木のかけらと
あたたかい水が
午後と夜の境いめに
蒼い浪となり流れ込む


錆は子らの名をくちずさみ
鉱は荒れ野に伏している
陽を転がす指や指
流れの内に華やいでいる ....
狂った魚は
     おひれはふり
宙に浮かんで
      あなたを捜す

浮かぶ女は
     どこにここで
みなもを割って
       天へと沈む

透明宇宙と地球の真ん中 ....
【こめる】

ちいさな人が ちいさな声でいった
「あさがおは かさ みたい」
くるくるたたんでいる花は かさみたい
雨の日にひらくと かさみたい

ちいさな傘から
ぬー ....
東京にもう雨は降らないらしい

眠らずとも
目覚めなくともよくなるまで
幾世紀を費やし
浪費するのは何も砂ばかりではない

やさしい飲みもの
歴史をごみ箱にいくら捨てても
まるで甲斐 ....
桜をみると胸がいたい

桜なんかだいきらいと言いたくなる

だから桜に謝りながら

盆栽みたいなかたちをみつめている


一方向にしか膨らまない宇宙なら

星はこんなふうに見える ....
測れない
計れない
量れない
ものをはかろうと
脳は身をよじるが
生まれたのは不肖の子ばかり
どれ一つ それ一つでは
役に立たないものたちを
手妻よろしくこき使い
広げてきた
安心 ....
タラップが外れて
四基のエンジンの
高音と共に
涙する風切り羽
揚力のうまれるままに
生活の足場を
芥子粒ほどにちいさく
後ろへと
吹き飛ばしてゆく
 ....
朝のワールドニュースでは
空港に設置されたカメラが常にテロを監視し

中国の経済的失速が懸念材料となり
世界のあらゆる処であらゆる価値観が往来する

冷凍のピザをオーブントースターでこんが ....
昨日見た景色もう一度今日見た心模様で変わる見え方

ピラミッド型の建物体に良いエネルギー的に調整されて

真っ白なお米が好きで二杯食べるどの料理とも相性がいい

子供たち飛行機を追いかける ....
それが大きいのかちいさいのかわたしには分からない
数だということだけ わかる
くらやみを射抜くような空ろないたみがビルを覆っているので
ひとびとはたえまなく降ってくる
切りそろえられた三角 ....
そういうことか
海も空も
まるいんだ

どれくらい走ったろう
眼前には海があり
道端には 菜の花と桜が続いている
ふと 同じところを何度も通っているような気が
して
 ....
依存性とは外的な要因が大きく作用してしまうものである。いくら遺伝子の魔術によって勧誘されようにも、実際に巡り合わなければ誘惑されることもないのだ。

澄んだ青空のもとで長時間待たされる。これ ....
夜明けの群青の空に
透明な風の蛇がうごめいていて
脊椎に貫かれた腹でゆっくりと気流を動かしている

白んだ月は皮膚を通過し波状に広がる光を手放す
朝を迎える前の消印のように
反復ゆえの忘却 ....
地雷原という安全地帯でトイレットペーパーを思いっきり転がそうぜ
ドアなんてこの世に存在しないのだから
自由には白い翼がびっしり生えている
おとなになるってことは気が狂うってことで
こどものまま ....
不幸をしょってる
顔していても
不条理的な
幸福感の密かな湧出

この世この時
為されるがまま
波長にまかせて
浮くこころ


硬いよろいを
身にしていても
内は軟弱な
 ....
笑ってほしい
人がいるので
私は笑う

元気を出してほしい
人がいるので
私は元気を出す

私より淋しい
人がいるので
会いに行く

耳を傾けてくれるので
他愛ないおしゃべり ....
起きるための
エネルギー
夢見の果てに
疲労して

生きることへの
アレルギー
この世の毒気に
免疫乱れて


心見る身の
シニシズム
隠れた本当のこと
見さだめて ....
 銀色の翼が西の空に消えてゆく。
 北鎌倉の西洋館の二階から遠く、由比ガ浜が見える。
 手の平ほどの水平線に鳥たちは集い、
 冬枯れの歌を歌っている。

 坂道を下れば、秋が忘れていった ....
四輪(jeep)駆け巡る
冬の笑顔はいいね
あの人の胸のなかにある
鳶色をした大きな瞳
木枯らしを背にするときのカーブ
−ルーズオーバー
茶色のボタンが毛糸にひっかかる
無邪気な雲 ....
(入れたい入れたい入れたい入れたい入れたい入れたい)
せりあがる濁流を押さえる、
マンホールのように、
私は夜の車内で唾を飲み込む。
森をくぐり抜けた夜空には、
どこまでもついてくる
三日 ....
残響ヒビキの渦中
透過されていく意識、白く

朝から潰れ閉じたままだった瞼
開いた夜半、差し込む光

大小無数の半透明な橙光球となり
白い意識のスクリーンに浮き沈む

遠い異郷の優し ....
今迄の僕は
ゴミ箱行きの恋文を
山ほど書いた。
けれども全てが徒労だと
一体誰に言い切れようか?

どうせなら
純粋花火の一粒を
無心に念じ…封じ込め
世界にひとつの手紙を書こう。
 ....
七歳の頃五十年前と聞くと古い民家が浮かんだ
その古い民家の中に入ると壁に御札がはってある
日本人形があり埃かぶった和菓子の箱もある
この民家には悪霊がうようよといて
その中に白い着物を着た皺だ ....
これがタクラマカン砂漠ならいくらでも書けたんだけどキリマンジャロには縁もゆかりもないからどこを見たってラクダさえいない一粒の砂さえない冴えない顔の私の身もフタもなさといったらまーいおーまーいわったわん .... 帰るとは
ふりだしに戻ることであった
帰るとは
ひとりぼっちに戻ることであった
帰るとは
ひとりですること以外の選択肢を失うことであった
帰るとは
下校のチャイムの様に
何かの終わりを ....
この空が青さを取り戻す時

あの空も晴れてくれるだろうか

優しい光は
隅々まで届いてくれるだろうか


あの子のもとへ
届けてくれるだろうか
駅のホームには
人々の疲労と希望が散らばっている

コンクリートの怒りによって
掃き清められた余りにも尊い人生たち

線路は狂おしく悲しみながら
大きないかづちを流している
 ....
寒さが増せば増すほど秋に植え替えた植物たちの悲鳴が気にかかるものだ
邪魔な雑音に慣れた耳が他人から発せられる温もりに感じられるように
そして居住する家賃も安くなれば怪しい人物が住み着いてくるの ....
             160114

拝啓前略
最近、
読んだかどうか覚えていない書籍が増えた
表題のも定かで無いが
雪の降る頂上付近にヒョウの死骸があったとかの
描写があったような ....
冷えた夜に冴えた月を眺めながら、
あなたを思い浮かべる。
私は窓の鏡のなかで、
薄皮を剥いでいく。

あなたの鼓動が私の身体に触れる。
私は刹那に哀しくなる。
歓喜に触れて哀しくなる。
 ....
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