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花薫じる風
春の果肉は発する
ぬくみの芳香は
顔を撫でる
揺れる山肌の草色
白いかげろうは延び
青い遊戯は列をなす
この涅槃の奥底まで
ワルツの舞いは膨らみ
太陽にほ ....
新緑の歩調に
風のブーケが踊る
朝が来たのなら
花通りの空の
あたらしい風で顔を洗おう
うららかな候は
群青の筆をとり
太陽を描き始めた花の街へ
きみは、ハイカラに萌えて
モダン ....
暮れた水銀灯アーチを
潜っていた
ざらついた街
妖しい電飾の明滅
時計仕掛けの日々が
万華鏡の筒を
眼に視えぬものにする
きらびやかな銀彩は
濁った表情に果てて
追いかけた微 ....
三毛猫は憩う
幻燈の夜
羨望にすました
猫の瞳に膨らむ
ブリキの月
悪戯な黒雲が
月光の尻尾を隠し
この乳白の森を
蒼い舌で塗らしてく
魔法が解けてくようだと
きみは云 ....
硝枝はけぶる
柔らかな朝
ああ
いい匂いだ
熟睡した樹皮は
哀しみを煎て
苦味すら香ばしい風
そんな
朝もやの窓を包み
夜明けの香りを注ぐ
大気のフラスコ
朝焼けは沁 ....