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おれたちは
美しいとさえ言えるほどの偶然の果てに出会って
互いが失ってきたものを取り戻そうとしている
時には痛みをおぼえるほどの激しさで
おれたちは震えていた
互いの眼を覗きこみなが ....
夜明けまえ、
廃止された鉄道分岐点で
ぼくは枯れ枝を燃やした。
低空によどむ雲、その裂け目に
うすい煙の筋が消えていった。
正午まえから雨。
うす暗い昼のあいまにぼくはウィスキーを ....
叫びが聞きたい
地上のどの声にも似ていない
見えない波長の叫びを
午前零時
どこかで叫びがあがった
均された街の
よく似た通りと通りのあいだのどこかで
どこかで叫びがあがった
....
真昼、
通りの向こうで叫びがあがったが
どうしても人間の声にはきこえない
おれは対角線上を通りすぎ
日陰から振りむくが
すでに何も見えない
何が叫んだのか
何を叫んだのか ....
おれは見たい、
赤錆びた鉄塔の頂きに
鳥のように爪先立って
人影のなくなった都市を見たい
きみとだ
おれは見たい、
太陽のとなりに炸裂するもうひとつの太陽の誕生を
塵からつくられ ....
街路図には
方位が記されていないので
正しい道順はもうわからない
人影のないアーケイドを逆順に進めば
三番街と一番街のあいだに
二番街がない
封鎖された地下通路から
川底 ....