青は赤緑は黄色とおんなじでこの世に生きている事の不思議
寝室に肉食獣が眠るから君は入って来てはいけない
ワイパアに折り畳まれてゆく雨の先を伝って悲しみが満ち
学生もサラリーマン ....
ごらんよ。あれはスイカズラだよ。
雪の下でいまも青い あの葉は
あれはスイカズラだよ。
忍冬とも言うんだよ。あれはスイカズラ
雪の下でも青い葉だよ
あれはスイカズラだよ。
夏の初め ....
わたしの恋人は
痩せていて
あまり食べないの
お酒と
煙草と
お刺身が好き
映画と
音楽と
こどもと
カメが好き
たぶん
わたしのことも好き
忘れない根に持ちますよわたしは、と言う君みたいな雨のはじまり
残っている洗いざらしのTシャツに君が選んだセッケンの匂い
あたらしい季節へ線を引くような雨あがりの青い空とは
あおい ....
一限目 数学
ただ何事も無かったかのように
男は黒板に数式を書き足していく
黒板がすべて埋まると消して
再び数式を書き始める
数人の未成年がノートに書き写していくが
誰も男の背 ....
すれ違う人の群れ
深い海の底のようなコバルトブルー
泡を吐き出せばエラ呼吸も必要ない
進化の過程で忘れたものは取り戻せないけれど
心の中に残された記憶はゆっくりと胸を焦がす
....
やがて、それはゆっくりと始まる
誰も気付かない視点の高さ
から、夜は上昇していく
もう僕らは沈み込んでいる歩幅
もがくよりも深く落ち着いたリズム
呼吸はあちこちで燻っていて
平面に広げ ....
「京都へお嫁に行ったら苦労するよ」
関西にいたら一度は聞く
でも君を見ているときは
そんな言葉はどこかへ飛んでた
カマカマカマカマ カマ カメレオン…
私はアホみたい方向オンチやから ....
くもり。非常階段へ続くベランダからは大き
な白いビルが見える。本当は白ではなく薄く
濁っているそのビルの外壁には大きなヒビが
いくつか、ひとつ、ふたつ、崩れ落ちるよう
な気配。ジェニファーの俊 ....
ひと足 ひと針
沈まぬように
世を渡る
アメンボがゆく
アメンボがゆく 日比谷の街を
部屋の中で素振りをしていると
外は激しい雨が降っていて
どこかとても遠いところから
僕の知らない動物の鳴き声が聞こえる
シマウマはたてがみも縞模様なのだと
テレビ番組でやっていた ....
あっけなく飛び込んでいった
プールに飛び込むみたいに嬉しそうに
星を見上げるのは星になろうとするためか
弾け飛ぶ後悔と切望のように核融合によって放出されるエネルギー波 フォトン
....
(ぽとり)
点滴1本3時間
(ぽとり)
ペンとノートがあったら詩の一つでも書けそう
だけど悲しい詩になりそうだから書かない
(ぽとり)
透明なビニール容器から
半透明 ....
暗い
宇宙の夜に中に
最初の人間が現われる
途端に 宇宙の空は晴れ渡る
ように見えるが それだけだ
相変らず
宇宙は 際限のない夜に包まれている
最初の人間はぼんやりと坐りこみ
すべる ....
こよつきよ
ここにもちから およぼせよ。
夏草ノ原 草ノ海原。
ノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノ
ノノノノノ ....
さじ の中
盛られた 私の
腕に とどかない
ひくい
止めた 前髪
痛くて はずす
ヘアピン
月明かり まばらな カーテン
さえぎる
みたくないと
あわれむ ....
そのむかし、とーっても若かった頃、何を血迷ったのか「仲間を作ろう!」と決心したことがあった。「やっぱり仲間といえばバーベキューよね」と数少ない友人に頼み込み、仲間集めをしてもらった。私はとても頑張っ ....
誰かのシアワセが
ゴミ集積所に
捨ててあった
家に持ち帰って
磨いたら
結構使えそう
だった
コンセントを
入れたら
シアワセが
動き始めた
君はなぜ
捨て ....
そのはじまりからすでに
鋭く亡びに縁取られているのが夏で
青空と陽射しがどれほどあかるくても
そのあかるささえ不穏なのが夏で
蝉が鳴き騒いでも
祭の喧噪が渦巻いても
濃密な静寂が深々と ....
月が見ている
わたしの行方
さいとういんこさんのお腹は大きい
大きく膨らんでいる
さいとういんこさんの子供が大人になる頃
僕はもう59歳だ
それまで生きているかどうかわからない
生きているつもりもないし
自信もな ....
心臓破りの坂
に破られる心臓
そして
けたましく鳴り響く電話機
に似た形のビニール袋
に梱包された
けたましく鳴り響く電話機
の絵
も
範囲内の限りにおいては
どうにでもなる
....
さみしい唇が
のどに鈴を付けて
歩くたび揺れて鳴く
顔迄這い上がる地熱はゆらゆらと
蒸せかえる
濡れたアスファルトの匂い
空は墨青を垂らして
飼育箱の中は授乳室であった
....
あの嘘を見破るなんて野暮なことしなきゃよかったサヨナラ純情
ツマラナイ女になるなと口癖のように云うから泣いたりしない
ピンヒールの靴を履いたら女王様君はかかとの下で傅く
口紅の色を迷 ....
春だった
すきと思った、無理だった
駅で時刻表を見る
あのひとはなにをしているだろう?
昼休みのチャイムが鳴る
あのひとはなにをしているだろう?
宿題を片付ける
あのひとはなにをして ....
食後に飲むはずだったビタミンが
テーブルの上で醗酵している
その熱で君の言葉は燃え尽きてしまった
僕らはたくさんの窓や部屋を投げあって
ぶつけあって、お互い
何となく傷ついてる
夏 ....
田中君は今日も元気
弧を描くよな風が 短い場所でおおらかに吹いていた
湿度の低い 午後3時
フレアスカート プリーツスカート ふくらんだりして
白桃や北 ....
星砂ヶ浜
夜 月光のまぶしさに
まばたき出来ない お魚が
目に焼き付ける 星のまたたき
しばしば するので 砂で洗った
こそこそ するので 飛び跳ね回っ ....
独りだとときどき
夜空と自分の境界線が分からなくて
不思議
からだの曲線にそって
あなたは
かんたんなじゅもんなのだと指を折った
てのひらをそっとひらいて
りゆうもなさそうにわらった時
すこしだけ
えんえんとつづいてゆく
朝の風景を おもいだして ....
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