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君が押し花してくれた
葉もつけてくれた
すぐに覚えられた
これを見ると
君を思い出す。
結婚を諦めた
そう言った君を
思い出す。
君は入院してしまった。
家族はバラバラになり ....
電気でできた僕らは
吐き気と目眩の海の中で
青白い体を横たえて
血を吐き
その血を夢に透かしてみては
奇麗だとうなずく
そして
波しぶきを散りばめた街の
....
ゆうちゃんは無口な転校生だった
四年生の春に
ぼくのクラスにやってきた
ゆうちゃんと、ぼくは
なぜか気があって放課後はいつも一緒にあそんだ
がっこうは友だちできへんからきらいや。
....
奇を衒う、という作風は
技才ある方がやるもんです
私のようなあんぽんたんには
到底真似できやしないのです
弁えております
それに及ぶ才がないことも
学に費やす気がないことも
努力 ....
昨夜から彼女の心臓の音が聞こえない。
もしかしたら、彼女の心臓は消えてしまったのかもしれない。
大きな爆発音の後から彼女のパルスは消えてしまっていた。
私は人間の腐った肉に喰らいついて、 ....
恐ろしい文字が天井にへばりついている
バス停に佇むやじろべえがいます
いくらバスがやってきても乗ろうとせず
バス運転手たちの間では有名な話です
水族館にマンタばかりを眺めているやじろべえがいます
あまり手を大きく広 ....
紙を飛行機にして
窓から飛ばす
しばらくして
砂漠に不時着する
近くでは
砂場と間違えて迷い込んだ男の子が
砂遊びをしている
こんなに集めたよ
振り返って
砂でいっぱいに ....
鮮やかな桃の色をした
あなたの大切な鞄が
線路の上にある
今は秋の朝
未だ人のまばらな
プラットホームから眺めるとそれは
轢かれるのを待っているように見 ....
梨の始末をどうしよう
この梨を線路に設置して
レールと車輪の間でひき潰すなど
してみたいが
どこか目立つところに
置き去りにしてやりたいが
梨がきゅうきゅう鳴くので
ずっと持っている
....
1
君の眼の内容に鉱脈が続く。僕は君の眼の地軸が太いことを君に隠してきた。君には幻覚を売る権利がある。そして眼の先端を選ぶ権利も。僕には君の血の流れる音がまぶしすぎて、脂肪の宛先を忘れてしまう。 ....
1
静かな糸で縛られたふたつの命。命が影のように伸びていくといつか人間にぶつかる。初めまして、僕らこんなに遠かったんだね。お互い嫌いなほうの手で握手しよう。服さえあれば知らない街でもさかのぼって ....
研究室に女が入ってきて
めがねをしていて
地図をスキャナに読み込ませて
香水のにおいをさせているから
はなしかけなかったら
でていったから
じぶんが
わるものとして
あつかわれて
い ....
ひとりぼっちの女の子
机に前髪が落ちそうだ
あともう少し
針先ほどで届かないあなたの言葉のように
寂しさが髪の先に
しずくをつくっている
秋の薄日が 山の稜線にも
乗り捨てられた車の ....
ふるふるあめふる火花ふる
鉄の炉端の熔接の
ばちばち火花のあめふるを
がらすの傘さし散歩する
ねこはあめふりいやがって
わたしの肩からはなれない
....
あなたを
埋めてしまわなくては
なりません、突然の雨に
暴風に、雷に
あなたが苛まれないために
土深く埋めてしまわなくてはなりません
スコップに土をすくい、 ....
写真集の中の写真をうつした写真家は
もう死んでおり
この世界にはおらず
いまも死につづけていて
モノクロームに象られた
すべすべとした紙のなかに籠って
かたくなに孤 ....
野には蜜酒が香り
冷蔵庫の中で
飲み残しのアルミ缶が
虹色の水蒸気を吐き出す
木漏れ日のタペストリー模様に
数学者が美しい定理を発見する
詩人は新しい詩を見いだす
空を行く雲が
....
.
嘯嘯と渡る風 牡蠣殻の谷間
置き忘れられた巻き貝
さんざめく天空の波濤
人には気づかれない 水底{ルビ=みなそこ}の弾き手
.
冷たい秋の雨の夜はあなたのいる
彼方から かすかな ....
上空フォフォフォフォンがやってきた
それは!
やってきたと言うより
上空フォフォフォフォンは木綿豆腐の香りがする
そして
髪をかきあげる
上空フォフォフォフォンの音 ....
長い時間を
かけて
傷つき
破壊された肉体が
捻じ曲げられ
かしいで
柔らかな樹木となり
夏の
窓の外の
埃の浮かぶ
光の中を
静謐に往く
浮き草を揺らし
水霊 ....
くらい匂いのする国境のラインを
冷たい土を抱いたまま駆けぬける世代の
土くれに摩耗したブーツについた名前はプライド
硝煙たちが
演算されるコンピューター・システムみたいに次 ....
最近できるように
なった技
今までは
自分の事しか考えなかった。
我慢する
妥協する
許す
誤魔化す
君は一人で
歩いていって
しまった。
僕は一人佇む。
えーっとマン
えーっとマン
ハイッ?ハイッ?ハイッ?
ハイッ?ハイッ?
えーっとマン
えーっとマン
霞む瞳
遠い耳
薄れる記憶
ついに本格的
老化現象(鼻毛も白い)
あき ....
人の足跡や足音が消えて行くのは
目に見えるように分っていた。
あの場所では
自分を疑うより、他人を疑ったほうが
人の居場所として適しているのかもしれなかった。
今夜も、仕事から帰った家で
待っていてくれた嫁さんの
台所で、とんとん
野菜を刻む音がする
僕の安月給でやりくりする
我家の食卓
昨日炒めた野菜の残りでつくった
....
朝の涼しい職員室で
担任の先生が亡くなっていた
若い女の先生だった
青白い横顔が見えた
海のように
とてもきれいだった
話は変わって
雲には感情がないと思う
感情があったら ....
最近自分の影を投げ捨てる人が多いと聞きます
一度投げたら最後、もう死ぬまで影はなくなるそうです
自分の体全体がぺりぺりかさぶたをとるような感覚であり
それはもう快感を越えたものである ....
夢の中で誰かの手が伸びてきて
グルグルグルグル
ねじまわしの音
目が覚めて
鞄を持ちながら
あっちの会社こっちの会社
くるくるくるくる
回って回ってときたま鞄を叩いてチャ ....
111010
花電車がやってくる日に
チョー簡潔な祝いのお品
チョコレートのパイを焼く
暖かいうちに運ぶんだ
横断歩道の先にある
プラットフォームには人 ....
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