あなたが近付く音に
冷たいはずの鼓動が脈打つ
けして触れてはいけない禁忌

シャワーから流れる
生ぬるい体温に
体の隅々まで
犯されていく感覚に犯されて
頭の中が真っ白に痺れてしまった ....
この十本の指はあなたを知っている

手の温度、肌の感触、
皮膚の内部に眠る雪色の精神を

固すぎる心の板を剥がして
その下のぬかるみに
沈みつづけるあなたを
引き上げてあげたかった
 ....
私は瓶の底で
静かに沈殿している

焦げ茶色の液体に{ルビ塗=まみ}れて
歪曲した夕日ばかりが
私の唯一の慰みになり
頑なに拒んだ日はいつだったのか
もう思い出せはしない

幾ばくか ....
こたえ
みえてる
かいわのなかで

からわらいして
たばこふかして

めじりをかいて
あしくみなおして

まどからみえる
そとのけしきは

どこのだれにも
わかりやすくて
 ....
肉の裂け目を目一杯開けて待つ
容器の淵に溢れる形なき色
腫れぼったい肉の淵どりに染む冷気
金属的な質量が粘膜に広がり
そして最奥の壁にたどり着く

筋肉を震わせて襞は開き
内臓の熱がどう ....
青さなど持っていないよ
海を目の前にして
君が言った言葉

君の吸うたばこの煙が
30センチ昇るまもなく風に消され
僕の問いかけの言葉すら
流されてしまった潮の漂着場で
「青さなどもっ ....
濡れはじめた空が
歌をくりかえすのに
私はピアノを弾けないでいる
雲が沈み雨音が遠くなり
やがて射しこむだろう光に
伸びた髪をさらす
地上が反転する雫のなかで溺れる
鳥の影が風に波打つ
 ....
テトラポットは
青年を待っている
彼の落とす
欠伸を拾う青

手打ち網が
魚の背鰭を流れる
汽水湖の空
腰を覆う
水の束

地平線の呼吸
  どんな呼吸をしようか考えていたら
  肺のひとつひとつが切なくなって
  僕はため息をついた
  生きるために生まれてきた
  それだけでよかったのに
  人は人を殺 ....
流行性感冒になったまま
廃棄物処分場の見える小窓の角の
名前も知らない虫の屍骸を睨む
新しい靴はまだ買いに行けそうにもなく
何がしか捕食しなければならないが
手足はとっくに死んでいる

 ....
神や天使は
私を救うのを忘れている

死神や悪魔は
私を殺すのを忘れている

忘れられるのが辛いから
誰とも関わらない

私は惨めで醜くくて
時代はしらけてしまってる
人類の ....
踏みつけていた
いつの間にか踏みつけていた
{ルビ直線歯車=ラックレール}

きれぎれにされた
人生のように
強さだけを必要とされて

  ずっとつながっていました
  峠を越えるの ....
最後の夜を見つけておいで

そうして

首輪をしたら そっと撫でてあげて


訳もなく泣いて 泣いて

見つけられんのを待ってんだろう

いつだって昔見た夢を塗り重ねて ....
 壁の無い部屋。隅っこに落ちているフライパンには
38口径の歯型が付いている。夜毎、俳優達の頭を
ハンマーで叩いてまわるという老人。彼にありったけの小銭を渡せば
修理してくれるという。
少年たちは愛も知らないまま
機関銃と手を繋ぎ
あくびをしている君達や
あどけない顔の君も壊すんだ

もっとよく愛について知っていれば
もっと愛について話していれば
それがなにより大事 ....
 街を囲う高いこの壁に
 盗んだペンキで
 とりの絵をかいた


 「逃げ出しておくれ。」


 壁をこえるだろうか
 川をわたるだろうか
 村をさがすだろうか
 母をみとる ....
調子のいい別れ言葉なんか全く思いつかなくて、

ナイフを垂直に落としてゆくようなものだと、

先生に教わった。




扇情の末、夜の雷が地面に突き刺さる
故郷のような
異国のような
そんなどこかの路地裏で
「こういうことか」と嘯きながら
もうすぐ彼は
終わるだろう

二階の窓を
閉め切って
眼鏡を外し本を閉じ
フィラメントの熱の下
 ....
僕の熱を奪わないでくれ
僕を奪わないでくれ
止めてくれ、もう
熱を奪うのは
体が凍えてしまうよ
心まで冷めてしまうから
これ以上、僕を
零度の海に突き落とさないで
満たされる
病めて ....
この、聞こえない左耳で
この耳で聴いてみたい音
それは、世界に
あふれる音ではないのです

