街灯に葉が透ける
見るでもなく 見ないでもなく
浮かぶ 黒猫の瞳
水たまりに漂う
おびただしい黄色の残骸
昼 彼らは風に揺られて
あたらしいいのちを探していたんだ
春は今 ....
*
いつまでも、
溶けそうにない
って、 思えてくるの。
この雪の 白い場所で
あなたは ぼくを。
大きな瞳の奥には、
雪の風景、と
ぼくたちが、
マッチングせ ....
バイブレーションの音で目が覚める
考えていた
世界のこと
ほんとうは
ヤンマガを読んでいたら手が黒くなってしまったところ
うるさいな、
とおもって
すこし空を仰ぎ ....
階段は増え続けた
僕らの知っているところや
知らないところで
やがてこの街は
階段で埋め尽くされてしまう
のではないかと思う
そうしたら君と
階段の無い街に行って
日にあたりながら ....
果肉潰し、吸う少女の唇の形
を、やめた無表情に残った
まだ透過しているライムの息切れを
直ちにアルコールで
ほろ苦く、濡らす
流す目尻に、不純が到達して滲 ....
今夜 私には
逢いにゆく人がいない
孤独な夜の散歩者は
アスファルトに響く雨唄と
ビニール傘に滴る雨垂れの
二重奏に身を浸しながら
果て無い雨の夜道を{ルビ彷徨=さまよ}う ....
夜に、わたしは
はしたないほど口を開けますから
どうぞそこから私の中に
入っておいでなさい
内側から私を喰い尽くして
やがて空洞になった私の躰は
それでもまだぬるま湯ほ ....
暑いよね、暑いですよねと会話する二人は何故かつきあっている
予報なく気づかずに降る五月雨も君を迎えに行けるのならば
傘をさす理由をなくし歩いてる濡れてもそれで満足なの ....
あたし せかいの
ひとかけらで
あるはずなのに
どこにも はまらないの
なんにも はらまないの
退屈なものは誰かに任せて
白い帽子をいつも被った
揺らいだ道は長く、長く
熱のこもった視線は透き通る
揺らぐ陽炎、ここでもきっと
長い呼吸は約束されない
ここに来ない人がいた
待ちぼ ....
人がまた、遠くからやってきて
自由な姿勢で挨拶を続けている
寒いと言っていたのは、遠い昨日のことで
引き寄せた椅子に浅く座って
遠く、海ばかりを見ている
すすけた額縁から絵を取り外すと
....
噤む蕾は
朱色の予感をいよいよ過密化させ
その内圧の快感に震えついに
耐え切れなくなる黙秘破る色彩という最も濃厚な
ひとつの呼吸を開く
と、既に色彩は、さらさら
さらさらと分解し始 ....
さよなら
でも
さようなら
でもいいが
それは
またね
をかくしているはずで
またね
は むぼうびなのに
わたしたちは
うたがうことをしない
まだ
ことばのないこ ....
もちろん、そこにはいくらでもあった
今を今として見てみれば、行き詰っていたのだろう
記憶にあるものを少し、震わせてみれば
確かにその街はどこに行っても
なにかしら行き止まっていて
そ ....
きみの睡眠の中を走る
列車の軋む音を聞くと
世界が本当に
平面であることがわかる
ぼくらは座席に並んで腰をかけ
お手製の弁当を食べる
屋根の瓦が一枚落ちかかっているのだ、と
きみはさっき ....
ぼくは詩を書きたい
たとえ自分を見失ったとしても
進むべき道は必ず存在する
今日もまた
朝の散歩をしていると
静寂に出会いました
林の中
光をも遮り
薄暗いその空間は ....
ヘブンズドアー
が開くその光を見て
真夜中
君の煩悩の融解を疑わない
許されるものだから
許されるものだから
って許されないものなんて一つも無いって
ヘブンズドアーかしら
その ....
ほら
徐々に白昼は
朗らかな華やかな他人となり
朗らかに、華やかに
高くなり
遠くなり
ずっと
最適な肌へ
熱を当てそこない続ける私の体の
どうしようもなく密 ....
ああ、男は36階の屋上で
誰一人居ない 屋上の一角で
この世の切なさと
この世の厳しさに
ゴクゴクと酒を飲む
だが、しかし
不本意にもああ、不本意にも
足を酔いに取られ
誤ってフェンス ....
砂の上に
時をばらまいた
風が吹いて
時間が流される
帰らざる時の終わりに
横たわる
あなた
打ち寄せる波間は
遠き日の思いを映す
思いが心を焦がす前に
光よ
わた ....
先端のあやふやな人が
細長い話をしていたので
窓をもち歩く人が
そっと窓をしめる
何かが入り込むように
何かが出て行こうとするから
わたしは遅い夏の陸橋
レタスが逝った日のことを話し ....
言葉を逆立ち、させてみても
結局、詩にはならなかった
考えてみれば当たり前のことでも
泣いている自分は誰、なのだろう
逆立ちした言葉は、はらはらと零れて
何でもないもの、になってしまう
....
五月の彙報
月光のはしゃぐ五月の階段の途中できみとすれ違うだけ
降り注ぐ色とりどりの花々がきみを優しく包み込む通夜
未熟だと知ればけもののねむりから飛び立つひ ....
失ってしまったと
知らせに突かれて
霧雨の中へ飛び出したから
取り込み損ねた洗濯物のように
さびしく湿ってしまった
時計は無慈悲に
時を奪っていく装置
刻んで ....
抱き合うことで
すくわれるたましいの
とおく
海を泣いて
あなたが翔けていく
わたしもはしる
とおく
たましいの
秘密の場所
わたしは
自由だった
わたしとして
ほ ....
君のおもかげを
他の人に探してしまうのを
やめようと思って。
やめよう、やめようと思いながら
そう意識すると
なおさらまとわりついて。
疲れてしまった
人と会うのは。
今日 ....
今宵も匠は
あざやかな手つきで
ガラス球をつるり
音もなく水槽に沈める
瑞々しい、青とグレイと白の珠
覗き込むたび
妖しく映ろう彩雲は
硬く閉じ込められていて
届きそうで、届か ....
<前文>論ずるより書けとは御尤も、かと思います。論ずるのは専門外ですし、例え中傷を受けようとも毅然と書いている方が粋だと思います。ですから、此方での発言者として考えを投稿するのは一度きりにしようと思い ....
「樹を」
折れてゆく私の直線をめぐって溶け出す樹々、の泳ぐべき海の直線。泳ぐのは海、ひらくのは海。樹の斜線は海を分解して新しい樹々の斜線を生産する。いくつもの遠さに囲まれながら樹はかわくのをやめない ....
光のくずは
朝のなかをかがやく
屋根にならぶ
しずくの
影
雨の音は
あたたかな蒸気と きみを はこぶ
まどぎわにあそぶ
まだ 新しいひとみで
洗われてゆく 世界をみつ ....
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