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生まれたとき
顔を出した世界が
さみしいものだったことを
あなたは憶えているだろうか
あの日以来
飛ぶことが怖かった
離してくれないと
地上のせいに僕等はしていた
黄昏てばかりの僕等を
ずっと見つめていた夕陽が
かわりに沈んで
会うたびに膝を突き合わせて
会うた ....
がりがりに痩せたはかない猫が、その鋭い目で、僕を狙っている。
僕は、食べられたくて食べられたくて、その指を出した。
そんなにはおいしくないさ、だけど、ほら
猫は、指をかじ ....
お疲れ様です
目の前に近づいてくる高層ビル群 揺れる蛍光灯に馳せる様々な辛苦
地下鉄からの帰宅道
余裕で照らすように煌々と 今日もまだまだ夜は長いようで
....
しがない サラリーマンとか
しがない 主婦とか
しがないということは詩が 見つけられるということだ
ピカリ と
詩が
死んでしまいたい夜に
みそ汁をつくる
干からびた大根のしっぽを
短冊に ....
おんなは
どこへいったのか
ここにいますと
おんなはいう
こまどから
ゆうやけをみて
コンロをともして
さかなをやく
非定型な雲は生硬な定型でしかない
ぼくを尻目にとりとめがない
ぼくのO市
かのじょのN市
どちらも雲と坂が多い街であるから水っぽい
川が
なにか ....
ぼくは栞になりたかった
図書館の本にそっと挟まったままの
あるいは
だれかが思いをこめて忍ばせた
四つ葉のクローバーに
あるいは
はからずも頁の上に落とされた
乾いた涙の跡に
....
へやじゅうに散らばるこまかいつぶを一つぶずつ拾いあつめ
へやの
左がわにもっていき
さいごの一つぶを左がわに置いたところで
いちばん左がわの一つぶから
右がわへ
もっていく
死ぬまで ....
オレンジスケルトン
示すラッキーA4ホルダー
見かけるたびに胸が高鳴ったんだ
その日、その時の表情を追ったんだ 教室の窓から
ロングヘアー
軽めのブラウン
....
どうしたのだろう
いつの日からか母は新聞で「死」という字に赤く印をするようになった
どうしてだろう
いつの日からか母はそうして新聞社に電話をするようになった
どうかしたのだろうか
そのときの ....
たとえば僕が
宇宙人にさらわれたとして
僕の不在に
気がつかない人は多いだろうが
僕の不在を
嘆く人は片手で充分数えられる
別に怨みごとを言うつもりはない
そんなものだといつも思 ....
冬のすばらしく美しい月を
蛍光灯のようだと例える
私のさびしい語彙たち
宇宙に電気を通せば
きっとあのように輝くのだろう
文明に毒された私の脳
その角を左に曲がると鳥居が見える
大層な歴史を刻んでいるわけじゃないけれど(多分、)
それでもある程度の年月は佇んでいるわけで
数え切れないほどの風雨にさらされているわけで
だのに、
塗られ ....
手のひらの水路は
かつては
とうとうと水を運び
小舟の上では
とれたての魚が 飛び跳ねていた
みどりの髪の豊かにして
甘やかな香りに
包まれて
たわわに果実の実る季節
口を寄せれ ....
いのちの台車を転がします
よいせと出発するのです
とっ散らかったアメーバ集めて
こぶしに生まれた推進力で
カーブだって曲がれます(すこし)
ひっくり返ったりもしそうになるけど
まだまだ夕日 ....
お父さんとお母さんのことを
この人たちはいったい何者で
どうして私といっしょに家にいるのだろう、と
思ったことがありますか?
もし、そう思ったとしても
決してそれをお父さんとお母さんの前 ....
巨大なショッピングモウルには
きらびやかな自由時間が陳列されていて
選んでいる間は 人生一時停止
「ごゆっくりお愉しみください」
アナウンスがスロウメロディに混ざって流れてくれて
何だか安心 ....
その海は
私の海とつながっている
嵐がくれば
たちまちぷつりと切れてしまいかねない
一本の麻のロープの
あやうさで
私の心とつながっている
その海は
もはや この地のどこにもない
....
校庭に響くチャイムが空にまいあがってゆく
ぼくは思いっきりボールをけってはしる
ボールはぼくの意志のように草むらにとまる
ねころんで見上げるとぼくが世界の中心になった
大地 ....
あの豆腐屋の
角をまがったら
朝がくる
豆腐屋の朝は早く
....
蟻んこの墓は小さ過ぎて見えない
やっぱりそれは土の中
甘い罠にはまった末の
ガラスの蟻地獄でもない限り
だとしても
斥侯も出さない女王蟻が
弔意を示す訳がない
無きに等しい一介の
労働 ....
さして間もなく惚れました
そして間もなく晴れました
涙がほんのり滲みました
案外あっさり乾きました
願いはいくらか満ちました
想いはいささか欠けました
新たな痛みを知りました
....
雪まみれになったあなたの道
清く浄くつづいて
それはやがてふたりの道にもなるだろう
会えないより
会わないほうが
大好きより
大好きでいられる
紅茶の ....
みちがもうないのだ
ゆきにうもれて
そのみちを
みちだとしんじて
ゆくのがよい
わたしもずいぶん
ねゆきになった
はるになれば
めがでるだろう
ねゆきのそ ....
其処にゐる
づうづうしく
此処にゐる
降る雨のやうに
{ルビ懶=ものふ}き思ひ止まず
私は私を
支へきれず
寝転ばり
何時か
空あらはれるやうに
只願ふ
蘇生のイキをするように
そっと虚空に
言葉をはなったとき
言葉はすぐにちりぢりになってきえた
あの日の
あの青空には
二度とであえはしない
....
大柄な夜が行ったり来たりして
目にうるさいわ
と姫が言う
夜は地球の影だと
どこかの王子が教えてくれた
ならなぜあんなに行ったりきたりするの
小さな頃はよかった
やわらかいお湯に ....
視力が落ちてから
虫とほこりの区別をつけるのが難しくなった
そのように沈黙の内側から
何かしらの気配を感じ取るのが難しくなった
今、目の前に置かれたCPUのかたまりの中へ
こうやって次々寄せ ....
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