見えない何かに繋がれて いつも何処か窮屈で
本当の自分はどこなのか 自分自身が分からない
四角い籠の中 いるのは自分自身
いつも俯いてるから空の色も忘れそう
時代のせいだと笑えたらどんなに軽 ....
良く晴れた月曜の
憂鬱な空気が
僕の角膜の
屈折率を変えて
広角に見せるので
ただでさえ薄暗い
工場の中は
いよいよ真っ暗くなり
何も見えなくなるのです
悪意だけが
浮かび上が ....
先週の午後
雨と一緒に
隣の男が降った
最上階に住んでいるとそれだけで
いつでも飛び下りなさい、と
手招きされているような気がするので
荷物が重たくなった時などは
ベランダに近づ ....
この島に生まれた胡蝶のさだめです
あかい実を食べたら
あかい胡蝶になってしまうのは
さだめを背負っていきなさい
はるか彼方まで飛びなさい
さあ
北の国に住む少女の黒髪にとまって
....
夜から朝の為に空いたボトル押し退けたら
ふらふらの激しさが昼の為のコップ倒した
テーブル掛けの端で
黄色い花柄、千切れ
そこから床へ滴るも
滴るも、美しい麦茶
息の要ら ....
深い森 暗い森 あたり一面が色んな緑 呼吸をすれば新鮮な 酸素が深緑の薫りとともに体に入 ....
倒れた自転車から音は聞こえない。
コインロッカーに花束を忘れてきた。
クレーン車の輪郭が闇に消える。
花壇の整列した花々で指先を切った。
低気圧、靴紐を揺らす。
埋められ ....
兄は云う
この井戸を掘り返してなるものか、
と。
野井戸はけして深くなく、
雨水が満ちているのだが。
野井戸はすでに開かれて、
....
熱を嫌う
冬の午前十時
錆びた手すりに
もたれて
こめかみを撃ち抜く
動物園に火をつける
噴水は枯れた
飼育員の首吊り死体
食らいつく ....
眼球の裏側は
逆さの像を映している
正しい位置に修正し
脳がそれと認識する前に
見えなくても良いものたちが
自動消去されていくのを
誰も気がついていない
白黒にしか見えない犬は
だ ....
わたしは肋骨だ
肋骨はあなたを心から慕い
肋骨はあなたの心臓を守る
あなたの胸を打ち鳴らすものを
至近距離から呪いながら
肋骨はあなたの胸 ....
短き命を 駆け去りし
君が姿を 思いつつ
夜の浜辺に 独りいて
我は目を閉じ 聞き入らん
深き命の 波の音
永き命の 波の音
我が火を付けし ひとすじの
....
壊れた傘を 拾い集めている男がいた
破れて水が滴る傘
骨が折れてしまった傘
錆びて開かなくなった傘
雨の矢から 人を護る役割を
果たせなくなった傘は
存在価値すら もはや認めてもらえな ....
職場で黙々と仕事に励む
ふと気が付くと誰もいない
みんなどこへ行ったんだろう
サイレンが鳴っている
煙に包まれている
僕は取り残されたみたいだ
....
旅立ちの道は心地よく
熱を残していたのに
いま太陽の下の冷たさは
独りの歩みを空へとつなぐのか
願いに満ちた足跡が
雨のなか消えることなくつづき
標のようにまたたいて
....
ス テ ロ イ ド
傾 ぐ 夢 さ え 痛 む な ら
遠 い 目 蓋 に 果 て よ 、 残 夏
僕
には携帯を充電す
るより少しだけ大切なことがある たま
に
は逆らってみたいと思う
....
なんとなくおきて
なんとなくべっどをでられない
じっとしている
じとじとしている
とけていっている
じょうはつしはじめている
あわててじょうはつをとめようとし ....
緑の海がたなびいて
少しのカーブで横切るレールを
3両編成の電車がすり抜けていく
乗り合わせた肩は語らないまま
ひとつひとつ 暮れていく
天気予報は雨
降水確率は不明
飾らない傘の行 ....
本当を言うと
おまえは 少し こわかった
祈るように欲得なく
好きというだけで
なにもかもほうりだして
入り込んでゆく おまえに
私が 壊されそうで
少し こわかった
それ ....
僕はもう数時間もそうしていたように思う
この道の先が見えない
この道の終わりが見えない
途方に暮れて
僕は泣いていた
会いたい人がいる
出会いたい人がいる
だけれど
今 ....
血が欲しいんだ血が欲しいんだと繰り返し言うことが本当に必要だったらやってみるがいいよ今にじみ出すような本当にきみが必要としてるような世界は赤いセロハン一枚で事足りてしまうぞどうするんだ幼稚園児と手をつ ....
夢をみた
君が出た
忘れたはず
涙は渇いたはず
なのに濡れる夢見枕
ぽつぽつと飛び交う
耳障りな羽音
乾き損ねたコールタールに
再び水を打つ
門をくぐれば
生臭い土の香り
産まれ朽ち
吸い上げられる
老いた桜の木は切られ
残った切り株から
....
夜の闇は
匂いもしない
蒸す様な
炎帝の立つ季に
未だ何も思えず
惑ったままで
場所も移り
人も変わり
風さえ吹かぬというのに
未だ
何も思えず
ただ
立ちすくんでいる
限り ....
{引用=「右手と左手のための協奏曲」より}
なだらかな起伏を描く丘陵地のどこか
太陽と雲が作るまだらを貫く
優しい国境
沈黙の春は だく足で ....
鈍いかなしみに
ぺっとりと
貼り付かれ
私は地べたに
呼吸を預ける
地べたが吐き出す
私の呼吸が
再びこの身体に
宿る頃に
私はやっと
本能の位置へ ....
青い糸は政府専用の糸だから切ってしまう
そんなこと言ったって
道路は糸電話の糸であふれかえっているし
不自然な形で投網まで紛れ込んでいるからな
こんな偽装はもうたくさんだ、腹立たしい
と言っ ....
光りをみたんだ
彼はきっと
憎悪と懺悔と悔恨
光りがそれを包んで
ただ真っ白な情熱の世界だけが
彼の眼を眩ませて
時には深い溝に落ちて
時には人に優しくなって
時には野良猫にえさをあげ ....
- 救いのない世界から
- 足を洗うことなどできはしないよ
- あなたが誰かを抱いたところで
- あなたは世界に残るだけだよ
自転車置き場には
ネコの親子が住んでいて
子猫はとても ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52