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詩人のなかでは詩才が最も少ない
私の偽らざる感想・・・
輝くような比喩を織り込む人
文体が詩人の生きざまを語る人
自らの主張を説得力豊かに書き綴る人
このサイトの詩人の方々の作品は
....
ベランダに鉢植え
やわらかな大気がゆっくり空に侍りつつ
曇天は寝息を立てて
温浴の風 静かに降りて
ビルディングの静かな午後が始まる
鳥のさえずりが空間を示して
立ち木の常緑は静か ....
そんなふうに
春が眠り 寝息が聞こえて
やすらって いたなら
霞むんだ
高雲の桜色の空に やってきた
風にほんのりと
春の靄は大きな体を
この地にあずけきって
眠っている
....
一つできたら 十できる
一つ 組み合す
「青い空」と・・・
二つ情感 感じて
「まっ青な空」
三つ 広さが欲しい
「青の空に ゆっくり雲は流れる」
四つ 調子を変えて
....
ポットの注ぎ口から
授乳温度の液体ネコを流出させて
膝の上に置く
ネコは不定形
とろーり とろーり
湯気を立てて
うたた寝をしている
ネコの脳波はカップの上で波紋を立てて
き ....
乾ききった滴りの速さで
砂漠に打ち捨てられた
砂時計は時を刻み始めて
砂礫の大山に沈む
夜の生き物のように蠢動する
艶かしく くねくね
流砂は崩れ去り
乾いた海へ向かう
防波堤 ....
三日に一度は
インスタント食品レトルト食品
ベッドに広げられたシーツの皺のように
時間は寄せ集められるから
僕は読み止しの本を手に取る
気の利いた中国製の服が
安価で手に入るから
....
鮮やかに 雲が
青空から 吊り下げられて
細いナイロン糸が
結び目を のばして
雲は動く
己の腕の寂しさが続くかぎり
雲は行く
己の知らないくにざかい
雲の影が落ちる
....
明るみが つぶやく
影が出来ていて
潅木に 優しい陽光が
密かに 染み渡って
今日 静かな作業を編む
コスモスを風は包み
清涼な空気は
明るさを溶かし込む
ソーダ水の輝きで ....
大地と空が
触れ合い
お互いを確かめ合って
一つに溶けている
横たわる夜は
静かな寝息が
そっと 部屋から漏れていって
夜景の街を満たす
夢 追うように
ベランダから
夜を ....
それは 驟雨
我々は 再び
時空を追い越さなければならない
足早に車道を突っ切れ
大気の重々しい臭い
揮発油は燃焼を続けているから
注意深く
荒野の自然から学びなおし
そし ....
東に開かれた 窓があった
ソファーにもたれて
書物に目を落としていた
部屋を採光された 光が
うねり 本を照らす
読み継ぐ事に 少し疲れ
目を空へと あげる
陽光は石をも貫き ....
空がこんなにも 開けて
甘い曇天が ひっそりと退くと
天空から秋の雲が垣間見え
私は視線もろとも 空へ 飛び込んでいる
空中を滑空する 夢
この秋空のなみなみとした 胸
陽光の ....
黄昏をそっと飲み込む部屋で
夕闇の迫ってくるのを
静かに 待つ
大いなる大地の
昼と夜を
この地球が音もなく航行するのを
額のにじむ汗に微風を感じながら
夕闇の光で織る
繭玉を ....
透ける 青空
高き 雲
夏の太陽
留めたる
秋の収穫
ぶどう狩り
ぶどう棚から
こぼれ来る
木漏れ日 キラリ
ぶどう房
輝く ルビーか
ぶどう房
一粒 口で弾けては
....
まだ 明けぬ
朝間の空に
日の使者は
濡れ羽色した
大烏
烏 鳴く 鳴け
朝焼けを
呼び込む 力
漲って
今 日は昇る
いつもの リズム
乾いた灰を
ふるい積もらす
都市の息吹
鋼鉄とガラスの高層ビルの輝き
ターミナル駅の喧騒も
ジーゼルエンジンから吐き出される
車酔いの成分も
灰として積もる
夜の煌びやかな ....
今日もまた この店に来る
昔から栄えていた 商店街の一角
日が沈むと
怪しげな ネオンが点滅して
どこからともなく もれる
男女の笑い声 娼婦のささやき
この店は 不思議
深い ....
あなたと 命を分かち合う 夏だ
二人で出そうとした 文芸誌
この夏の熱気に溶けてしまった
文化祭のため夏休みを燃焼させた 八ミリ映画
これが あなたの遺影
あなたのスナップ写真
こ ....
朝日を浴びた
午前のビルは眠る
ホワイトカラーは忙しく
陽のすがすがしい建物を行きかう
日々新しい計画をその通りに実行する
神経情報が生き生きと色彩豊かに
インターフェイスに表示さ ....
夕間暮れて 路地 細い道
地階への階段の踊り場にある
表現主義のポスターの裏に
アンダーグラウンドへの入り口はある
古びたポスターのすき間から
白くて軟らかな光は
水がはうように流 ....
垂れ込めた 雨雲の下
その街は 午後を迎える
あの路地を
右へ折れると尻手黒川線
左側は商店街
猫の通う 細い道
衣料を商う 廉価店や
まだ 人のまばらな飲み屋街
気の早い ....
夜を巡り
たどり着く
君の皮膚と薄皮一枚の距離
この夜を巡って
法華経を読経する
自死した 君や
見ず知らずの 霊に
夜の底で 親しく
妙に明るい 死者の森を
読経しなが ....
渓流の音を引きながら
潅木の尾根へ向かう
苔むした倒木
ぬめり しめり
厳しく鳴く 色とりどりの小鳥
影 押し寄せる
山の霊気
汗 額を伝い
心拍はあがる
狂気のよう ....
臆病な渓流の魚
生息の影 秘密めき
見上げる
木々の陰影
木漏れ日のわずかな流れ
遡行する 記憶の面影
二千五百年前 仏陀と
七百五十年前 日蓮と
この滝の巻き道をあが ....
扉から 漏れる 白熱電灯
白檀の香 しめやかに 香り
私は この仏間に
この世のありとあらゆる
悲惨を出現させる
戦争 飢餓 病気
怒り 憎しみ 嫉妬
唱題しながら
どす ....
浸りゆく
この黄昏に
街は慈愛の潮 満ちて
海から遠く 離れて
唸る 街に
古代の虫 発光し
アスファルトのタールは
原油のにかわ 舗装する
道をまっすぐに!
密 ....
それは 一つの信仰
アルカイックの微笑み
明るい部屋で 本は読まれ
神々の祝福と 共生が
静かな 泉から湧き上がる
一人の人間の為した事
偉業は やがて
万人の日常となる
....
沼に霧 立ち込める
そのように
寂しげな 繁華街の一角は
その 二階まで湿った汚泥
感情のむせび泣く 湿潤に覆われ
時は初夏
汚泥の沼に白蓮
救世の観音
その華に座す
....
この 二足歩行を支える
骨と筋を 賛美せよ
足裏を遠い岬の土に
摺り合わす 意志があるなら
この風は
風力発電機のために 吹くだろう
ひと時の 陽だまりの幻想
岬の土音を ....
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