カラビナ、切っていくんだろ
お前の自我が燃えている
こちらの電車が燃えている
スタンダードな鉄柱の
かすれた声は裏側に
山手線の内側で
正しい摂理を殺したら
徐に雨が降っていた

足 ....
穴の夜に可憐な花を引きちぎる 心の底から憎まれたくて


『やさしさ』という字はとても丸いのでやわらかなものと誤解していた


ワンピースに西のワインがふりかかる とれない染みに焦がれど、 ....
君の胸で飼われるうさぎになりたいと思う今日から欠けてゆく月


思い出を糸玉にして絡めとる 躓かぬよう掬われぬよう

耳たぶに可憐に小さく花咲かす君の愛するパールホワイト


我の ....
ゆうろさん料理をしましたか
ええ、しましたよ
左手 お野菜洗ったので冷えてあかい
右手 あついお鍋を見ていたのでももいろ
今日はどこで
小鳥の巣箱よ
小さなやかんに小さなお鍋
風邪ひいた ....
浴槽のなかで
泣くと
温まった頬よりもっと
熱いものが滑る

首筋をかすめて鎖骨へ
塩を含んだ水滴が落ちて
水に溶けてゆく

こうしていると
かなしみはまた
薄い皮膚を通 ....
列車から{ルビ放=はな}った鮮花は孤児だから一枚一枚懐柔していく



長針の長さか短針の長さかと午前午後とも振り切れてなお



隣家の瓦のいろを確認する軋む板間にうぶ着の陽光
 ....
笑っている
見下ろされて恥ずかしくなる
毎日は
知らないところで進んでいた
取り残されたような寂しさが
独りぼっちみたいで悲しかった


 あの、
 昼間に薄く青くなる
 広大な陰 ....
 
空をさす小枝のような
父の指に
赤とんぼがとまる
お父さん
声をかけると
赤とんぼを残して
父は飛んでいってしまった
驚かせるつもりなんてなかった
いい年をして、と
笑われるか ....
ほら、ごらん、寒さのなかのひだまりが「僕に帰れ」と言っているんだ

そうだねえ、最後に見たのはいつだろう。街に消される私の影を

その風の強さを不意に迎え撃つ、来たのね、春が、猛スピードで ....
先おくりに しさえすれば
それでよかった
ぬるくゆるい 水の底の

求めないという自由

厚く張った氷の下に
摂氏4度
凍れない水

流されろ
流されろ
氷になって
あるがま ....
 そっと
 手のなかで砕けてゆくものを
 花、と呼びます



透きとおる風に
聴きそびれた使いを
そのみちを

ためらいながらも、
懐かしむように
かばうように

 ....
一.


舞いそこねた息が
蜜擦れしている

まつげのながさは
わたしたちのいのち




二.


等分できないものをささえる
ゆいいつの幕間
背泳される 水は
 ....
待ち合わせ場所はどこかの曇り空ばかりが続く駅かバス停



大波が小波を飲み込むように冬 芒ヶ原に消えゆくふたり



砂浜に打ち上げられる夕焼けの淡い波間に拒まれながら
 ....
その坂の上は外人墓地になっていて
少しだけ風がそよぐ。
港町を見下ろすその場所で、
土の上に居場所をなくした人々が 眠っている。

その風を、汗に濡れた指先でなでるのが好きだ。

 ....
半月がころがった
夜の{ルビ帳=とばり}に
埋れたふたり
冬の星座は
オリオンしか知らない
道すがら探して
明日は晴れるね、
大体毎日言う
大体毎日
同じ相槌を聞く

手袋が欲し ....
かみさま って
ひらがなで書くのは反則だ
世界 ってやつをひっぱり出すのも
ルール違反ってことにしよう

そこから
おれたちはまず
書きはじめなくてはならない

雨上がりの
濡れた ....
使い古されたピアノが一台
早朝の小さな港から
出航する

ピアノの幅、奥行、高さ
しかもたないのに
言い訳をすることなく
ただ外海を目指していく

誰もが自分自身のことを語りたがる
 ....
プラットホーム
薄青く透けた空白へ
真っ直ぐに冴え立つ
色の無い脊椎の林の
プラットホーム


始まる
冬の朝の微細な輪郭線は
薄荷のことなど忘れた振りをしよ ....
オープニング
どこまでも行く
つきあたりを右折
空港がある
  教師のAさん(仮称)は空港を黒板に板書していく
  重要なところは赤いチョークで
  重要だがそれより重要度の低いところは黄 ....
足を拾いに行きました
海の匂いのする街でしたが
この街に海はありませんでした
足を拾いに行きました
この街にも海があればいいと
子供の頃から思っていました
父に海をねだったこともありました ....
 
