せっかく色がついたのに
わたしにお声がかからないので、
欲望ばかりが成長しました。
(隙が無いといけない模様、本にそう書いてありました)
なので大きく育ったこのセイヨクを
ぷちん と ....
あさ
テーブルに置かれた
コップのふちから
ゆっくりと
日は すでに
暮れはじめている
午後
コップの高さから
風は 次第に
暗さ を深めていき
やがて
風上の ....
濁る水のほとり凍て石を
つまぐりつつ死人はわらめく
騒ぎ落つ枯れ葉あかく
みょうとして沈黙ににたり
くらめき惑う
せらせらと
せらせらと
腐肉をこそぎ
白糸のたばし ....
つながっている
(
青く透けた日の光が
結晶となってふりそそぐ季節
つめたい雨は 灰となってしまった
存在している私
無くなる。
空から堕ちた秘密が
虚ろな視線で風を呼ぶ
無神経 ....
死んだネコを抱いてまちを歩いた
ひっく
具合の悪いかげたちがのびたりちぢんだりを繰り返している
ひっく
おりの中のサルたちとその腕が地面から離れていく
水槽の中のイソ ....
夜店で買った
金魚が死んだ
汚れた水には住めないと
金魚が住める綺麗な水に
私は二度と戻れない
他者の言葉に傷ついて
赤い涙を流すから
金魚の住めない水になる
他者の心の物差しで貴方の ....
アルマジロは存外、臆病です。
こっちが遠くにいると
やけにたくましいふりをして
立ち上がったりするくせに
こっちが近づくと
慌てて丸まって
固い背中ばかり目立ちます ....
見慣れない肌の子供が立っていて
おまえは苦しんで死ぬと囁くものだから
そんなもの
首を絞めたっていいじゃないか
結局のところ
君たちは知らないんだ
君たちは知らずに転げる
転げている、ろ ....
{引用=さぼりぐせのある小学生でした
うそつきでした
さんかくじょうぎが さみしくて
青の奥
散らかってゆく雲
君がつくえに立ってふざける
ちいさな教室
きいろい ....
朝の
冬の
わたしだけの酸素分子が
冷たく、サラサラと
肺に触れてくれわたしは
震えました
少しの日のぬくさにも圧され
再び惰眠の目つきで
食卓に傾斜してゆく
....
彩るうたを{ルビ口遊=くちずさ}む
こんな命があるかしら
{ルビ水=み}の{ルビ面=も}に蝶が浮いている
ちらともせずに浮いている
こんな命があるかしら
あすを知りえず浮いている
....
きみが目を閉じても風は草原を夜空を海を旅してまはる
涸れてゆく泉にきみの瑠璃色の絶唱とわに不滅の予感
雨の駅、雨のバス停、雨の庭。きみが ....
空の虚点をついて
O脚の
うしろから貫かれたままの
あなたがあらわれた
私の傘は肋骨にひびが入っていて
私の肋骨には傘がつきささっていた
生まれ変わったのに蛭だった
あなたのふくらはぎに ....
遠い冬に生まれた夏が、またこの冬に巡る
僕はあなたの手にそっと触れ、
けれど
僕はあなたに触れることができたのだろうか
夏が 自ずからの素晴らしさに耐え切れず
崩れてゆく幾つもの午後 ....
ときとき と 痛む胸
憧れなのか
せつなさなのか
見上げたら 空が青かった
冷たくなった風に
私の心がついて行けない
まだ
そんなに確かじゃない
決められない
このまま冬になろう ....
うちのキッチンには
ピラニアが
生息している
いつもは
気のいい
スヌーピー面して
猫を
かぶっている
風の日も
雨の日も
雪の日も
朝晩の散歩を
愛してい ....
重力に
負けそうなときは
2センチぐらい
地球とお別れ
ティンカーベルの粉
ひとさじ
ふりかけて
角の先から尻尾の先まで
数えている間
よだれでベトベトの浴槽に
肩までつかっていると
今日の牛の冷たさが伝わってくる
それはほんの少し痛くて
やはり懐かしい
牛はただこちらを
....
虹色のアメフラシが
ベランダのクワズイモの葉の上を
ぬたり
ぬたり
と這っている
(そんなはずはない)
風が吹くたびに
アメフラシの体表の突起が
グラスファイバーのように色を変 ....
窓を打つみぞれの音の冷たきに孤独はやはり嫌いと思う
哀しきは居らぬ人へのうらみごと聞かせし空の雲行き怪し
夏の夜に火を点けられし導火線人目を忍び寒空に燃ゆ
{ ....
おやすみなさいの後で
まだどこかで誰かが明を炊いているのかと思うと
ほら、なんだか眠れないでしょう
だってほら、
おやすみなさいの合図とともに、
全てのドアと光と絵本は閉じられるはずだっ ....
ららら月曜日
水草に こっそり つぶつぶの朝
金魚さん 卵を生みました。
。.
お母さんとお父さんは 大きなお家で あなたを待ってるって
・・
2日め
お ....
上下に対をなす
立ち枯れの
木
木立の間に横たわる
磨きぬかれた
鏡の中で
囁くように舞い降りた
ひとひらが
沈黙を破る
波紋
{引用=僕らって何億個もの細胞を失う為の焼却炉だね
ピッピ}
天 ....
春までの道のりを
手探りするきみの指で
うたは束の間、白く結晶する
凍れる河と
色褪せた山並みと
特急列車の行方を挟み
わたしの前で野分の一陣はわらう
今日も約束の書けぬ手紙 ....
野を渡る風が表皮をなぞると
確かに私たちからは
生きているものの匂いがする
ひれ状に並ぶ背中の突起物にさえも
既に意味は付与されているのだ
と、唐突に閃光が走り
どこか、と ....
義父方の祖父の従兄弟の名を忘れ日がな一日オスカルの刑
慣れもせず言う事聞かずつちふまず必死で探す猫の住む家
「ナタデココ下から読んでチェブラシカ」守りたくとも解らぬ家訓
....
パッチワークの森の中
ひとしずくの木漏れ日が恋しい
紅い色が輝いて見えるのは
燃え立つような夏の記憶があったから
忘れられない想いを抱いたまま
しかし突然訪れる冷たい季節
また ....
{引用=澄んだ光の菜の花 そうしてかざした手のひら
数を数え飽きたらすぐに ここまで走っておいで
....
世界の四隅まで
呼吸の音が染み渡っている
君の耳にも届くだろうか
この交響曲
生き物達は静かに とても静かに
生き死にの分裂を繰り返している
潮の満ち干きのようなその静かな喧騒を
愛 ....
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