8月32日
ぼくはたしかに
そこにいたんだ
台風が行き過ぎた
西南西へ
6号の進路とは逆に
青空は底なしのように突き抜けて
まっすぐ入道雲へ
ラジオからエルトン・ジョン
切ないじゃないか
そんなに簡単に手渡さないで
ハンドルを握 ....
心臓を 下さい
何処かに置き忘れたのです
シナプスを飛ばして 過去の駅
遺失物預かりの四角い顔は
どうして揺れることがないのでしょう
同情して下さい なんて
云えないのだけれど
....
好きですって
ことばは 魔法
少し
わたしの温度が上がる
平熱37度2分
わたしの日常は
ゆっくり
熱を帯びている
あなたは
たぶん知らないけどね ....
人生をリプレイ出来たらって。考えたこともないな。
おそらくそこには、新しい出会いとか、無限の可能性とか、
リゾート地の広告みたいな、美辞麗句がならぶんだろうけどさ。
もちろん、その新し ....
足が水に浸かって涙を浮かべて
それでどうしたかといえばあたしはただ泣いていた
水面に映る顔は数十年知っている自分の顔に程遠かった
猛る
吹き飛ばされたかった
そのうち水嵩が増して溺れ ....
ふと、迷うということをしてみて
揃わない手のひらで地図をなぞる
帰る時間になりました、と言われるけれど
本当はどこへ帰りたいのだろう
誰か
夕暮れに誰か
流れていく群れを、逆に擦り抜け ....
君を何度も殺して悲しみに暮れる夢を見たよ、と云ったら
貴方に何度も殺されて幸せだった夢を見た、と云った
さんざめき、少しずつきえてゆくあなたの目に映るとうめいなちずをてのひらでよむ。ほほにながれるなまえをさがすように、丁寧なしぐさで紐を解く。なまぬるい、あめ、がらすにぶつかるたび、視界をぬらしてゆく。な ....
草よ、伸びよ
我が胸の内に
人々の胸の内に
その幾人もの胸の土壌に
根よ、根よ、根よ、
張りめぐらされよ・・・!
人と人を結ぶ{ルビ縁=えにし}の糸が
誰かに手を差しのべる
....
せっかく外に出たのだから
妻と娘に土産を買って帰りたかった
二人が泣いて喜ぶようなものではなく
小さな包みのもので構わない
ほんの少し甘いお菓子で
お土産買ってきたよ
あら、ありがとう ....
とりあえず、ではじまる朝の洗面所嘔吐している昨日の夢を
長いながい蝶のねむりをほどくとき薔薇の二文字のほころぶを言ふ
とうもろこし畑に無数の歯は落ちて兄弟喧嘩に暮れゆく夕陽
....
ぱさぱさと干からびて
色褪せてしまった
大学ノートを
赤い爪先で繰りながら
ため息ひとつ
セピア色と呼べば
聞こえはいいのだけど
少女じみた丸文字の
拙い言葉の羅列が苦 ....
透き通る水色のふただった
おそらく夏に気づいたせいでしょう
見上げると光るその水色が
海の底でなくなったとき
少しなつかしい
バースデーケーキの香りがした
透き通る水色 ....
願いの終わりに
願いはどこへいくのか
かわいた目だけが
鳥たちのつくる風を見る
次々に文字が浮かんでくる。
あるいは、沸いてくるようで
こらえきれずに咳をすると、
吹き飛んでしまう。おかげで
小さな唾の飛沫が染み付いている。
意識するとそれは`PLAY´でもある。
水風船われた
いつだって世界は僕のものではない
遠すぎる場所のことをうたったところで
僕のちっぽけな道は途切れたまんまだ
蝉しんだ
このまま地獄へ帰ってしまおうか
切ないことばかりを言って ....
かわがながれて
うみにつくのと
ちがながれて
しんぞうにとどくのと
ちきゅうにみちができて
あたらしいちずができるのと
のうがはったつして
しんけいがどんどん
の ....
私の中に
午前を飼っている
白い舟がいくつか
遠く漂う午前だ
華奢な草の葉がためらいがちに揺れ
吹く風のなかに
覚束なげな青さが
消えない午前だ
もう長いこと飼っている
だからも ....
その街では
いつも暖かな懐かしい風が吹いていて
まるで中央アメリカの芳醇な空気のよう
勝手知った家のスキャンダルの扉は
決して開けられることはないので
ぼくのトウモロコシはすくすくと育つのだ ....
ゆうべ
アナタじゃない人と カクテル のんだ
ぴかぴかした夜景が よくみえる店だった
グラスの チンザノも きらきらしてた
アナタじゃない人は
少 ....
笹舟に
恋文乗せて
待つ我が身。
フットサル
足元で猿
ボールを蹴りながら
猿回しの猿に
回されてますよ俺
舞わされてますよ俺
華麗なステップ
素敵なトラップ
フィット
チーネの味は
忘れました
あなたがいな ....
残暑が、高らかな色彩吐露を
自ら慎みはじめている
少しでもぶり返せばそれは
奇声、とひとことで片付けられる
薬を拒んでも、夏は引いてゆき
もう夏風邪とは呼べない何かと ....
いちばんたいせつなものを
あぱーとのうえから
なげすてた
こなごなになって
あかいものがとびちった
なみだがだくだくこぼれおちて
でも
かぜにあおられて
じめんまではとどかなかった ....
梅雨が明ける
青空の隙間から熱い風が吹く
素足を焼けた砂に投げ出せば
背中や肩や胸元に焼きついた記憶と
砂塵とともに行方を知らせない記憶たちが
行き来する
だから
こうやってここで
生 ....
ココアを買いに行った。
振り返ったら
テーブルに 彼が座ってた。
ぼーっとどこかを見て
考え事してるひとりの彼は
普通の男の人だった。
たまたま休みだから
外に食べに寄っただけの
お客 ....
なつのそら
そろそろ
そろそろこうたいなのだけど
まだ空は青く、たかく、しろいくもがはえている
あついくうき
すずむしのなきごえ
バッタがとぶ
ざるのうえにはミニト ....
原形を残さないくらい
君が溶けて
トラバターになって
きいろい
思い出になって
ボクはあの日
君が夕暮れと
おんなじくらい哀しい声で
ボクは何度も
忘れようとし ....
乾いた熱い風が 海沿いの道路に吹きつけても
九月のアスファルトの上には もはや弱々しい陽炎さえ立たないのだ
海岸線と並行して走る二車線の国道は 気味悪いぐらいスムースに流れていて
八 ....
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