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涙や汗が
しょっぱいのは
海の名残り
どこか遠くで
あの波とつながってるんだろ
だから満月の夜には
頭の中で鐘が鳴って
藻屑に還れと繰り返す
人はどこから来たんだろうね
人はなぜ泣く ....
結局一生かけて
私が求めてたものって
自由だった
そりゃもう
孤独にならないわけがなく
そして
それこそ
自分が得た宇宙なのだった
伏してつらい時を経て
人の優しさを知る
億の人波の中
ささやかな善意は
いつも埋もれている
普段目に見えないものを
この目で見たことは忘れない
沈黙に泣かなくていい
星が見たければ
....
夜中に飲む
コーヒーの美味しさ
寝過ごした朝の
部屋の静けさ
どこかで飛んでるヘリコプター
チラシの裏を
埋める言葉もなく
空白を満喫する
それは
保健室のベッドのような
背徳の柔 ....
綿菓子器の真ん中で
砂糖がはじける甘い匂いを
思い出していた
縁日の夜
神社の鳥居の影が作る深い闇は
永遠に私の心の中
御神木の向こうに
ぽっかりと浮かぶ
白い狐面
....
通りすぎた時
触れ合った手に
金色の光が見えることがある
それが縁というもので
その光がはっきり見えるようになるのは
手が触れたずっと後の話である
縁があった人の思い出は
....
隣の塀とうちの家のスキマに
新緑を伸ばしてくる
まだ若い紅葉
窓から枝の先が見えるようになった
そこ、狭いだろう?
って聞いたら
あなたを見ていたいのです
と、軽やかに揺れた
....
好きなタイプは貝類
閉じた貝を
そっと見てるのが好き
何を抱いているのか
時々油断して見せてくれるような
年をとるということは
悲しみに気づくこと
それは漠然と近づく終わりを
魂の一番深い場所で
悟ってしまうこと
だから
何かを知る前の瞳が
この世の何より美しいの
体は穢れ ....
生まれた町が
少しずつ変わってゆく
取り壊される古い団地
あの棟には昔
友達が住んでた
ガチャで出したおもちゃの指輪を
いつか私にくれたね
名前も思い出せない
忍者 ....
絶望に負けたくない、と
娘が言った
絶望を知ったのかと
私が絶望した
悲しみにも負けたくない、と
娘が笑った
娘が隠している涙に気づいて
私が泣いた
この子は
強いん ....
おまえのすべてを
潔くて美しいと思うけれど
泣かない女は
泣く女に負ける
わかってる
泣いてつなぐような愛は
おまえにとって愛じゃないんだよね
だけど
くだらない感情に ....
足の爪に
塗っておいた海が
夏のどこかへちぎれて消えた
地図の上をなぞる指が
コーヒーの匂いをたどって
最果ての島に着く
ふと顔を上げれば
見慣れた街並み
寝過ごした朝のよ ....
魔法使いが
ドライバーを手にやってきて
雪原を走る夜汽車を止めました
壊れた換気扇の交換
最後に頑張って回る姿が
とても可哀相で
「よく頑張ったね」って二人で言いました
私た ....
温かい味噌汁を飲んで
おまえが泣く
何があったか
聞かないけど
私も台所で泣く
ご飯食べてけと
口うるさい母親に
気がすむなら味噌汁食べてやるよって
えらそうに言ってた ....
嘘よ
雨が優しいなんて
こんなに寂しい色見たことない
それとも私が凍っているから
こんなに雨が冷たいの?
傘を差して
沈黙の街を歩く
水の音しか聞こえない
会いたい人は ....
マッチを擦った
においが好き
懐かしいから
クリスマスのロウソク
ストーブ
父さんの煙草
子供の頃に
安心した匂いだ
換気扇がぶっ壊れて
機関車みたいな音がする
台所であなたと目を合わせたら
困ったような笑顔がどこかへ旅立つ
暮らした年月を
思い出させるすべての劣化
年をとったわね
夜
....
夕暮れの遊園地
ベンチに座って賑やかな景色を見ていると
走馬灯のように見えて
人生に終わりが来たのかと思う
でもそれはとても気楽で
気がつけば
いつかの自分が
ジェットコースターに乗 ....