ハンカチをほどくと、
(ル・クレジオ『モンド』豊崎光一・佐藤領時訳)
そのたびに
(パヴェーゼ『ヌーディズム』河島英昭訳)
生まれかわる。
(ギュンター・グラス『ブリキの太鼓』 ....
ああ、海が見たい。
(リルケ『マルテの手記』第一部、大山定一訳)
きみは海を見たことがある?
(パヴェーゼ『丘の上の悪魔』10、河島英昭訳)
ぼくは
(サルトル『アルトナの幽閉者 ....
津軽海峡をわたって、
北国のみなみに訪れた、
とても素敵な黒いトンボ、
それは本当に良いことなのか?
それとも良くないことなのか・・・、
以前よりもずっと暖かくなった地球、
....
もう、
めんどくさいから云っちゃうけど
あたし、
涙に、刺さる詩が書きたい。
たとえばあるひとの詩は
そのタイトルからして
読もうと想わせてくれるし
....
遠いつながり
僕を救って
誰かの蜘蛛の糸
しがみついて
不穏を生きる
不安や欲望
無限の孤独感
カオスな世界で
よじ登れはしない
それでも電磁の粒子
時々神の手みたいに
糸を伝っ ....
詩を
書くこと自体が
目的であり
よろこびであり
読者あっての詩です
・
詩とは
私にとって
死を含んでいる生(せい)だと言った
初心忘るべからず
今の今を生きている
....
絶望を
葬送した日に
影は濃くなり
いのちは伸びた
ここにある希望
ここにふたりの幼い少女がいます
ひとりは サラサラふわふわヘアにリボン
ふっくらやわらかそうな頬とクリクリとした可愛らしい瞳
上から下までいかにも高級そうないい服を着ています
....
雨が降っていました。
心に陰鬱が溜まっていました。
「バカばっかり。みんなみんな、死ねばいいのに」
心の中で、そう思いました。
思い出しました。嫌なことをされ、抵抗出来ませんでした。
「嫌な ....
コンクリート壁が壊されたいま
砂埃舞う荒れた道幅の右端には鉄門が建ち
中腹には小高い丘が盛られ
数えきれない肢体が埋められているから
幼 ....
ぼくは
(サルトル『一指導者の幼年時代』中村真一郎訳)
花びらが
(カミュ『異邦人』第一部、窪田啓作訳)
海に落ちてゆくのを見つめていた。
(ナボコフ『ベンドシニスター』4、加 ....
何か落としたぞ、ほら、きみのだ。
(ナボコフ『ベンドシニスター』1、加藤光也訳)
たしかに、
(ラディゲ『肉体の悪魔』新庄嘉章訳)
僕のものだった。
(ラディゲ『肉体の悪魔』新 ....
一匹の猿が
(リルケ『マルテの手記』第一部、大山定一訳)
花に見惚れている。
(ゴーリキイ『レオニード・アンドレーエフ』湯浅芳子訳)
夢を見ているのだ。
(リルケ『愛と死の ....
海水が満ちて
そこに建つ鳥居は
海を歩く神の道
遠くて神聖
写真を撮り
手を合わせるのです
海水が引くと
そこに建つ鳥居は
砂地を歩いてくぐれる
神の道をなぞって
お辞儀をしな ....
不確かさというおやつに
見たこともない春の風をまちわびる
そこにある謎のままな姿
映像は軽々しくページをめくり
静けさの化物の胃の中へ消えてゆく
手と手の中の憎しみ 手の中の希望
それらに ....
まあ分かったれすよ
あなたはデパス中毒ですからね
ぶっ倒れて救急車で運ばれて
閉鎖に入って
気味の悪い他の患者を見て
自分はこんな奴らとは違うと
ブチギレて
そんでまた娑婆にでればデパス ....
何もない風の中を
垂線
あなたから真下へ
昼間の備蓄倉庫
その物陰で
生まれては
消えていく
雲の断片
写真の中
あなたは記念になるものなど
何も欲しがらない
いつも
....
{引用=
たとえば そらにわたしが浮かんでいたら
きみは おもしろがって みていてくれるかな
つまらない事が続いて 吊り革から手を離して
ホームに降りるときに
いまいる現実 と毎日 のこ ....
シャリシャリと雪の降る、とてもカラフルで甘い、果実のシロップのかけられた、とてもささやかな氷河期をとても暑い夏の日に食べる。
幸せな私
なのに
これ以上
何を望む
分からんいのち
・
だからって
自殺はするな
この体を
大事にしろよ
とこの魂という命が言う
・
ありがたい
こう思える ....
無知蒙昧で無邪気なまま
見えない檻に心を閉じ込められ
抗うことを知らず
運命に運ばれている
やがて魂を抜かれてしまうだろう
自分の居場所に気づいた者の泣き声が
地下道に響き渡っても
....
よろこびのために
生きるけれど
生きる意味を
なおも探し続ける
私のいのち
・
足るを知れ
と時々
自分に言い聞かせる
欲は尽きないが
今幸せな私
・
縁があっ ....
藍色の悲観主義が窓枠と一緒に錆びてる、デカダンスは周回遅れだ、何かを突き詰めて探そうとすると必ず時代遅れだと揶揄される、連中はどんどん頭を使わなくなっているのさ、初見で判断出来るものだけで現代社会 ....
色づいた
赤とんぼ
鮮やかな
命
命が首をかしげる
今日もおばあちゃんと折り紙で鶴を折る
最初に三角に折るところから
おばあちゃんは折り方を忘れてつまづいてしまう
だからまた折り方を教える
だめだねえ
弱々しく笑うおばあちゃん
毎日 ....
パインサラダにするレタスをちぎり
水に反射した光をそっとボウルに散らせる
どうということもない休日の終わり
新しいドレッシングの蓋を開けた
レモンピールが見えなくなるまで刻み
胡椒とクル ....
輝き続けよう 自由のために
輝き続けよう 明日のために
輝き続けよう なにかのために
輝き続けよう 誰かのために
そんな白けた顔をしないで 愛し人、そばに
ホンの小さな 夢があればいいさ ....
本当は、特段何もしないでいいのだけど
かたちだけ、きもちだけ、
余った障子紙、半紙や和紙をちぎり
膨らませた風船に溶かした糊を刷毛で塗り
ペタペタ貼ってまた塗って
重ねて塗って乾かす
風船 ....
にわか雨は上がった。その暑さは雨のせいか比較的やわらいでいる。空はもうすっかりとあかるい夏の水色になって、住宅街はとてもおだやか。そんななんとなく緩慢になる午後に、いくつもの陰りがついた。とおくの方で ....
まくらを持ってる
すべての音を吸い込むまくら
まくらとどこへでも行く
市場、裏道、廃ビル
寂しいとき抱きしめると暖かい
まくらが泣いてるときはぼくが撫でてあげる
それで朝まで抱きしめ続ける ....
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