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火曜午後喫茶店のコーヒーを猫舌ですくう君の口元
窓枠の銀色のふちと重なった空の灰色二十代の時
さっくりとすすむ静かな五月の{ルビ陽=ひ}自転車こぐ足軽く浮き立つ
二時間後待ち合わせをした駅に居る君の背中を想って黙る
甘茶色耳にかかるべき髪の毛を指で遊ばせ五分の間を埋め
梅雨前の最後の晴れに出かけよう三浦海岸二人乗りの午後
まっすぐに続く空とい ....
なんてことはないんだ。
今朝、母は雪を見ながら(正確には彼女にしか見えていない雪だ)卵焼きを作った。
キッチンに立つ母を見るのは久しぶりだけれどやはり、しっくり、とくる。
料理をするために洋 ....
ジャケットの裏に内緒でしのばせた四月のピンクと怯える自分
こっくりと深い音をたてながら埋めたい距離と倍速の{ルビ時間=とき}
自家製の梅酒を{ルビ口実=ネタ}におしかけるグラスの氷は溶けか ....
るらら と歌いながら 少女は崖の淵に立ったのです
崖は 必要以上に大袈裟に 切り立っていて
下を 見ると白と緑と虹色の川が
三日月湖 を 残して うねうね しています
きょうも おわった かな ....
さみしいなと思った途端に寂しくなくなった
それというのは自分でもわけがわからなくて
たとえていうなら水族館に行ったことが無いとか
煙草の火をつける方じゃない方に火をつけたとか
手帳に挟むペンが ....