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冷えた空を溶かすような、ほんのり柔らかい日差しを浴びて、通りすがりの駅のホームは、閑散とした微睡みの中にいた。緩やかに電車は走り続け、人々の頭も規則的に、右に左に動いている。
夏の濃い緑の匂 ....
ビニール傘がぶら下がっていた。
レンガ模様の歩道は車道より一段高くなっていて、
車道に面した側に、等間隔に木が植えられている。
そしてその木々を支えるように柵が各々に作られており、
そのう ....
無防備な網膜を焼き尽くすように
太陽が全力で燃え盛るなら
私は夏の夜になろう
草いきれの温もりと一番星の子守歌
小さな背中をくすぐる風で
零れた涙を何度でも拭こう
私の祈りは雲にな ....
不可視の波動を遠くへ飛ばす
(波動は見えると彼は云ふ)
石に触れると暖かい
(無機物にこそ宿ると云ふ)
電車は今日も軋んでいる
(ヒトには向かぬと彼は云ふ)
頭上を無尽に飛び交 ....
珍しい駅で降りた。
どこかくたびれた地下道を歩く。
忙しないOLとすれ違う。
看板で地理を確認する。
慣れてない階段を登る。
ネオンや街灯の少ない地上が広がった。
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