ぼくは朝密会する 紙ナプキンに包まれたナイフの鋭さと
百枚の引き戸も百代の先祖もけたたましい音を立てて開く朝に

戸を静かに閉めることをしめやかにとは表現しない
だが軒先のタイル工事はしめやか ....
雨に濡れるのを忘れた人が、信号の前で返り血を浴びている。どんよりと、ただどんよりと生きていけ。おまえの夜の病はいまだ進行中だ。魚群探知機に映る影の人びと。探そうとしてもけっして探し当てられない影の呼吸 .... かんにんえ。

しなやかな指で 黒髪をすく
うなじはうつむき
{ルビ石榴=ざくろ}のきれつに遠さをおぼえて
その甘酸っぱさをささえる
やり切れなさの仕打ちが 私語する
きしむ本音が
空 ....
結局は臆病者だと笑うでしょうか。

私の思考は前を向きません。

臓腑の奥で腐ってゆく 吐き出されなかったままの

分身が気になって仕方がないのです。

其を捨てて 新たな言葉を探しに ....
 傘の下で笑う
 あふれる殺意で

 
 階段を流れて落ちる
 雨に
 気がふれる


 ゆがんで見える
 横断歩道の白線が
 濡れた足元のしみの
 曲線が
 ....
ふと目についたところから壊して捨ててゆく。
それから新たに建て直す。それから新たに作
り変える。捨てていけ。変えていけ。わが国
の年間一人当たりのゴミ排出量は、年毎に右
肩上がり。とうの昔に二 ....
「絶望を{ルビ殺=アヤ}めてください」

広く遠い
わたしの果てで
またたく星が連なって
高く深い
ゆらいだ空に 光射しこむ。

逢いましょう
契る想いは風に乗せて
あなたの流れへ ....
 寝息の聞こえるドア
 金具は錆び
 閉まり続ける
 中には
 黒顔のシャーマン
 人里を離れ
 壁と向き合い
 人を忘れる

夢を見た
姉が形をなくし
虎になり人に喰らいつく
 ....
あなたが悪戯な口笛のように
夏の庭に撒水するので
わたしの虹は劇的な哲学となりました
これはわたしらの恋の底なのでしょうか

あ、また 
香水瓶のなかに夕立の雲を閉じ込めましたね
こ ....
―序

不快
不快
それは始原
または未分化の世界
身体を持たぬ亡霊の苦しみと目覚めてから思ったものである
悲鳴を上げる声帯も
じたばたともがく手足も無く
吐き気に応える胃すらも ....
 雨に濡れて光る電車の中の床が
 消えそうになるほど
 綺麗に見えた/
 弾丸
 車窓を撃ち破って
 黒塗りの天使の額を
 貫通する


 後頭部くだけた
 液体の ....
呼吸を一回
呼吸を一回
呼吸を一回
呼吸を一回
白壁の空調ダクト
白壁の空調ダクト
白壁の空調ダクト
ガタガタ
ガタガタ
ガタガタ
ガタガタ
ガタガタ
ガタガタ
ガタガタ
 ....
手首の傷 生き永らえた人類の証
滑り台を滑った後の靴に入った砂の数をかぞえて
もう自分に残された物は少ないと知る
顎から発達する上向きの旋律
ちぎれた雲からのぞく太陽
あれだっていつか消滅 ....
把みきれない現実に
心が過剰で収拾がつけられない
はみ出してゆく言葉たちが
僕を取り囲む時空に傷をつけてゆく
瞳はいつも怯えたように見開かれてしまう
何故対峙してしまうのだろう
何故融合で ....
{引用=
2階からボクが覗いている
こちらを見ている

あれは
確かにボクだ

ボクは思っているに
違いない

君は異常だ

平然と嘘を重ねている
平静を装っている


 ....
ビルの屋上は暗転し
赤く染まり出すスクリーン


ゆっくりと見渡して
背から吹く風に
思い出す
ノイズ


右のまぶたに
ちいさな火傷跡
そっと触れて


聴こえるざわめ ....
そのはじまりからすでに
鋭く亡びに縁取られているのが夏で
青空と陽射しがどれほどあかるくても
そのあかるささえ不穏なのが夏で

蝉が鳴き騒いでも
祭の喧噪が渦巻いても
濃密な静寂が深々と ....
ひどい青さの落果
そんなに思い出を失くしてどうするの?
夢をみてるのね
ゆるい傾斜の果樹園で
ひとつひとつの木には
実がふくらんでいて
それいぜんには
花が咲いていて
遠い