 
海賊が泣いていた
アスファルトの水たまりを見て
海を思い出していたのだろう

海の歌を歌ってほしいと言うので
何曲か歌った
関係ない歌もいくつかあったけれど
気づかれることは ....
 
十六歳だった
終わったあと
ひとつになったんだね、と囁かれ
雑誌の読みすぎだとおもった
このベッドの下に隠れてるなにかかしら、とか
制服がしわしわになっちゃった、とか
私ははじめてで ....
情緒に問題あり、と
言われた、三者面談で
帰り道、お母さんが
泣いていた、自転車の
荷台で、情緒の意味を
分かりかねていた
テンイヤーズオールド


西日のまぶしさだけ
息が詰まっ ....
指専用のバス停に
思い思いの格好で指が並んでいる
やがて指専用のバスがくると
指たちは順番に乗り込んでいく
おそらく指にしか
行けないところがあるのだ
慰めが必要だったのは
本当は誰だっ ....
乾電池が足りない
と昨夜寝言を言ったあなたは
夢の中で久しぶりに
何を作っていたのだろう

今日は朝から雪が降ってる
あなたの故郷のように
たくさんではないけれど

もう誰も
あな ....
水晶を砕いてください船底でふゆの花びらかくまうように






捨ておいた言葉に幾度も拾われて星座のたもと鋭角を知る


閉じかけた波音の日がよみがえる月の鏡の無言を浴び ....
 
はねた、石は、
水のなかを、水を
大きく、全身でえぐり、ゆれて、水は
痛みで満ちた、が、血は、
流れずに、水のなかを、水の
深いところ、へ、


着席する、石は、
水、ではなか ....
元気ですか
そういってメールを打つと

少し
微妙な間隔で

クタクタ
風邪 ひいたみたい 
って

そんなこと
聞きたいわけじゃない



元気ですか
もう君もわか ....
一.


青を
反故にした

よりも
事情がある

真昼につき、
雨はふらない




二.


鋏の持ち手が緑だったことから
分け合いたくない
ままの
手 ....
寒風に手指をかばう
待つとも待たないともいえぬ朝まだき
冷え切った空気が
空高くから透明に降りて
ちいさな公園の
遊具に残る最後のぬくもりを絶やす
ほぅ、と湿った息を吐く

 ....
望月 ゆきさんのおすすめリスト(3220)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
カラビナ、切っていくんだろ- ピッピ自由詩1808-2-11
穴の夜に- 石畑由紀 ...短歌3508-2-10
うさぎ_月の- さくらほ短歌14*08-2-8
ゆうろさん- ふるる自由詩30+*08-2-8
飽和- 銀猫自由詩16*08-2-2
初夜- 簑田伶子短歌14*08-1-29
簡単に空を空とは呼びたくない- 小原あき自由詩12*08-1-29
赤とんぼ- たもつ自由詩2908-1-29
猛スピードで、春が- たにがわ ...短歌5*08-1-29
ハレルヤ- umineko自由詩4*08-1-26
水の蕾- 千波 一 ...自由詩10*08-1-25
断片集「追水」- 簑田伶子自由詩18*08-1-24
連綿不在- 本木はじ ...短歌7*08-1-20
ありし天文所の休暇- もも う ...自由詩28*08-1-20
半月- かや自由詩7*08-1-18
希望- 大覚アキ ...自由詩2608-1-16
沈黙- たもつ自由詩1908-1-16
薄荷時間- A道化自由詩2108-1-10
オープニング- たもつ自由詩808-1-9
帰郷- Tsu-Yo自由詩1108-1-4
大晦日- たもつ自由詩1507-12-31
ひとつひとり- 石畑由紀 ...自由詩3307-12-30
ペダル- 手乗川文 ...自由詩3807-12-30
窓ガラス- たもつ自由詩1207-12-12
スノードーム- たもつ自由詩1307-12-10
◆ふゆの花びら- 千波 一 ...短歌19*07-12-9
- 石畑由紀 ...自由詩13*07-12-9
星座の街- umineko自由詩7*07-12-9
断片集「間引く」- 簑田伶子自由詩37*07-12-6
東京- 久遠薫子自由詩26*07-12-6

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