猫の眼のような月が
僕を見ているようでしたが
見ていたのは実は僕でした
そこには宇宙が広がっていましたが
実は僕こそが宇宙でした
常に生まれ
常に死にます
それは調和のた ....
白熱灯のしたで
チヨコレイトを食べています
すすけた銀色のロバは
いまやにぶい発光体です
若しくは端から、
しゅううう
あなたの燃えるおとです
輝く ....
今朝、あつ子は眼鏡だった
俺はあつ子をかけて新聞を読んだ
悲しい記事をであつ子は泣き
楽しい記事をであつ子は笑う
俺のあつ子、眼鏡は泣きも笑いもしないのだよ
そう言うとあつ子は黙って ....
重たい言葉を呟きながら
折った鶴はくずれた格好でいました
尾なのか頭なのかわからない二本のツノは
怒っていました
指がふるえて
上手に折れないのですから仕方ありません
せめて寂しくない ....
私は箱です
ありがとうの箱です
あとは忘れました
たまにあなたに会いたくなります
いつまでも開けないで下さい
苦しいだけだから
でも
ありがとう
ありがとうの箱 ....
電信柱のカラスを
仰向けにしてしまってよと
君がそんなことばかり
言ってたから
のど飴を舐める旅に出て
もう
帰って来れなくなった
冬の太陽が投下する限界を浴びて
蜜柑を剥くのが憎らし ....
心臓は崖へとつながっている
推定二百メートル
くらいでしょうか
そこから下を覗きこむのも可ですが
寧ろ僕は
ヤッホー
の魅力にとりつかれいつまでも
ヤッホー
ヤッホー
と繰り ....
下駄箱の中
君はいったいどれくらいの間
神と呼ぶものに祈っていたというの
十七歳だったころの
愛されていた少年よ
牛皮の匂いがする両手で
夕日のたまごを包み込んで
むせ返る 熱帯のような渋谷の夜に、
美しいクラゲが浮かぶ。
透明で ひんやりした 水底のような夜の闇に、幾つもの、
ネオンの色を帯びた 美しいクラゲが浮かぶ。
僕はと言えば、緩めたネク ....
バ ス 停 で 誰 を 待 つ の か 時 刻 表
ダ ム の 底 校 舎 の 上 を 泳 ぐ 魚
婚 姻 の 日 も 沈 み ゆ く 夕 日 か な
ふ ....
もう
すっかり冷めてしまおう
コーヒーポットが
かたかた笑う
もう
すっかり冷めてしまおう
何もなかった と
信じていよう
何も感じない
わたしになろう
どこにも行かな ....
ジニー馬鹿馬鹿しいほど簡単に
こんなところ捨ててしまおう
ジニー笑い転げているうちは
世界に光なんて射しやしない
人の言い草ばかりを気にする輩と
共に笑いあう ....
いらないもの
ひとつひとつ
思い浮かべて
どくんどくん
主張している
命というもの
黙らせようか
ことき り
こと きり
こ と
き り ....
砂場ではいつも
大きな壁が作られようとしてる
水をかければ崩れてしまうのに
ピンクの屏風
歩き出すのを見ていた
「そういうのって続くよね」の果てに暗がるのを
見ていた
出来事は起こっている!
ガラス球、目
ぼくらビー玉の先に
ほころんだり、なだれこんだり ....
雪が溶けたら
やわらかい地球の黒土花壇に
「火星たんぽぽ」の小さな名札をたてよう
ひとが植えたわけでもないタンポポが
好き勝手に咲いてるような
そんな花壇がいいだろう
そこから芽吹 ....
あねもねの花を持って
歩く、わたし
1月の風がごうごういって
わたしの身体を強ばらせる
こんな日に
アスファルトの上で転んだりすると
とても痛い
ここを
早足で通 ....
すべての葉を散らした体内で
葉たちはもう
おしゃべりをしているころだ
(TOXICを頭の中で♪しながら)
俺はトラックの運転手なのだ
俺は骨の髄まで運転手なのだ
居眠り運転してても目的地に着いてしまうのだ
これは本当のことなのだ
そんな調子で大きい事故もや ....
虹が
吹雪いてるよ
夜の窓は魔法であるから
てのひらに息を
当てて
もつれている糸を
たぐる、ダウンは
少しジッパーが
しまりにくい
川と友達になりたい
流れの無限に逆らい
....
本当は存在しないもの
駄菓子の当たり
国境線
赤道
風
本当は存在するもの
自販機の当たり(たまに当たるんだぜ)
戦争
孤独
花
ほんとうはさみしいんだ
ほんとうはね
まばらな鳥の群れ
に
なんとなく
不穏な思いを託す
海が見える
感じているだろうか
と
彼等の
飛んでいるのを追う眼
は
シンキロウを
奏でる朝日に
大阪南港の
廃墟が上 ....
公園が
冬のアスファルトに落ちている
黒く、その輪郭が切り立っている
黒く、切り立つ枯れ木立が鉄条網に混じり
黒く、その輪郭が主張されている
けれど
空は、白濁した眼球 ....
永遠という嘘を
信じる私
永遠という嘘を
知らない私
目覚めの呼吸が
ぽこっとまあるい泡になって
光差す天井へ
ふわりふわりと上っていった
仰向けのベッドで
それが弾けて消えるまで
ぼんやりと目で追っていた
ここに置いたはずの眼鏡は ....
追いかけることは好きですか?
あたしは好きだ。
届かないことがわかっていれば。なおさら好きだ。
空が白けて
窓にしがみつき
指先で書いた文字も
ただの水滴
さくっと
逆立った地面から
突き出た衝動のような
脆い僕だから
結晶を解いても
蒸発してしまうだけだってね
わか ....
浴槽。
膝。
俯いて、抱えて、
今、誰か出会った。
あまい波が
寄せては返す。
わたしは、
匂いに飢えてたね。
たとえば、庭に米粒を撒くこと
集まる鳥たちの名前をよく知らない
色、とりどりに、鳥
天空から降ってくる音
羽ばたく、空
それさえ分かれば、自分のどこかで
満足している誰かが在る
遠い ....
迷惑の
困惑の
生成だ
ペンキを塗り過ぎた
ペンキを塗られ過ぎた
ペンキだらけの身体
敷き布団に放る
それから掛け布団をね
パフェになってくると
き ....
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