ジャケットの裏に内緒でしのばせた四月のピンクと怯える自分
こっくりと深い音をたてながら埋めたい距離と倍速の{ルビ時間=とき}
自家製の梅酒を{ルビ口実=ネタ}におしかけるグラスの氷は溶けか ....
ぼくの部屋の電気を消すと、カーテンが発光して、それだけになる。隣のマンションの窓がすぐそこにある。昼間、すこしだけ部屋を覗いたら、そこには書類や分厚い本が重ねて置いてあり、おそらく研究者か、その類だと ....
きみは正しいことと素敵な痛みだけのこして
ぼくより5cm高い話をする
鴨川の音を受け止めるまぶた
もう
ねむたくて
ぼちぼち消え始める灯りのなか
カラーのない誘惑に遮られて
息も出来 ....
ロゼッタは毎日人が変わった様になってたから
ホントの自分を忘れちゃう
ロゼッタは毎日人が変わった様になってたから
ホントの気持ちを忘れちゃう
彼女は向上に大して興味も無いような ....
バード!
その飛び立つ瞬間の
美しい記憶が頼り
二度とは同じ羽を広げず
同じ飛び方をしない
美しい記憶が頼り
そして僕らは
いつもこんな平原をさまよう時
とてもとても
ジェリービ ....
家系ラーメンの発祥の店
磯子にある本家の店に入った
カウンターへ座るとすぐに
厨房の中で夫婦喧嘩が始った
店主が昼飯に選んだ店屋物
奥方がうどんとそばを間違えたらしい
奥方に怒声を浴びせな ....
母をおくる と
おそらく
わたしの半分が終わる
半分が終わる と
わたしには
守るものがたくさんあって
後戻り
できないことも
また
たくさんあるのを知って
さみしさの ....
消えていく記憶の
映像はやがて
色あせた
一枚の写真になって
避けられない風に
彩りをながしてしまうの
くるくると
回る
地球儀の おと
重ねた手のひらの微熱 ....
つぶしちゃったよ あいつのハート
でもな見えないから罪にはなんない
こんな感じで気持ち悪いほど加速してくんだ
病がね
落とされておちてゆく
傷だ?痛みだ?ってな具合でね
残酷なのはとっくに ....
忘れたころにやってきて
ああ そうだったねと独り空を仰ぐ
懐かしんでばかりいられない
私にはわたしがいる
君が誰かとsexしているとき
私は君の書いた詩をよんで
自分の小ささに頭を抱えてい ....
午前三時の一号線を原チャリで走っている
気分はイルカの群れのなかに迷い込んだ小さなクラゲ
あるいはタンカーの間で右往左往する小さなタグボート
とにかく僕は泳いでいて、流れる街灯は揺れる灯台のよう ....
燃えてしまった あのひとは
たとえばわたしが
宇宙の入り江に沈んでも
折り鶴のつばさにうちつけられても
あなたのその 手垢に塗れたナイフ
つきたてても
折れはしない
....
花びらを コーンフレークに 混ぜてみる 君との 甘いキスの 味かも。
*夜半過ぎに
夜半過ぎになって、その悲しい報せはもたらされた。
そっと肩を寄せてきた黒猫が、
「それは悲しいことだわ」
と、うわごとのように何度か繰り返した。
少 ....
それが何だろうとは考えなかった
例えば自分の乗っている飛行機が墜落するとき
墜落という現象について考えないのと同じように
*****
そこに行こうとしたのではなく
他にどこへ行けばい ....
マコという名の女、短いスカートで
呼吸する、女
すっ、とん、
京都、清水の舞台から
飛び降りることもぜずに
さっきから側で
魚の浮き袋が肥大していく病気を
ただ静かに見ている
....
キャベツ畑の真ん中で
僕らまるまっていた
傷つきやすいいろいろを
幾重にもくるんでいた
いたずらな風にあおられて
隠していた顔をのぞかせると
そこには海が広がっていた
一歩も動けずにいたのに
海 ....
かたちがない
いろもない
だけどさわれるし
みることもできる
あぁふしぎだ
こっぷにそそぐ
かたちができる
いろもできる
わたしはそれを
ごくりとのむ
あなたはひとではない
あなたにはかたちはない
あなたはどこにでもいて
あなたはどこにもいない
あなたはいるけどいない
あなたはいないけどいる
あならからとおくはなれて
わたしはひどくさみ ....
凍てつく
廃墟の、
瓦礫の、
マンモスの、
その下の
眠っている
都市の
永久凍土の
遥か下方
煮え滾る、マグマが
確かに
、在る
、という
観測の
凍結
....
堆積する僕らの羽で世界は作られるという話。
リノリウムの床を滑らない上履きの爪先
ゴム製の高音が窓に当たる
スーパーボールの見えない躍動
それが、君らの証しだ。 そして
....
それは電線の音譜を見上げます。
三日月が薄いアークを描いている間。
夜はそれが歩くリズムによって歌われます。
来て、スコアに入って、それは、3日に生まれて、私を歌います。
毎晩変化 ....
パパが
おじいちゃんは本当のおじいちゃんじゃないんだよ
と言った
なぜ私にそんなことを話すの?
おばあちゃんに
おじいちゃんのこと好き?
と聞いた
好きだよと答えてくれてよかった
....
元気なら
誰も私を知らないところへ行って
責任のない人になる
弱っているときは
スローでやさしくなる
一つの単語も
急がない
いけないのは
焦り
....
強風の夜
窓の向こうで大きな音がした
恐怖に叫んだかもしれないが
身動きしたかもしれないが
記憶にはない
まだ幼い少年が
フルフェイスヘルメットの男に殴られている
やわ ....
リップクリームの溶ける温度から急速に冷めていく唇に
強引にすべらせていく言葉
その摩擦熱は誰もいない理科室で
どの水槽にあてはまることもなく爪先に滲んでいく
金魚はしゃべれない
....
ブリッジをする君が足元
そして腕のあたりから
徐々に橋になっていく
なぜ君はブリッジをしていたのか
なぜ本物の橋になる必要があるのか
僕らは何を間違えたのか
かつて優しい嘘で慰めの言葉 ....
いつからか
いつだって
夕暮れにはどうしたって寒さを感じてしまうので
羽織るものを探して
溶けるようにして逃げ込む家並み
指先の冷たさで、触れると
いつだって君は飛び上がって
降りて ....
緑の並木道
とおり過ぎてゆく人たちと日々たち
僕は空中歩行
さりげなく浮かぶ雲
消えては生まれてゆく
自由みたいに
風の声に沿って歩いてゆくと
いつかまたあの丘へ
そして遠くか ....
手のひらで潰した花弁の名を
知らない
消えた指紋の一部と
渦を巻き
波打つ
消えた以外の指紋
彼方の太陽が
今日も近づいてきた
....
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