もう 遠くに 届いて
行ってしまいました
誰の後を追って
なだめても
すましても
輝けない かぐわしさ
ぽつ ぽつ ぽつり
とおく とおく まもなく
いっ ....
ぞうきんは古いのを
うんと搾れば
ぽろりとイヤリングがこぼれ
枯草の下で温泉につかっている土を
にぎりしめれば
ゆでたまごが硫黄の赤ん坊を抱えてでてきた
しとしと溢れる露を
石に ....
砂漠のニコニコ
僕の肩を叩く
右手にレモンを握って
僕の瞳を覗き込んだ
砂漠のニコニコ
ポーンと高くレモンを
空に放り投げた
レモンは太陽にぶつかって
数えきれないほど ....
水びたしの指で
コンセントに差しこもうとした
叱られた
しらない世界はいっぱいある
目のまえのオーブンの火照りもしらない
けれど追いかけたりしない
食パンにまかせて
いいとおもう
....
いつまでも
と誓いをたてるにはあまりに幼すぎたのだ
姉は朝食の後片付けをしながら
思い出し笑いをする
覚えてもいない妹は
今年初めて夏服に袖をとおした
どうにもやるせない自転車です。雨水の玉つぶてなサドルの革を「そうでもなく茶色だ」と言って、拭き取ればままよ、と走りました。光、スロウ、アウェイ。そして溶解するするりとした残像を肴に、ウィスキーに言い訳 ....
僕たちの乗った観覧車が
一番高いところまで来た時
急にガクンと音がなって止まってしまった
故障したらしいが
彼女は焦る様子もなく
微笑んで風景を眺めてる
透き通った空は青く
行き ....
雨の音が神経にさわる
薄気味悪い静けさも神経にさわる
俺は自分を見失って
どうしようもなく孤独だぜ
なんでこんなに孤独なんだ
男でも女でもサイボーグでもいいから
何 ....
溜まっていた切手を
壁に一枚ずつ貼っていく
染み付いた匂いと
色の抜けてしまった壁と
すべり落ちていく手のひら
薄く伸びていくドアの隙間の光を
セロハンテープで ....
さみしいさみしいと
地球儀が、まわる
えい!
止める。
大津波が世界中を襲ったけれど
僕は
地球儀にすんでいない
もう
さみしくない。
くっきりとあなた
顔 も良く分かり
なめらかで豊かな曲線 も
温かくやわらかな感触 も
鮮やか
昂り も
息遣い も
鮮明に
ただ 熱心に セックス
透明な セックスをすると
夢精 ....
ぼくはすきなひとがいていなくなって
かなしむことができませんでした
ぼくはおはなにみずをやるのがすきで
まいにちそうしておはなはかれました
ぼくにはあなが ....
朝起きたら
田中だった
田中くんおはよう
よう田中
あ 田中君だ
田中の言うことなら間違いない
田中さんこれ受け取ってください
下駄箱で告白までされる
本当の事を云 ....
A-KU-SE-KUと 時の水車に 身を{ルビ碾=ひ}かれ
五刻は{ルビ誰=だれ}が 為の鐘なり
な〜んにも
かざるものをもたずに
うまれたままでわらっている。
眸がわらっている。
ふれれば
こわれそうなひかりが
とことことことこあるいている。
眸があるいている。
ちいさく ....
二人で地下室に入り
暮らそうか
そうね
窓
なんていらない
あいしてる
あいしてる
まるで二人は
日差しを惜しむように
ひたすら
気がついて
しまったから
....
どこか
いま
どこか
知ってるけど雨
降ってるけど
存在感覚かな
あんまり
ない
傘あるけど
ひとあるいてるけど
ねこ
首筋かいてるけど
おとこ
あくびしてるけど
....
吉岡君
電車の中で思わず声をかけそうになった
よく考えてみれば
こんな時間、こんな場所に
吉岡君がいるはずもないというのに
あの日と同じ顔
学生服のままで
そんな僕はまだ
....
つゆやみの夜
降りしきる蛙の鳴き声
このたくさんの鳴き声の中にも
さみしい蛙はいるのです
呼ばれているような気がして
サンダルを履いて庭に出てみると
蛙の鳴き声が辺りを包みます
白い ....
雨の日に
長靴履いて
出掛けると
街は水没していた
どこへ行っても
ざぶざぶと
音がついてくるので
大好きな傘を叩く雨音が
いつまでも聞こえてこない
大通り
だった場所 ....
家の真ん中に ドードーの巣があるのです
絶滅させた張本人として歴史書に残りたくないので
バスルームには大きく迂回しなければなりません
慣れないうちは何度も卵を踏み潰しそうになりました
彼ら ....
あいかわらず颯爽と世界は血をはく
めくるめく憂鬱にようこそとぼくは言いたい
今日も殺される夢を見たよ
教室によくいるちょっと苛立つ奴の真似とか
無駄に上手くなったりしたよ
削除されたホームペ ....
食卓レモンのかなしみは
食卓ってなんだ?と
となりのワサビに聞かれたり
きいろの表面に こまかい凹凸
みどりのふたが 大きすぎても
レモンになろうと
もがいているようで
かなし ....
昨日 いつも市場で会う少年と水遊びをしたとき
「お兄ちゃん、腕まくりが似合うね」って言われて
戸惑って
戸惑ってしまったまま 朝が来て起き上がる
いつもと同じように寝床に向かい
膝を曲げ 腕 ....
ふんじゃった
でも
みれない
かたい ような
ちいさいような
うごいてるような
どうして
うごけないの
ねえ
にげないの
俺は見たことないけれど
時忘れの香がある
1本で1年分の記憶をなくす
俺は子供の頃
怒られて泣いているか
1人で遊んでいるか
どちらかの記憶しかない
もう
....
考えるのを止めたとき
空は色をすいこんだ
ポカンと見上げて僕は
この地面の名前を忘れてしまう
しばらくは誰も
気付かないかもしれない
僕の一部もすいこまれたこと ....
しおが
まあるく
みちてくるのは
ぼくらのからだに
きざまれたひつぜんだ。
しおが
まっくらに
ひいてゆくのは
かぜがおしえる
このほしのぱずるだ。
このほしとつきとのなぞ ....
行き止まりの洞穴の中へ
君が入って行ったので
僕は後を追う
じめじめと湿気じみた洞穴の中で
わ わ わ わ わ わ わ わ わ
君が戻って来る気配はない
僕 ....
海までの八号線はいつも夏 湿った空気と寂しい人魚
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