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胸のあたりから
ポトリと
白いジグソーパズルの一ピースが
落ちてきた
昨年胸を痛めて以来
何かに心奪われたり
予期しない出来事に遭遇すると
ポトリと
落としてしまう
今落としてし ....
深夜のファミレスはこんなにも賑やかなのか
ドリンクバーやサラダバーではしゃぐひとたち
国道を走る車の音に混じって
「ぎゅぃん ぎゅぃん」
「しゅぃん しゅぃん」
と空間が ....
ぼくだけが四の段おちた
せんせいが心配した
とぼとぼと家に帰った
まえのひ四の段カードをなくしてしまった
だからお家で練習できなかった
つぎの日は九々のテストがなかった
....
ひまわりの振りをして
きみが咲いている
太陽の方を向いて
きれいに咲いている
ぼくは影の振りをして
地面に横たわる
こうしていると何だかとっても
時間の無駄だね ....
ほんの気紛れだった
マンションの折込みチラシで
折紙しようなんて思ったのは
最寄駅徒歩7分を山折り
南角日当良好を谷折り
指紋の間にかすかに残る
あどけない感触を頼りに
無骨な指 ....
噛まれるもの
その深い肌触りに
凍るもの
締め出される
忘れ物
ほのぼのとした
わたしの風景
繰り返される山並み
わたしには山並みしかない
という幼い
決意
どこまでも続く
青 ....
折り紙
あなたは何を折りますか?
折り鶴
空へ飛ばしませんか?
紙を折れば線がつく
たとえば人生が一枚の紙であったなら
線の数を讃え合いましょう
紙を広げれば最初からやり直せる
....
神保町の古書店でみつけた
亀井勝一郎の本を開く
薄茶けた頁の紙を捲れば
文中の「純粋」の粋のところに穴が開き
前のページの「醜」という字が穴に重なり
「純醜」という言葉になった ....
世の人々が何処までも積み上げた
バベルの塔が崩壊した後
全てが消えた荒地の空に
崩れることなく
透き通ったまま立っている、風の塔
全ての者が去った後
たった独りで荒地に立ち ....
「ごめん、本物じゃないから」
という台詞を使う場面を考えている。
【1】 医師が開腹手術をしたあとで、「ごめん、俺、本物じゃないから」という。医師免状は偽物だった。
【2】 他人の家 ....
隠喩だな
(アハハ)
隠喩だな
(アハハ)
正直訳分からないけど
なんか意味ありげに
大丈夫さ
(アハハ)
大丈夫よ
(アハハ)
それらしく書いときゃ
....
冬に病むひとは夏を惜しむひとだろう
夜明けにみた星たちのきらめきが似ている
片想いのまま誰かに語りかけるそれは(嘘だから)
(嘘)と知りつつ生きている死人だから
試しに一筆で銀紙 ....
若葉は青臭くていいと
老いた葉が
羨ましげに
鑑賞している
尖っていた葉は
あなたを守るため
傷つけるためじゃない
でも 遠ざけたのは
青くて頼りない葉だったから
そ ....
どんなに難解な熟語を知っていても、
ムズカしいことを言っているとは限りません。
どんな言葉をどう操っていても、
それが根っからの本心であるとは限りません。
僕にとって僕が僕であるように、
誰 ....
新規事業として計画しているレストランについて
既に上場を果たしているレストラン経営者に話をしたとき
素人が手を出して成功するような甘い業界ではない
僕の名刺を裏返したりしながらそう憎 ....
僕たちは立っていた
路上に立ちつくして
いつ訪れるかわからない
僕たちをどこかに
連れていってくれるであろうものを
ひとすら待ちつづけていた
僕たちは整然と列を
乱さずに立っていた
僕 ....
メールアドレスを聞かれる人間と聞かれない人間の分類があるとして
聞かれない側に入ったとする
そういうときは
塩辛
つまり塩辛になったらいいのに
むかしの
中国みたいに
やつが
塩辛 ....
信じるって決めたから
そばにいるんじゃないよ
空気にすきも嫌いも
ないよただ風は風だよ
君もあたしも
ニンゲンって呼ばれてる
その責任が重いから
歩くのがこわいよ
足の下にある ....
今週から急に冬になったねって
君とかわした週末朝のメール
今年のクリスマスプレゼントは何にしようって
とつぜん焦る気持ちになったけど
それを考えることがすごくすごく嬉しくて
寒い朝に心が ....
昨日の
銀色の
すすき
のほ
今日の
銀色の
やなぎ
のめ
銀色の
のはら
のうえ
のゆき
銀色の
のばと
のむれ
のみち
....
ことばをつぐみ、すいへいせんを、
ゆびでなぞれば、やわらかいひふの、
あいだから、ひんやりとした、くうきと、
あまいたいえきが、あふれて、
できそこないの、くすりゆびを、
だらしなく、ぬらし ....
私たち逃走していた。かすりきずに錆びついたボディーは、夕日の射光に身包みをはがれ、匂いがするようなレモンの色にそまってしまい、塗装が晴れてしまった下地の部分の、心臓みたいな銀のフレームがばれて、わたし ....
HBの鉛筆が発する甘い匂いに誘われて
細い線が集まり大きな夜を作り始める
ラッピングされた携帯電話から漏れ出しているのは
長い長い休み時間の喧騒
大人と子供と
そのどちらでもない者の声が ....
宇宙からあなたの引っ越しを見つめた
それは1ミクロンにも満たない移動だった
この1ミクロンのために
あなたは新居をさがし手続きをし
引っ越し屋さんから段ボールをもらい詰め
....
虫が好きだと、少年のままいられる
手塚治虫の言葉だ
虫にいろんな一字を当て嵌めてみる
月
星
緑
青
まだまだ当て嵌めてみる
金
城
良
....
ぼくの街は牧場にあって、家畜と牧草が丘陵の途切れた柵のとなりで圧縮されて濃密な蒸留水となった朝露を落としている窪みに高層ビルが並んでいた。毎朝、ぼくは上着や革靴に花粉をつけたサラリーマンが灰色 ....
あてもなく昼下がり
運命の意図に手を伸ばせば
終わらない旋回の始まり
エナメルの細い義肢が
つかんだ銀のフラフープ
とてもきれいで嫌いな色
錆びついた金属帽子が
口笛にあ ....
木の内側に棲む蝶を
一羽の鳥がのぞきこむ
撫でられるたび
変わる冬
割れた石の階段の間を
雨が流れてゆく
破裂する水色
映る鳥
雪が雨を昇り
曇は曇を ....
目に鮮やかな色たちの
間に間に空のかけらが見えて
深まる秋を吸い込めば
他の誰でもない僕がひとり
ああ こんな燃えるような色をして
今年もまた 瞳の奥に小さな手形を残していくのか
....
ジュリオ・ゴンザレス
金槌と鑢と金床のある
小さなアトリエで
エプロンを着け
殴りつけ
削って
溶接する
ジリジリ、ぴかぴかとちょっと不気味な仕事場で
トンテンカン、トンテンカン
....
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