あなたは長い間わたしの神様だったように思う。たまに来て笑って、ちょっと触ってくれる神様。見るたびに薄く透けるようになって、最後には滴る水になった。いまは、そして「あなた」という言葉になった。
ど ....
人の気配で 繋がれたり 断たれたり
人を守る為 生まれたつもりになって
或いは請われ それが叶っても 再び顕される時の意味
親しみをこめた無言 純化 そして破壊
誰かの奥に放たれ 彷徨う魂 ....
あの子の声が
いかりみたいに心に刺さって
ゆらゆら
くらげみたいに流されて
泣きっ面に満月
私の脚はどこに
輝けたらと星を見上げ
心が波間に冷やされていく
悪く言ってやったわ
あ ....
辛いとき
何処からともなく
心に響いてくる応援歌
乗り越えていけるという
何かを得て進んでいる
誰かに応援されたり
誰かを応援したり
世界は成り立っている
独りではないのだ ....
痩せた猿が誘蛾灯の下の小さな檻の中で陳腐な引用と比喩だらけの言葉を吐いていた、のべつ幕なしに並べ立てていたがそれは一言も俺の興味を引くようなものではなかった、生まれてこのかた名前も聞いたことが無い ....
はな散って爪塗りなおす薄暑かな
いろいろあって
今がある
いろいろと私は
つながっている
今がありがたい
流線型のトースターから
褐色の食パンが飛び出した
珈琲と目玉焼きとシーザーサラダ、
トーストには人造バターを塗る
今日からはボクも宇宙人
立派な宇宙人として社会に貢献したい
家を出ると ....
昭和、黄金時代
あきちを夕日が朱に染めるころ
昭和の悲しみは
まるで未来にすべてが解決できる悲しみに
想えたんだろ?
東京にいったとき
東京タワーではなく
スカイ ....
あまいお酒が沁みてるケーキ
まるであたしの脳みそみたい
ねじがゆるくて軽やかだから
きみのことも縛らない ぼんやり見送るの
旅のおみやげは 自慢と ジョッキに一杯のぐちと
アンゼリカみたい ....
ぎんいろのメトロポリスは
少し遅めの帰宅の列車を吐き出すよ
みあげれば
満月が狂ったみたいな赤色で
川べりを走る電車たちに
まるで異世界色の桜の花びらが降りそそぐ ....
なんて不幸なことなんだ
壊れた僕のバイクは
今朝の太陽も知らずに
四角い鉄の塊になったよ
当たり前のことさと言って
きみは笑ったようなふりをする
暗闇の中で誰かにキスするみたいに
....
市場で首を平らにひきのばした
音がみだれあう青
鳥を目で追いながら
自分も 空がとべる
もう 浮かびあがると
信じられなくなった日のこと
何となく思いだしている
からのポケットで ....
昨日までの
不幸なら数えられる
幸せは数字に置き換えられない
明日から先の
幸せは想像でしかない
明日から先の
不幸せなんて
想像したら
自分が可哀想になる
明日 ....
靄の籠る水面に
深緑の影が霧散する
確かに脈打つ枝と枝
不確かな夜の梟が
泣いている
曖昧な景色と
あなたが目を合わせた時
悲しくも
あなたの望みは
煙りとなって
梢の間に薄ま ....
1、
肥料袋が
日を浴びている休耕地
目の詰まった麻布を
砂地と見ちがえた蝶が
飛びあぐねたまま雲は過ぎ
菜の花の花粉を
集めて回る音
ひと気のない路地裏には
魚の血を洗う匂 ....
そのお姫様は
とても賢くて
夜寝るときは
清く眠れましたの
それは昔の話として
しまってもいいし
いま現在の話かもしれせんね
わたしは不眠症で
毎夜
夜の色を ....
何の行列でしょう
いつからやってるのでしょうか
こんな時間だというのに
ずっと通りの向こうまで
途切れることなく
行列が続いていて
手に手に灯りを下げて
歌を歌ったり
泣いたり ....
広場では若者たちが
燃え盛る松明を投げつけ合って
それを眺めている紳士たちの顔は
夕闇の中 脂ぎって光っている
商売人は屋台を出して
売り子は声を張り上げる
稼ぎ時を逃すまいと
仕入 ....
あいつはあのまま
日本に居るべきだったんだ
自分が二人存在することに
人は耐えられない
NYの汚らしい街へ来て
地面を這いずり回っている俺
もう一人の俺は
おしゃれな避暑地で
....
まるで痴呆のように
大口あけて天を見上げる男
できうる限り舌をのばして待っている
いつの日か
その舌の上に蝿がとまるのを
(とまればどうすんの)
蛙のように巻き取って食うんだ
(と) ....
束ねられたポイントカードが
煩わしかったこともある
貰わなければ損をするみたいな
かぁるい恐怖に突き動かされ
そうになったりね
僕は
中性的らしい
頑張ってポイントカー ....
現実は
命だけでは
生きられないと言うが
命が無くては
虚しいんだ
・
へたな
作りものよりも
現実の方が
よっぽど
味わい深い
・
私の
人生
いちどきり ....
団地に風が吹く
床屋のおじさんが
大きな欠伸をする
口の中で夏が過ぎていく
金魚鉢が宇宙を漂っている間
友達の一人は
セメダインでおかしくなった
ベランダの無い人が
ベランダを ....
隣りの海で 鯨が髭を磨いてる
海老が抜けない
ささらに破れた尾びれを揺らし
海老が抜けないのです、と
わたしも歯茎を押しひろげ
まぶされた砂をはらい
やせた少年がくらりと傾いて ....
いったいこのちいさな世界には
なんにんの偽善者と
なんにんの偽悪者とが
いるのだろう?
なんてことを考えてみたこともある
天災のあとのような
悲し ....
落ちぶれた世界の歯軋りが俺を眠れなくさせる、飲み干した水の入った、コップの底に張り付いていた潰れた小虫、排水溝の向こうで今頃、呪詛を吐き続けているだろう、小さいから、弱いから、儚いからで納得ずくで ....
夜はカゲロウの翅
昼の光は油絵の中に塗り込められるよう
闇は真中から暈される
四肢はつながりを断たれ
各々結露しながら息をひそめた
瞳の内側に湧いてくる
けむりの肢体
遠い昔のも ....
そのお伽話は
あまりにも語られすぎて
すっかりすり切れてしまった
意味さえもこわれて
こぼれ落ちてしまった
君がかりそめの眠りを
くりかえしてきたその日々の間に
此処には誰も来ない
....
これは短歌じゃねぇか、と云われれば言葉もありませんが、
これは詩なのですと、云い切らせてください。
夜中の3時台に起きて書いた愚かな労力に免じて、ハハ。
荒野に吹く風 桜に吹 ....
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