息が ....
河の上の花びらが知らない街に引っ掛かっている
海を見ずにその美しい清純さは汚れてゆくんだろう
死んだ女が通りを歩いている
雑踏はいつもと同じ取り立て騒ぐ事はない
恋人達が誇らしげな顔で ....
{引用=
聞き慣れた
君の声が
歪んでいる

口の動きと
声が
微妙にズレている

心から
溢れるものは
なく

台詞はすべて
はじめから
決められている

君の心と ....
太陽とは太陽系のなかでもっとも内包する矛盾が大きい存在だ

くだらない分別
分かる、理解する ということのくだらなさ
そして逃す
逃し続ける
分からなものを逃し続ける
つまり不幸だから分 ....
とは言っても自殺はしない、が
無責任の謗りは免れないからやっぱり死ぬかもしれない。
ああ、金が欲しい。崩れやすいプリンのような言葉を使って。
さもなきゃ餓死だ。

順番に辱められてピア ....
特別な色のない 夜が
   麗らかに 舞っている
    二つの 肺は
   非対称を 否定するように
    静かに 揺らぐ
これは流線形の パラドックス
  恥じらいは 甘い息
 幾 ....
            雨
           泳ぐ鳥
          結晶化して
         飼い慣らす肉塊
        風待ちの長い眠りが
       ゆらゆらと輪 ....
唇は荒れたまま

ただ、息漏らし

一人、部屋の中


聞こえるものは己の心臓

見えるものは夜映す窓

触れるものは孤独の闇

吸うものは有り触れた酸素

握るものは遠 ....
青き布 無理に見せられ 朽ちる花  
積み木のような背骨が
薄宵に連れ立ち
赤剥けた涙腺を
産毛を
風の巷に洗っている

空洞は無力を湛え
石の沈みへ身を委ねる
きみの海底
その燦光に滲む街
体温を貫けて伝わる
 ....
 ブランコの鎖が切れた
 鏡のような水溜りに落ちて
 空は割れた

 
 足音が聞こえる
 葉脈の裏側を
 呼吸のしずくが這う

 
 下敷きになった機械が
 果 ....
メスシリンダーはすべて
叩き割って構いません
まちは季節によってその色を変えるのに
案内図の中には
風一つ吹かないのですから
傘は売れましたか
そのことが一番気がかりです
という嘘はいつ ....
絶望的なぬるさに
コーティングされているだろう
言葉は発した先からグズグズにとろけていくだ、け、だ
乳母車が坂道から転げ落ちて転倒、泣き喚く母親、宙を飛ぶ乳児。
小さいときに見たサーカスと潰れ ....
キクチさんのおすすめリスト(1561)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
水葬- 黒川排除 ...自由詩305-6-19
蒸し焼きの雨- 岡部淳太 ...自由詩37*05-6-18
贅沢な骨- こしごえ自由詩5*05-6-18
腹_私の- 緋史未詩・独白1*05-6-17
任意- カンチェ ...自由詩605-6-17
廃棄処分- 岡部淳太 ...自由詩3*05-6-15
アヤメウタ- こしごえ自由詩4*05-6-14
- りょう自由詩205-6-14
眩暈- 藤原 実自由詩605-6-14
遊覧者- 人形使い自由詩3*05-6-12
弾丸- カンチェ ...自由詩205-6-8
サーキュレーション- 黒川排除 ...自由詩105-6-6
一人残らず死ねばいい- カンチェ ...自由詩3*05-6-1
scratches- 塔野夏子自由詩8*05-5-31
精神病棟_北棟- 043BLUE自由詩3*05-5-28
朝焼けパン- あとら自由詩4*05-5-25
夏について- 塔野夏子自由詩27*05-5-23
フルーツメモリー- こしごえ自由詩16*05-5-23
- 自由詩305-5-23
アフレコ- 043BLUE自由詩2*05-5-20
ロッテルダム- 馬野ミキ自由詩705-5-20
銃口をこっちに向けるな- スローラ ...自由詩205-4-29
- トノモト ...自由詩505-4-25
存在と自由のアンチテーゼ- トノモト ...自由詩205-4-22
消されずに(生き残れず)- 完食自由詩4*05-4-20
青見- ねいやん俳句1*05-4-20
- ルイーノ自由詩305-4-19
歪んだパズルの完成- カンチェ ...自由詩305-4-18
仮歌(kanasimi)- たもつ自由詩805-4-16
日を暮らす- スローラ ...自由詩405-4-13

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52