時間を追い抜いていく時計の刻む
バンアレン帯に太陽風が吹き付ける
海溝の暗闇で深海魚のため息
 ....
愛しき人へ

あなたに積み重なった苦しみに
どうか終止符を打たせてください

歪む顔は見たくない
震える背中は見たくない

さようならと
小さく手を振って
安らかにと
瞼 ....
すばらしかった
きれいだった
なくさないよにしようと

思わず息を吸った

ああそうか

またなにか
すり減ったんだ
ドアを開けるとそこには海が広がっていた。

あまり風の強くない日、浜辺に立つ。
波打ち際には近づかずに遠くで眺めた。
水平線は、左から右までずっと続いてて、ゆっくりと曲がっていた。

右に ....
針を折るような音が 
遠くで響いたり
単調な反響をくりかえし くりかえして
吹雪が去っていく

そして 
おしよせる
春がじわり地をはい 
足元を湿っぽくさせ

春が舞い
町 ....
拝啓

  蓮の花は水の上に生涯を浮かべ
  蓮の花は水の下に生涯を落とす
  今日も一枚水の下で眠りにつく

  地面の上で僕ら人は生涯を生きる
  永い眠りにつく時は地面の下
   ....
やまびとの散文詩―断片9

青白い炎でゆらぐ教会のなかで、わたしたちは、
旅をする黒だけの簡素な衣装を羽織った
右眼が見えず、右手が無い一行が、一心に祈りを捧げながら、
すすり泣いているのを ....
鶏の ように 飛べない 。鶏冠 を もたない 。神のようで ない 。雉のように長い しっぽを もたない 。鴨のように 美しい 羽根を もたない 雀のように 美しく 羽根を ひろげない。猿のように 鬼ご .... 赤い花を摘む男の指に見惚れてしまった
ゴボウ色に染まっている自分の指先を見つめながら女は赤い花を積む男を見ていた
男は何事も気にしないまま赤い花だけを摘んでいる
ゴボウ色の指をした女は自分に向け ....
死はこなされて
機械は内側を滑り込む
透明な肌を従えて
最大を飛ぶという試練

地球が地球という回転をすることに
墓守達は無関心だった
無関心という海に住む
魚のように

名曲は肌 ....
なにも届かない
耳は犬にくれ
響きを伝える大気は吸い尽くした



知らない人がいる
その人は、歌を歌うらしい



地球の裏側か隣国か
私には知るすべもないセ ....
キクチさんのおすすめリスト(1561)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ヘロインモルモット- 美味自由詩2*06-4-9
未だ温まることなき- ユメアト自由詩106-4-8
ビー玉は瓶の底に沈殿する- 美味自由詩6*06-4-7
ちほうとし- よーかん自由詩5*06-4-6
水を飲む- loveondesk自由詩106-4-6
海岸線の真上にて- まきび自由詩5*06-4-6
予感- こしごえ自由詩25*06-4-6
- シャーロ ...自由詩606-4-5
呼吸- 雨野 康 ...自由詩606-4-5
流行性感冒- 窪ワタル自由詩6*06-4-5
「understand」- 木賊ゾク自由詩306-4-5
駅・軽井沢- たりぽん ...自由詩16*06-4-5
宵闇- なるせ自由詩406-4-2
- プテラノ ...自由詩2*06-4-2
「銃弾の入った頭で考えたひとつの事」- 木賊ゾク自由詩4*06-3-31
街の鳥- 紫乃自由詩4*06-3-30
雷鳴- 花丸ぺけ未詩・独白1*06-3-29
チャコール- 空論未詩・独白306-3-29
宵病みのアイスノン- 美味自由詩1*06-3-29
モノラル、聞いてみたい- たりぽん ...自由詩1206-3-28
慈悲殺人- ラプンツ ...自由詩5*06-3-28
ハレルヤ- 空論自由詩306-3-28
偏頭痛- 花丸ぺけ未詩・独白3*06-3-27
啓蟄- 湾鶴自由詩406-3-26
花葬- 海月自由詩3*06-3-26
やまびとの散文詩(三)- 前田ふむ ...自由詩4*06-3-25
人は- すぬかん ...自由詩306-3-25
アケノ花- 未詩・独白406-3-24
墓守の帯- シャーロ ...自由詩106-3-23
セルマは歌う、心の底から- RT自由詩6*06-3-23

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