ササゲの日
チアーヌ

勝手口を開けると柿の木が青空にそびえていた
白い入道雲がゆっくりと動いていた
戸を開け放ち
時折それを見上げながらわたしはササゲの筋を取る
ざるにはササゲが青々と積まれて行く
指先にササゲの汁が付き
わたしはそっと匂いを嗅ぐ
青い青い匂い
奥の座敷から大人たちが談笑している声が薄く聞こえ
風呂場の水道が細く流れスイカが冷えている
山から降りてくる昼過ぎの風は
わたしの側を通り過ぎるとき少しだけ涼しくなる
いつまでも
いつまでも
こんな時間が続くのだろうと思っていた
時間が終わるなどとは考えたこともなかった
あの日のわたしはあそこにいる
今日のわたしとあの日のわたしは繋がっているようだけど
たぶん繋がっていない
だからあの日はいつまでもあそこにあって
わたしは
どこでもないところにいて
ざるに山と積まれたササゲと一緒に


自由詩 ササゲの日 Copyright チアーヌ 2005-07-11 21:41:26
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