○「詐欺フェイク時代」
情報化社会は
貨幣のように
言葉を信用することによって
成り立っている社会である
が
近頃言葉の偽札が増えている
私たちは言葉の偽札を
どうやって見分けていけば ....
もしもの時は
もしもの時です
私が居なくなっても
地球は回る
あなたと共に
脳裏で吹き荒ぶ嵐を、飲み干して制圧したい、闇雲に振り回した拳は、触れてはならないものだけを破壊した、影の中に隠れ、目論む感情のリカバリー、人差し指の傷を舐める、舌にこびりついた血は堪らなく苦かった ....
冷雨止み 仕事始めの午後の空
休憩室の窓から見つけた
みずいろ に、
同僚と分け合い食べる紫芋の蒸籠蒸し
素朴な甘味も清々しい
不条理錯綜しながら
生き抜き息継ぎ、
やはり其処に条理
在るらしと、
今の私は想う。
能登半島地震、羽田空港の事故火災
壮絶な始まりだ
多くの当事者がいる中
ぼくは表紙のような顔で
誰かに道を譲った
汗も涙も塩辛い
胆汁は苦い
寒さに震えるネズミ
呼吸を忘れたネズミ
肉体と精神の糸のほつれ
つぶれたトマト
窓から飛び出した冷蔵庫
氷嚢をあたためる心臓
入れ子状の死
ゴミ箱 ....
粉雪散るふと滑稽さ感じさせ
水涸るる言葉は遠き我が家ぞ
クリスマス待ち望む我は背信の徒
人形が笑いて顧みる冬の夜は
思い出の街を彩るポインセチア
新宿はクリスマス模様マネ ....
大樹の明るむ根元
脈打ち地から隆起し
幾筋も走る意志の輪郭、
光を追い求め光に望まれ
高みへ高みへ伸びる幹を
支える根元の活動する力、
太々と地より浮き立ち在り
支柱の創造する力 ....
微かな痙攣
君のとびきりの接吻が一匹の柔らかい死體人形に稲妻を給餌する
雷鳴は心臓と右肺に秘匿され禁域の嶺にて過熱した母胎へ
再誕を迎える畸形の孖が掌を繋ぐように嘗て彼女等は呪詛であった ....
見よ、この一行をわが蠕動にかたどる背景として魂の炎はやおら踊る
○「コンビニ考」
コンビニは
買い物は来る人だけじゃない
トイレを使いにくる人
タバコを吸いに来る人
お金をおろしに来る人
振り込みに来る人
コピーに来る人
息抜きに来る人など
さま ....
夜泣きも少なく何でも食べて
聞き分けが良くてそつなくこなし
安定した仕事に就いて
出世が見込めるよう作られた
子どもがデザインベイビーです
夜泣きが酷くて好き嫌いが激しく
聞き分けがな ....
自業自得だな
私の場合は
大体のことがね
でもね
感謝の念を忘れ去りたくない
・
はちゃあ 私の
悪と
善が
仲良くしている
ケンカしながらも
自転車のライトが照らす粉雪や
冬の夜は汚れっちまった悲しみに
冬日とて洗濯物は疾く乾き
漱石忌わがはいはまだ猫になれず
傘をさす日も遠くて傘買う冬の日
師走路の道の半ばに ....
わたしのふるさと
還るべき処、
私 わたしの故郷
ぎゅっとぎゅっと抱き締め
(私は子を生まない、
凛として涼やかに
冷徹威厳の匂い
柔らか漂わせ
石女と告げ
....
有り難い
有り難い
こころの声は
光も闇もささやく
私が在るために
無い
ということを
得て
永遠となった
零
・
終えることが出来る
ありがたさよ
その時その時に
ほっとする
最後にもおつかれさま
新年を迎えた
すっきり目が覚めた
今年最初の朝を全身で感じた
何もかもが新鮮に見える
新しい世界に包まれた身体
室内の雰囲気
家族の雰囲気
外の雰囲気が新鮮
目標が自然 ....
レタスの先端
心音のひずむところ
温度の終わりに
少し触れる
つめたさ
教室みたい 、
と思う
穏やかな湾の入口を
句読点が航行する
健康的な食事
その後で
わたし、 ....
きみに逢うために
踏んだ路を歩きなおすのは
唯是西行
不左遷
と かの詩神ほどの気概や嘆きを抱いていた訳でも
まして花の匂いに誘われたからでも
ない
梅が枝を
敵意のす ....
アクビ出た ふっとね、
張り詰め反復の日常に
アナタの綴る声ヒビキ
赦し赦され 力抜き
私の声、掬い取られながら
異国の言葉とびかう
井戸は若狭につながっている
帰省していた彼は
重い瓦に押しつぶされた
壁は厳然とそこにあって
何が起こってもくずれない
宇宙が一点に収斂しても
また膨張して壁 ....
意識の視界の今に、
しずかさうねりあり
次第透明に染め抜かれ
創造スル力動の、
結晶化されて在り
手袋を持ってポケットに手を突っ込むの
冬空がゴッホの絵のごと渦巻いて
小雪に現実の時間が追いすがり
玄冬や一歩踏み出す勇気はなく
強風で息もできずに冬駆ける
天邪鬼綿虫と ....
からし酢味噌のお浸しに
しようと買った
菜花の 蕾、
キッチンの隅
春灯る
うたうたに見おくられながら、おとこはあたらしい歌をひきつれて旅をした。
うたうたは酒に似ていた。せかいを光の波紋でにじませて、あまく匂ういきをはいた。
波うちぎわでは、松のぎょうれつが盤根をもちあ ....
桐壺
雲居よりかずならぬ身とすずむしの つゆけきあきをいかが過ぐさむ
帚木
ふきむすぶ露にしをるるとこなつの すがたも知らぬあだごころかな
空蝉
うつせみの脱ぎすべしぬるうすぎぬの ....
石化した珪化木、
無数垂直に立ち並び
うっすら雲に覆われた太陽
その浮き出す円形の輪郭、
ゆるり辿るうちに
黄金の滴り落ちる
後から後から
弾ける笑い
途向かいから
駆け出して来る子 ....
初雪の山並み煙る北の峯
粉雪はぱらぱらぱらと肩に降り
初雪にまたひとたびのイリュージョン
冬ジャケットの汚れて洗濯もできず
湯冷めして体{ルビ顫=ふる}える午前午後三時
....
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