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いつも躓く丘の上の
崖の縁に私を積み上げていく
こんな季節でも不思議と崩れないもので
いつしか、
見上げるほどの、わたしになっている
いつからこんなことを、と
通りすがる誰かに聞い ....
スタンバイ、夕暮れ。涙はぬるくなり、あな
たは融解する。手遅れになる前に、手を、届
けられぬままに。言葉は無い、書き起こされ
る文章の中で、葉は散るように。ここは、規
則正しく揺れる箱の中だ。 ....
冬の支度も出来ないままに、私たちは詠い続
ける。それは約束であるかのように、寒さを
背中に背負いながら。この道、は死に行く為
の支度、だ。あの頃に見上げた空を、今もま
だ往復し続け、拾い忘れた ....
一呼吸置く、世界だったり
待ち人は来なくとも
息は吐けます
卵の丸みを写してみた紙には
吸い込まれそうな白さはどこにもないのです
変容のない毎日です
僕らは生まれていますでしょ ....
手の届く範囲で
窓を開ける
遠くなった人のことを思いながら
一日を傾ける
窓枠には白い花と
手紙を添えた
白猫が通りすがりに連れて行ってくれる
そんな風景を完成させるため
....
藍色を少し混ぜる
空の端の盛り上がった場所に置く
それだけで一日は暮れていけるし
僕らもゆっくりと、眠ることが出来る
あの日、あの壁の落書き
木に刻んだあなたの名前
遠くへ行けるようで ....
雨の、話など誰もしていないのに
空が溶けてきたねとあなたが言う
気が付けば隣で誰かが溶け始めていて
手紙に残された文字が一人、笑っている
手のひらは繋ぐためにあって
思えばそんな場所ばか ....
よく喋る温かい君の肌は遠くの転換点に於いて何処を通過していくのか
酔い覚めの軽い足取りから目を覚ますといつの間にか越えてしまっていて、楽しむことも出来ない肌触りを懐かしむ、歩道橋の上、今にも落ちそう ....
月を落せると信じていたから、いつか触れようと誓い合う。
ゆっくりと近づいてくる景色を、
遠ざけようと、するために眠る。
いつからか儀式となった風景を、懐かしいと君が言った。
首をかしげ ....
薄暮れて
眠り続けた一日が
黄昏に、朝と夜とを迷う視界に
君の小さい、窓辺に向かう後ろ姿が
棚引いて
まだ平原には届かないから
打ち寄せる波がこちら側を削っていくのを
た ....
夏祭りの音の屋根
迫り出した空のかけらは
まだ遠い、午後の私へと溶けていった
古い夢の神社の石段を
ひとつ飛ばしで駆け上がれば
頼りない心音のままで
私はきっと、そこにいる
夏の夕暮 ....
さあ、消えていこう
ほんの少しの朝食を
僕と君とで分け合ってから
いつもの通りに鍵を閉めて、出かける
いなくなるという夢を見た
そう伝えると
青色の封筒を渡されて
そこだけは、確 ....
青い目をした窓の向こうの
君かと思うので
遠い朝の海を見せたくなる
手を引いていきながら
引かれている僕の胸の穴からは
いつも空気が漏れていく
見ないでいてくれる君のために
朝の海へ、連 ....
閉じられた、そして
知ることもない雨が過去になって
それでも夕暮れと朝には
部屋は明るくなるので
花暦
今の頃は
冷たい雨を探す前に
どこに行けばいいのですか
すべてを抱いたま ....
時間が、かたちになるとしたら
思うよりも綺麗に見えるかもしれない
夕日を右側に受けながら
止まった部屋が揺れた気がする
ほんの少しのリズムを
みんなが取り戻していく
いつかよりも欠けた ....
東京は深くなっていく
今こうしている間にも
底なしに流れ込んでいく風に乗せて
僕らは深呼吸が出来るようになっている
そんなふうに、少しずつ思い出しながら
東京は深く、なっていく
君は回答を ....
退屈なものは誰かに任せて
白い帽子をいつも被った
揺らいだ道は長く、長く
熱のこもった視線は透き通る
揺らぐ陽炎、ここでもきっと
長い呼吸は約束されない
ここに来ない人がいた
待ちぼ ....
人がまた、遠くからやってきて
自由な姿勢で挨拶を続けている
寒いと言っていたのは、遠い昨日のことで
引き寄せた椅子に浅く座って
遠く、海ばかりを見ている
すすけた額縁から絵を取り外すと
....
もちろん、そこにはいくらでもあった
今を今として見てみれば、行き詰っていたのだろう
記憶にあるものを少し、震わせてみれば
確かにその街はどこに行っても
なにかしら行き止まっていて
そ ....
言葉を逆立ち、させてみても
結局、詩にはならなかった
考えてみれば当たり前のことでも
泣いている自分は誰、なのだろう
逆立ちした言葉は、はらはらと零れて
何でもないもの、になってしまう
....
足跡は
続いていく交差点の
その先に落ちている
踏締めるには少しだけ、遠い景色
よくありそうな一日を
(転がるように)
*
無駄なことだと、言葉にしたものと
無駄 ....
その日も、少年(予定)は、間違えた言葉をそのままに口にする
変換の仕方も削除の方法も、最後には気付けないことばかりなので
いつまでも、「あ」と「い」が上手く発音できない
それでもいいか、なんて思 ....
忘れることも出来ないだろうけど。
歩いていく爪先に、力をこめて息を送る、つ
まりはそれだけのこと。歩き続けるのが世界
で、歌を引き伸ばして道にしてみたい。今日
も一日が優しい、そんな今 ....
西日の頃には
空は白く霞んでいたらしくて
滲んだ街の、ビルから生える空の景色を
ふうわりと、抜けたくて
前後左右、サングラスの目線で
せわしなく行き過ぎる人たちからは
あの強い、レモンの匂 ....
路地裏の台所
いつも泣きながら言い訳を調理する
どこに傾いても、コンセントに差し込む場所が見えないので
とりあえず玉ねぎを切っていた
ということにしてみたい
*
電子レンジに生 ....
型にはまった言い回しで
誰かが時刻を告げている
競うように流れてくる朝の占いは
いつかどこかで、聞いたことがあるような気がする
十、からゆっくりと順序を数えていくと
決まった場所に電車は来て ....
夜明け前に呼吸が足りなくなって
遠い地名を呼びながら目が覚める
ほんの、少し前まで
そこにあったはずの夢に
花を、植えたい
声の鳴る丘、霧降る峠、新しい駅の三番線
いつか出会ったような
....
遊覧する飛沫の、そのすべてが着地すると
手のひらには鍵だけが残った
閉めきられた通りに沿って
左から五番目の鍵穴を覗く
その向こうには、空だけがあった
やがて、という
一括りに出来た時 ....
絡まり合った人たちの影も
それはそれで綺麗だった
東京
そこから抜け出すと
混雑していた日付が
見慣れない文字に変わっていく
月が、取り残されている
南へ向かう電車に深く沈み込めば
暖 ....
空の底
空気圧
破裂してしまいそうな
煙のように混ざり合ってしまいそうな
ねえ
そこで泳いで
きみの背中は
一時間だけのため息が根を張るように
そこでひっそりと、目を閉じていく ....
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