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封筒の右端に犬小屋を建てました。
赤いペンキで塗りました。
そこで手紙を書きました。
とても短い鉛筆で。
さいしょに友達の名前を書きました。
つぎに夜のあいさつをしました。
あたらしい ....
ことばをつぐみ、すいへいせんを、
ゆびでなぞれば、やわらかいひふの、
あいだから、ひんやりとした、くうきと、
あまいたいえきが、あふれて、
できそこないの、くすりゆびを、
だらしなく、ぬらし ....
世界地図に
架空の国を書き足して
架空の通貨を流通させて
架空の片道切符で
架空の街に住む
架空の友人に逢いに行く
架空の列車から
架空の鉄橋の ....
君が記憶の裏庭で
水浴びを楽しんでいる間
僕の記憶の天井は雨漏りで
傘の中、数えきれない雨粒を
指折り数えている
頭の中にはいくつかの泥濘が作られ
天使が次々と身を投げる
それを手 ....
僕の右手はいつも深爪で
それはバイトの関係上しようがない事で
いつもクッキーの缶の口に貼られた
シールを剥がすのに苦労したり
痒いところに手を伸ばしても
いまいち、こう、快感がなく
ついつ ....
魚影のない河川
子どもの工場見学
秋空にぎんぶち眼鏡のつがい
おとなの暗い話題
人のかたちを真似るビルと
ビルのかたちを真似る人
沈む色紙の太陽
三角座りのキリ ....
夜空を聴診する
U・F・O
テキサスの広大な田園が
宇宙のカルテ
+
住所不定の人工衛星
ポップアップトースターみたいな
不思議なかたち
通信する明日の ....
ただいま。
とは言わずに
疲れた。
と言って玄関を開けると
五年ぶりの父は
風呂にでも入れ、と言った。
ただいま。
とは言わずに
なんだお前か。
と言って五年ぶりの兄は
新聞を ....
お葬式よりも
静かな洗濯機を買いました。
しめやかに洗濯工程が行われ
私はにぎやかだった母を
懐かしむ。