気付かない
肺はもともとピンクらしいが
灰色の肺のほうが洒落て ....
桃の実は人を裁くと言う
僕が試験に落ちたとき
確かに桃の実はわらっていた
お前本当は桃の実じゃないだろう
僕はそいつをもぎ取り
皮をむいてみた
白くて柔らかい果肉があった
食べてみたら甘 ....
1
真っ直ぐな群衆の視線のような泉が、
滾々と湧き出している、
清流を跨いで、
わたしの耳のなかに見える橋は、精悍なひかりの起伏を、
静かなオルゴールのように流れた。
橋はひとつ ....
巡り合った
ばかりで恋する人に逢う
約束をしたけれど
それから
まだ逢えてはいない
恋する人からは
祈りをもらって
そんな小さな
祈りの中に
まもなく
沈黙する
夜は始まる
....
今日降った雨が
私を殺した
大人たちは
私から
すっかり夢を剥いでから
つまらない子だねと嘲笑う
雨が降っている
冷たい雨だ
私は何ももっていない
軒下に群がる猫の群れ
冷たい金の ....
練習船
黒い尖塔
木馬の何頭かを失ったまま
メリーゴーラウンドは廻転している
空はいつでも鋭角
時折少年が墜落してくる
旗竿の上で
燃え尽きる旗
その下でそれでも昏い宴はつづく ....
頬づきの
われた視線 くびる
つけた 前髪敷く
地下に ひらいてる窓
写ってる 引き戸
つつぬけの
息 熱く ガラスに
かかしのように 突っ立って
だけだって 咲いてい ....
友達
いらない
僕の心臓ぐらい
家族
なくていい
僕の存在ぐらい
恋人
手切れ金の代わりに
性器をあげるよ
残ったものは餌にでもなればいい
精神科病棟に
閉じ込められた私に
夜景が美しすぎて
これは
天使の迎えを
失敗した罰
神さまは
私を
見捨てたんだろう
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