晴れた空は、あまりに眩しくきれいだ
幼い頃、一番欲しいものはなあに?と問われて
そら とは答えられず
むきかごーぶつ と答えた
(空は大きすぎて僕のおもちゃ箱には入らないとわかっていたから ....
いつまでもそうやってそこにいなさいかみさまとみんなはあなたを呼んでいるけど
まだ誰も知らない土地でひっそりと虹の種など埋める秋の夜
悪だくみしてもいいけどもう二度と砂のお城は作れな ....
たったひとつの睡眠を
羊たちと分かちあって眠る
もこもこしてるね
なんて今日は言わない
めえ、と寝言を言っても口をふさがない
数をかぞえない
何も思い出さない
夢の中で道に迷うと目覚めなくなるって本当?
って彼女が訊くので
ルルルと笑ってごまかした
蓋し彼女の顔に見覚えがあるのは確かだ
しかし果たしてそれが
そうです
シスチンとシスチ ....
歩いてて思うのは、
この道がどこに続いてるかって事。
今、ビルの向こうに海が見える。
霧にかすんで現実に思えないけど
それでも、
不思議だ、
いつかは着く。
実際に着くんだ。
右手 ....
飛んでいる
飛んでいる
はげしいビートだ
もう世界もおわりだから
走ってゆくしかないのだ
酸性雨が ....
アルコホル
眠くなる後悔する
の
夜のすきまには
都電はすべて ばらけている
傘の先つたう水を
すとんと間抜けた放送を
泥に似て垂れる人を窓につぶつける雨を
ゆられてふらめく光 ....
あんたの短歌はフルーチェの匂いがするね愛しいだけさ
真白なTシャツで作ったフラッグを振る死んでも名前は同じでいたい
眠れないのは誰のせい深夜音楽番組を片っ端から惚れる土曜日
....
微笑みの匂いがする最後の頁を
めくるかのように
僕が女を忘れたころ
女はいつもと同じ場所で
いつもと同じ歌を
歌っていたそうだ
未明
人も車も動き出さない冷たい駐車場
空を見失 ....
泣いているこどもは
湯気が立っていて
かわいい匂いがする
抱き締めて
頭に鼻をくっつけて
くんくん嗅ぐよ
産まれたてのときは
わたしの内臓の匂いがした
今も少し
する
....
イカロスときみに呼ばれた五月から芽吹きだしてる背中のつばさ
滑走路駆けるあなたを追い駆けて追い駆けられて閉じてゆく恋
鋼鉄の翼たたまず夜を待ちどこへ飛び立つ思春期の冬
無 ....
雨が垂直に
突きささったまま
凍りついた
野の どこかに
愛のひとは
ふしあわせだ
与えるばかりで
奪われない
そんな物語の
かいてある石版が
埋まっている
らしい
まこっちのお母さんは
夕方
青い作業服を着て
バスで帰ってくる
まこっちのお母さんは
まこっちが失敗すると
笑って
肩をすくめる
まこっちのお母さんは
めがねをかけて
まあ ....
一時間に一本だけの電車の中で居眠りをしてみると
回想の中で自分の自分に逢えるので
もう一度と思ってみても
一時間に一本なものだから
すごく困ってしまう
ぼくらは、たまに
どうしよう ....
泣けるなら
泣いたほうがいいのです
いっそ
泣けたらいいのです
冷静に閉じたココロ
ふたたび泉が溢れるのなら
泣けるほうがいいのです
清らかな水が
こころを洗い流してくれるから ....
電車に駆け込む、37℃の平熱
昨日の夜食は暴力のオブラート包み揚げ、
鼻つまんだら食べられるけど、おいしくない。
電車の中はオンザステージ、ヒットパレード
ファンクにきめる少女たちを讃えろ ....
歩行者は夜9時を過ぎていく
ぼくの身勝手でやさしさを決め込んだ算数が
ドライな公園でひたすら石を数えるように
きみは月を見た
マイクに空気を
あたたかく篭ったノイズが閉じては枯れ
なぜ ....
おとうちゃん しっぷ はらはる
あかんもう年や、ゆうて 腰に貼らはる
おかあちゃん むね はらはる
もうすぐあかちゃんくるんやで、ゆうて むね張らはる
おにいちゃん テ ....
バス停で君を待ってる手の平に人とゆう字を千回書いて
鉄棒に逆上がりして校庭を空へと落とすサッカー部員
難解な数の定理を飛び越えてブッダのように眠ってるきみ
教科書の隅に落 ....
もういいだろう
コーヒーカップを片付けようとした
コーヒーがコーヒーではなくて
モーイーだった
モーイーなんて
くだらなすぎる
だじゃれにもならない
飲み乾してやった
....
エレヴェータ に乗っている
ねても さめても いつでも
エレヴェータ の透明なガラスは
都市の骨を映し出して
エレヴェータ は昇る
いき あっても いきたえていても
エレヴェータ は香りに ....
あなたは知っていましたか
すべての細胞は
自殺するということを
遺伝子の片すみに
小さな時計が隠れてて
もういいよってささやくと
それきり細胞は
すべての作業を放棄して
....
覚えていますか
と
問いかけるのは怖い
そして無意味だ
わたしはあなたにとって
最初から存在しなかったと
同じなんだと
確認したところで
一体なんになるだろう
覚えていますか
と
....
開かれた窓が必ずしも
空ではないとゆう君が開く
歌集の背景も部屋ではないとゆう
綱渡りな瞬間が連続している
今日は一番新しい日
みんなに会いに行こうと思ったけど
道はすべて絶たれて ....
くそ じじい と
おまえは また そのすこし
ぽってりとした くちびるを ゆがめて
はきすてるように いうのだろう
なんだよ と
ふたりのあいだにある へだたり ....
子供らがそらを指さして騒いでる
何事かと思いぼくもそらを見る
この角度でそらを眺めるのは
ずいぶんと久しぶりだ
見慣れたビルの屋上付近は
見慣れない広告でひしめいている
そのすき間ほどのま ....
行ったきり帰って来ない父を待っている間に
僕は肩を壊してボールを握れなくなった
故障した肩は匂いや形が花に似ているみたいで
通りを歩いていると勘違いしたハチが集まってきて困る
その度にそよ ....
キュウちゃんいなくなった
ピーちゃん泣いた
おばあは笑った
じいちゃんいなくなった
みんな泣いた
おばあは笑った
おばあは笑ってた
お ....
秋になったかは知らんが
満たされない月に向かって吠えます
オレンジの灰が屋上の地面を転がってゆき
本当の地上へ、ダイブ
深夜3時になりそう
明日への特急が来るなら何故に荷物をつくらないの、と ....
金色の
呼吸が
金属から
美しく
小さくても
低音が
空を秋に
高く押し上げた
公園で
ぼろを着た
青年の
胸で光る
金色の ....
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